6.単純疱疹の疫学
単純疱疹の疫学
口唇・顔面ヘルペスの疫学
口唇・顔面ヘルペスは、単純疱疹の中で最もよくみられる臨床型で、成人の約3割で発症経験があるとされています1)。
複数の健康保険組合のレセプトデータと健診データを集積したJMDC claims databaseを用いて、2018年1~12月のデータ(約177万例)からICD-10(国際疾病分類)でヘルペスウイルス感染症(B00)または肛門性器ヘルペス感染症(A60)に分類される診断を受け、かつ抗ヘルペスウイルス薬が処方された患者を単純ヘルペス患者として抽出し、全国の推計患者数を求めました。
その結果、口唇・顔面ヘルペスの推計患者数は約152万人と推計されました。口唇・顔面ヘルペス患者の年齢分布は同時期における本邦の人口ピラミッド2)にほぼ沿っていたことから、年齢を問わず一定の割合で存在することが示唆されました。また、男女比は女性の方が多くなっていました(図1)。
性器ヘルペスの疫学
性器ヘルペスは、思春期以降の男女に多くみられます。まれに乳幼児でみられることがあり、母親や看護師の手指から感染します1)。
先述のJMDC claims databaseを用いた単純ヘルペスの疫学調査の結果、全国の性器ヘルペスの推計患者数は約13万人と推計されました。患者数は20歳代から急速に増加しており、女性の方が男性よりも約2倍多くなっていました(図2)。
- 清水宏:あたらしい皮膚科学 第3版, 中山書店. pp488-489, 2018
- 厚生労働省ホームページ. 人口推計(平成30年10月1日現在)