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症例写真のきれいな撮り方:第1回 症例写真の撮り方の基本


    監修:
    • 福岡大学医学部 皮膚科学 教授 今福 信一 先生
    • 2014年2月作成

    下記の写真は、いずれも症例写真としてはあまり好ましくありません。どこがよくないのでしょう。

    記事/インライン画像
    症例①NG
    記事/インライン画像
    症例②NG
    記事/インライン画像
    症例③NG

    (編集部注:今回掲載している写真のモデルは編集部の一般男性で、患者さんではありません。)

    これより数回に分けて、よりよい症例写真の撮り方をご紹介します。

    Q1. よい症例写真の条件をおしえてください。

    症例写真では、写真の正確性と同時に病変の特徴が再現されていることが重要です。

    写真としての正確性

    • 色調が正確である。
    • 病変部にピントが合っている。
    • 余計なものが写っていない。
    • 余分なスペースが少ない。(縦横の比率が合っている)

    病変の特徴をとらえている

    • 部位と病変の性状の両方がとらえられている。(拡大した写真と全体の写真の両方を撮影する)
    • 左右に差がある場合は正常な方も一緒に撮影する。

    以上を満たしたものが、よい症例写真といえます。

    Q2. カメラはどのようなものを選べばよいでしょうか?

    <手軽なコンパクトカメラ>

    デジタルカメラの性能はめざましい進化を遂げており、コンパクトデジタルカメラ(以下、コンパクトカメラ)でもきれいな症例写真が撮れるようになりました。

    代表的なコンパクトカメラ
    記事/インライン画像
    代表的なコンパクトカメラ

    症例写真を撮る上でのコンパクトカメラの利点を挙げます。

    撮影技術の有無に左右されない。

    オート撮影モード(メーカーによって「おまかせオート」「インテリジェントオート」など)で、誰にでもきれいな症例写真が撮れます。

    標準画面比率(縦横比)が4:3である。

    コンパクトカメラで撮る標準画面比率は4:3です。一方、一眼レフカメラなどレンズ交換型カメラで撮る場合の標準画面比率は3:2です。
    症例写真では、4:3の比率の方が無駄なスペースがなくなることが多いため、より適しています。

    【左】3:2の画面比率/【右】4:3の画面比率
    記事/インライン画像
    標準画面比率(縦横比)が4:3

    ピンボケになりにくい。

    コンパクトカメラはレンズ交換型カメラよりピントの合う範囲が深い(被写界深度が深い)ので、ピンボケの写真になりにくいといえます。
    なお、携帯電話やスマートフォンのカメラ機能では、搭載されているセンサーが小さいため立体感に欠ける写真となってしまいます。カメラが手元にない場合の非常用と考えた方がよいでしょう。

    Q3. 必要な画素数・機能についておしえてください。

    <有効画素数>

    最近のコンパクトカメラは1000万画素(10メガピクセル)以上の機種がほとんどです。症例写真では300万画素以上あれば十分ですから、これからカメラを購入するのであれば、画素数はあまり気にしなくてよいでしょう。

    <機能>

    被写体に近寄ると自動でマクロ(接写)モード(最短撮影距離は5cmでも1cmでも可)に切り替わるものや、光学ズーム(4~5倍程度で可)を搭載しているコンパクトカメラを選ぶとよいでしょう。

    <画質>

    通常はMedium(ミディアム)サイズでFine(ファイン)設定のjpegで十分でしょう。

    Q4. カメラの設定についておしえてください。

    コンパクトカメラでは以下の設定で撮影します。

    撮影モードは基本的なオートモードにする。

    シーンごとに自動設定されるモード(例:夜景モードなど)や、自分で調整する必要があるモード(例:プログラムモードなど)よりもオートモードの方が失敗が少ないでしょう。スポット(1点)AFや中央重点AFでは、1カ所にしかピントが合わないため、複数の測距点を自動選択してピントを合わせるマルチポイントAFに設定します。

    内蔵フラッシュ(ストロボ)を使わない。

    近接して内蔵フラッシュを使うと白く飛んだ部分ができやすくなります。病棟やカーテンの影など暗くてどうしてもストロボが必要なときは、ズーム機能を使い望遠にしてフラッシュを使うと光が均一に写りやすくなります。

    内蔵フラッシュを使った例
    記事/インライン画像
    内蔵フラッシュを使った例

    近くにある手の甲が白く飛んでいます。

    Q5. 撮影する際の明るさや背景はどうしたらよいでしょうか?

    診察室の明るさで十分。

    室内で撮影する場合は光量が問題になりますが、一般的には診察室の明るさで十分です。往診時や入院患者の病室などでは、明るさを確保するためカーテンを開けるなどの工夫をした方がよい場合もあります。

    背景には院内にある布などを活用する。

    背景は、症例写真を撮影する上で注意すべき点のひとつです。布や紙を背景にし、余計なものが写らないようにしましょう。特別な準備は必要なく、院内にある大きめの布(緑、水色の消毒用やディスポーザブルのものなど)で十分です。

    Q6. 適切な構図についておしえてください。

    無駄なスペースを少なくする。

    被写体の比率に合わせて横位置と縦位置を使い分けると、無駄なスペースが少なくなり見やすくなります。部位によって横位置、縦位置がある程度決まっているので、覚えておくと便利です(付録参照 )。

    付録)症例写真フレームの目安
    記事/インライン画像
    付録)症例写真フレームの目安
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    出典:
    レパヴーアンドレ,大原 國章:皮膚病診療vol.32増刊号「皮膚科検査法の実際」, 39

    被写体の角度に合わせて撮る。

    下腿や鼻背を撮るときに注意が必要です。光軸(レンズの中心を通る線)と被写体(皮膚面)が垂直になるようにカメラを向けます。

    冒頭の写真の解説

    ①背景に余計なものが写っている→背景に布を引くなど工夫しましょう。

    ②③いわゆる日の丸型、無駄なスペースが多い→構図を工夫しましょう。頭部の写真は縦撮りにするだけで違う写真になります。

    記事/インライン画像
    症例①NG
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    矢印
    記事/インライン画像
    症例①GOOD
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    症例②NG
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    矢印
    記事/インライン画像
    症例②GOOD
    記事/インライン画像
    症例③NG
    記事/インライン画像
    矢印
    記事/インライン画像
    症例③GOOD

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