ファムビルのPITによる短期間投与について
再発性の単純疱疹に対するファムビルのPIT*による短期間投与
* Patient Initiated Therapy
6. 用法・用量(抜粋)
〈単純疱疹〉
通常、成人にはファムシクロビルとして1回250mgを1日3回経口投与する。
また、再発性の単純疱疹の場合は、通常、成人にはファムシクロビルとして1回1000mgを2回経口投与することもできる。
単純疱疹に対する用法・用量のイメージ図
注)腎機能に応じた本剤の投与量及び投与間隔の目安は添付文書を参照すること

開発の経緯
再発性の単純疱疹の治療には経口抗ヘルペスウイルス薬が用いられるが、その用法・用量が国内と海外では大きく異なる。国内では発症後に処方された薬剤を原則5日間服用する治療が一般的だが、海外ではPatient Initiated Therapy(PIT)※で発症初期に短期間服用する治療が標準となっている。
再発性の単純疱疹に対する抗ヘルペスウイルス薬服用は、発病初期に近いほど治療効果が期待できるとされているが、初期症状の時点で医療機関を受診できている患者は少ない1)。海外のように初期症状を正確に自覚できる患者をPITで治療できれば、発病初期の治療が可能となり、服薬日数の短縮、服薬アドヒアランスの向上が期待できる。国内でも初期症状を正確に自覚できる患者は多く、PITによる短期治療は本邦の再発性の単純疱疹の新たな治療選択肢になり得ると考えられた。
以上より、国内で本剤のPITによる短期治療の開発に着手し、再発性の単純疱疹(口唇ヘルペス及び性器ヘルペス)を対象とした第Ⅲ相臨床試験を実施した。その結果、本剤1回1000mg(4錠)2回投与のプラセボに対する優越性が検証され、認められたベネフィットを踏まえると安全性は許容可能と判断された。これにより2019年2月に再発性の単純疱疹に対する1回1000mg2回投与の用法・用量が追加承認された。
あらかじめ処方された薬剤を初期症状に基づき患者判断で服用開始する治療方法
- 川島 眞:臨床医薬, 29(2),137(2013)
ファムビルのPITによる短期間投与に関する臨床試験
【有効性を評価した臨床試験の概要】
試験番号 資料区分 実施国・地域 |
試験デザイン | 治験薬 投与方法 投与期間 |
対象 被験者数* |
有効性に関する 主要評価項目 |
---|---|---|---|---|
M521101-02 評価 日本 |
プラセボ対照 ランダム化(層別割付) 二重盲検 並行群間比較 多施設共同試験 |
|
再発性の単純疱疹(口唇ヘルペス、性器ヘルペス)患者 ランダム化:1134例 (ITT:531例) 1000mg ×2回/日:568(263)例 プラセボ:566(268)例 |
単純疱疹のすべての病変部位が治癒するまでの時間(主要な解析ではAborted lesion※1を除く) |
FAM810A 2403 参考 米国他 |
プラセボ対照 ランダム化 二重盲検 並行群間比較 多施設共同試験 |
|
再発性の口唇ヘルペス患者 ランダム化:1376例 (ITT:701例) 1500mg ×1回/日+:454(227)例 750mg ×2回/日+:466(220)例 プラセボ:456(254)例 |
口唇ヘルペスの原発病変部位(Aborted lesion※2を除く)が治癒するまでの時間 |
FAM810A 2402 参考 米国他 |
プラセボ対照 ランダム化 二重盲検 並行群間比較 多施設共同試験 |
|
再発性の性器ヘルペス患者 ランダム化:519例 (ITT:329例) 1000mg ×2回/日:259(163)例 プラセボ:260(166)例 |
性器ヘルペスのすべての病変部位(Aborted lesion※2を除く)が治癒するまでの時間 |
※1:紅斑・丘疹より進行しなかった皮疹(初期症状のみで皮疹発現なしを含む)
※2:丘疹より進行しなかった病変部位
*:ランダム化例数(ITT例数)
+:本邦において承認用法・用量外
4. 効能・効果
単純疱疹
帯状疱疹
6. 用法・用量(抜粋)
〈単純疱疹〉
通常、成人にはファムシクロビルとして1回250mgを1日3回経口投与する。
また、再発性の単純疱疹の場合は、通常、成人にはファムシクロビルとして1回1000mgを2回経口投与することもできる。
7. 用法・用量に関連する注意(抜粋)
〈効能共通〉
7.1 腎機能低下患者では投与間隔をあけて減量することが望ましい。腎機能に応じた本剤の投与量及び投与間隔の目安は添付文書を参照すること。
7.2 血液透析患者には本剤250mgを透析直後に投与する。なお、次回透析前に追加投与は行わない。
〈単純疱疹に対して1回1000mgを2回投与する場合〉(抜粋)
7.6 本剤の服用は、初期症状発現後、速やかに開始することが望ましい。[初期症状発現から6時間経過後に服用を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていない。]また、臨床試験において、2回目の投与は、初回投与後12時間後(許容範囲として6~18時間後)に投与された。
8. 重要な基本的注意(抜粋)
〈効能共通〉
8.1 意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。
8.2 急性腎障害があらわれることがあるので、腎機能検査を行うなど観察を十分に行うこと。
〈単純疱疹に対して1回1000mgを2回投与する場合〉
8.3 初回の服用は初期症状(患部の違和感、灼熱感、そう痒等)出現後6時間以内に服用すること、2回目は、初回服用後12時間後(許容範囲として6~18時間後)に服用すること、妊娠又は妊娠している可能性がある場合には、服用しないことを患者に十分説明し、患者が理解したことを確認したうえで処方すること。
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