ミチーガ®を使用される方へ 結節性痒疹けっせつせいようしんについて ー

監修 五十嵐敦之 先生(いがらし皮膚科東五反田 院長)

結節性痒疹について

結節性痒疹は、強いかゆみを伴う赤茶色の硬いドーム状またはイボのようなもりあがり(結節)ができる皮膚の病気です。多くは腕や足に発症しますが、体幹など広範囲にみられる場合もあります。症状は数年にわたって持続することもあります。
結節性痒疹の原因はいまだ解明されていませんが、虫刺されやアトピー性皮膚炎、糖尿病などの疾患が関係していることがあります。病変部では、かゆみを生じる物質(IL-31:インターロイキン31)の増加がみられます。また、かゆみを感じる神経(末梢神経)が伸びたり増えたりすることで、かゆみを感じやすい状態になっています。

ミチーガは結節性痒疹の
症状をおさえる薬です

結節性痒疹のこれまでの一般的な治療は、ステロイド外用剤や抗ヒスタミン剤などで炎症とかゆみをおさえることでした。しかし、これらの症状を一定の状態まではおさえられた場合でも、かゆみや結節が残ってしまい、なかなか治らない患者さんもいらっしゃいます。
ミチーガは、これまでの治療では効果が不十分な結節性痒疹の患者さんに使用できる薬です。
ミチーガは、結節性痒疹の皮膚で増加しているIL-31のはたらきをブロックします。IL-31は結節性痒疹のかゆみ、結節の形成、神経の増加に関係していて、ミチーガはこれをおさえることで症状の改善が期待されます。

ミチーガを使用できるのは
どのような患者さんでしょうか

ミチーガを
使用できる
患者さん

ステロイド外用剤などの炎症をおさえる塗り薬及び抗アレルギー剤を使用した治療を一定期間行っても、十分症状が改善しない、13歳以上の結節性痒疹患者さんが使用できます。

こんな
患者さんは
ミチーガを
使用できません

ミチーガに含まれている成分に対して過敏症を起こしたことがある患者さんは使用できません。

次の患者さんでは、ミチーガによる
治療を受けることについて注意が必要です

以下に該当する患者さんは主治医にご相談ください。

● 妊娠中、または妊娠している可能性のある患者さん

● 授乳中の患者さん

● 長期ステロイド内服療法を受けている患者さん

経口ステロイド剤を服用している場合、ミチーガによる治療開始後に経口ステロイド剤を急に中止しないでください。必ず主治医の指示に従ってください。

ミチーガの投与スケジュール

ミチーガは、通常、初回60mg、その後4週間に1回ずつ30mgを皮下注射します。

ミチーガ治療中に
ご注意いただきたいこと

ミチーガによる治療を受けている間は、主治医の指示に従って抗炎症外用剤を併せて使用してください。
ワクチンを投与する場合は、ミチーガ治療中であることを必ず医師に伝えてください。また、他の医療機関を受診する際も、ミチーガ治療中であることを伝えてください。

ミチーガ治療中に
予想される主な副作用

ミチーガの使用により起こる可能性のある副作用を知っておきましょう。
副作用は必ず起こるというものではありませんが、早めに気づいて対処することが大切です。

感染症

ヘルペス感染、蜂巣炎(蜂窩織炎)【ほうそうえん(ほうかしきえん)】、膿痂疹【のうかしん】などの皮膚の感染症や、上気道炎などの全身の感染症がみられる場合があります。いつもと違う皮膚の症状や、発熱、せき、のどの痛みなどのかぜの症状を感じた場合は、必ず主治医もしくは看護師、薬剤師にご連絡ください。

皮膚症状の悪化

ミチーガ治療中に、結節性痒疹とは異なる浮腫性紅斑【ふしゅせいこうはん】(少し膨らみのある皮膚の赤み)や湿疹などの皮膚症状があらわれる場合があります。これらの症状がみられた場合には、すぐに受診してください。

過敏症・注射部位の症状

一般的に過敏症は、薬が体質に合わない場合に起こります。
ミチーガの使用により、血圧低下、息苦しさ、意識の低下、ふらつき、めまい、吐き気、嘔吐などの症状がみられた場合は、すぐに主治医にご連絡ください。
その他、ミチーガを注射した部位の皮膚に内出血、赤み、はれなどの症状がみられることがあります。このような症状がみられた場合も、主治医もしくは看護師、薬剤師にお申し出ください。

こちらで紹介したもの以外にも、気になる症状が出た場合には、主治医もしくは看護師、薬剤師にご相談ください。

日常生活で気をつけること

結節性痒疹の症状は、皮膚への刺激やストレスの影響を受けて悪化することがあります。日常生活では、以下のような点に気をつけましょう。

からだを清潔に保ちましょう。

● 汗や汚れは、強くこすらずにできるだけ早く落としましょう。
● 石けん・シャンプーはよく泡立てて使い、洗い終わったあとはしっかり洗い流しましょう。

● かゆみを生じるほどの高い温度の湯につかったり、入浴剤を使用するのは控えましょう。

● からだを洗う際は、ナイロンなどの素材のタオルは避け、柔らかいタオルを使用しましょう。

ダニ、ホコリをためずに室内を清潔にし、適度な温度・湿度を保ちましょう。

皮膚をかかないようにするため、爪はなるべく短くし、睡眠中は手袋などをするとよいでしょう。

皮膚に刺激を与えないよう、新品の服は一度水洗いしましょう。

洗剤は、できれば界面活性剤含有量の少ない洗剤を使用し、洗剤のすすぎ残しがないように、すすぎを十分に行いましょう。

治療の目標

結節性痒疹は、強いかゆみと、外観的に目立ってしまう結節、また慢性的な症状の持続により、患者さんの生活の質(QOL)にも影響を及ぼす病気です。よく眠れなくなる、周りの目が気になる、人付き合いに消極的になることも多く、うつ病や不安症に至る方もいらっしゃいます。
あなた自身の治療目標を設定し、適切な治療を続けましょう。

治療目標例

  • かゆみで目が覚めることがなく、
    ぐっすり眠れる

  • かきむしりによる
    出血をなくす

  • 結節を気にせずに
    服を選ぶことが
    できる

  • 周りの人の目を
    気にしなくてすむ

  • スポーツや
    人付き合いも
    積極的に行える

  • 仕事や勉強に
    集中できる

ミチーガ治療のQ&A

Q

結節性痒疹の症状がおさまれば、ミチーガによる治療を中止してもよいですか。

A

結節性痒疹の症状がいったんおさまったとしても、治療を中止すると再び症状があらわれることがあります。中止してもよいかどうかは、主治医に相談してください。

Q

ミチーガによる治療を始めても、結節性痒疹の症状がおさまりません。

A

患者さんによって異なりますが、通常はミチーガによる治療開始から16週頃までには効果があらわれます。16週を超えても効果がみられない場合には、主治医に相談してください。

Q

ミチーガを使用してから1ヵ月を過ぎましたが、忙しくて病院に行けないので、しばらく使用しなくても問題ないですか。

A

ミチーガは、通常4週(1ヵ月)ごとに注射します。できるだけ速やかに医療機関を受診して医師に相談してください。