お悩み・疑問Q&A

白癬

Q&A

水虫(白癬)

市販の水虫(みずむし)の薬(市販薬)は、どんなものを選ぶとよいでしょうか?

水虫は、白癬菌(はくせんきん)という真菌(しんきん;カビ)が皮膚の角質層(かくしつそう)に寄生して起こる感染症です。そのため、水虫の治療は、白癬菌の増殖を抑える「抗真菌薬(こうしんきんやく)」を用います。抗真菌薬には塗り薬(外用薬)と飲み薬(内服薬)がありますが、市販されているのは、外用薬のみです(内服薬は医師の処方せんが必要となります)。 外用薬には液剤、クリーム剤、軟膏などがありますが、効き目に大きな差はありません。ポイントは、水虫の症状に合わせた使い方(塗り方)にあります。

■外用薬の剤型

  • 液剤:乾きやすく、塗った後の使用感はよいが、刺激性は強い。ジュクジュクしたところやただれたところに水虫の薬を塗るとかぶれやすく、中でも液剤はかぶれやすい。
  • クリーム剤:刺激性が少なく、薬の皮膚への浸透性がよい。最もよく用いられている。
  • 軟膏:刺激が最も少ないため、亀裂のある患部にも使用できるが、ややベタつく。

渡辺 晋一 先生(帝京大学 名誉教授)

水虫(白癬)

外用薬にはどんな副作用がありますか?

外用薬の副作用には「かぶれ」などがあります。薬を塗っているのにかゆみが強くなったり、赤くなったりする場合は、薬の副作用の可能性もありますので、皮膚科医師や薬剤師に相談してください。趾間型水虫(しかんがたみずむし)でジュクジュクしたりただれている場合は特にかぶれやすいので注意が必要です。

渡辺 晋一 先生(帝京大学 名誉教授)

水虫(白癬)

水虫に似た皮膚疾患には、どういうものがありますか?

水疱ができると「水虫では…?」と思うことが多いようですが、水虫に似た別の疾患である場合もあります。似た疾患としては湿疹(しっしん)・皮膚炎群が多く、汗疱(かんぽう)、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)、疥癬(かいせん)、カンジダ症(かんじだしょう)など、さまざまなものがあります。

■汗疱(かんぽう)

手のひら・足の裏・手足の指などに細かい水疱のようなブツブツができます。足にできた場合、水虫とよく間違えます。最初は細かい水疱ですが、やがて薄い皮がむけるようになり、1ヵ月ほどで治ります。

■掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)

手のひらや足の裏が赤くなり、そこに小さな膿(うみ)がたくさん生じます。掌蹠膿疱症になる原因はまだよく分かっていません。

■疥癬(かいせん)

ヒゼンダニというダニが人の皮膚に感染して起こる感染症(かんせんしょう)です。皮膚の直接接触により感染します。また、寝具などから感染することもあります。手足の指の間や腹部、外陰部、大腿部の内側などに発疹ができてかゆくなります。

■カンジダ症

カンジダ属の真菌によって起こる感染症です。皮膚や粘膜以外にも多くの臓器が感染することがあります。

渡辺 晋一 先生(帝京大学 名誉教授)

水虫(白癬)

皮膚科医師に「外用薬は水虫が治っても、毎日1回、最低1ヵ月以上は塗り続けるように」といわれました。なぜ長い間、塗り続けるのですか?

趾間型水虫(しかんがたみずむし)、小水疱型水虫(しょうすいほうがたみずむし)の場合、外用薬で2週間程度治療すれば水虫の症状は治りますが、症状が治ったようにみえても、白癬菌(はくせんきん)が皮膚の角質層に残っていることがあります。菌が残っていると水虫を繰り返してしまいます。白癬菌が完全にいなくなる目安が“最低1ヵ月以上”なのです。
角質層(かくしつそう)が、新陳代謝によって白癬菌がいない新しい角質層に入れ替わるには、個人差はあるものの約1ヵ月かかります。

皮膚の構造

体にできる白癬(タムシ)が必ずかゆいのに対し、足にできる白癬(水虫)はかゆくないことも多いのですが、これは足の裏と体とで角質層の厚みが異なるためです。
表皮細胞は、基底層で生まれ、順次皮膚表面に押し上げられていき、角質層の表面からあかやふけとなってはがれ落ちていきます。これらのサイクルが一周するのに約1ヵ月かかります。

渡辺 晋一 先生(帝京大学 名誉教授)

水虫(白癬)

薬剤師さんから、水虫の治療で「外用薬を塗るときは、患部より広めに塗るように」といわれました。どうしてですか?

外用薬は、症状の出ているところだけでなく、指の間からかかとまで、足の裏全体にまんべんなく塗ります。反対側の足にも、同じように塗ります。自覚症状がないところにも、白癬菌(はくせんきん)が広く存在している可能性があるためです。
また、外用薬はおふろ上がりに塗るのが効果的です。角質層(かくしつそう)が軟らかくなっているときのほうが、薬が浸透しやすいためです。

外用薬の塗り方

毎日1回おふろ上がりに足の裏全体にまんべんなく、ていねいに塗る。反対側の足にも塗る。

  • 外用薬を塗る部位や、1日に塗る回数(通常1回)・量は医師・薬剤師の指示をきちんと守って下さい。

渡辺 晋一 先生(帝京大学 名誉教授)

水虫(白癬)

皮膚科を受診した場合、治療期間はどれくらいですか?

治療期間には個人差があります。小水疱型(しょうすいほうがた)、趾間型(しかんがた)では外用薬(がいようやく)による治療で1ヵ月、角質増殖型(かくしつぞうしょくがた)では内服薬(ないふくやく)による治療で2~3ヵ月、爪白癬(つめはくせん)では 内服薬による治療で3~6ヵ月が目安の期間ですが、治療期間には個人差がありますので皮膚科医師の指示にしたがって治療を続けるようにしましょう。

渡辺 晋一 先生(帝京大学 名誉教授)

水虫(白癬)

皮膚科を受診した場合、どんな検査をするのですか?

水虫(みずむし)であるかどうかの検査をします。これは、実際に患部から皮膚や爪の一部を採取して、それを顕微鏡で観察し、白癬菌(はくせんきん)がいるかどうかを調べます(直接鏡検)。そこで、白癬菌がみつかれば、水虫と診断します。
水虫だと思って皮膚科を訪ねた患者さんの3分の1くらいが別の皮膚疾患であったり、逆に、水虫ではないと思って受診した患者さんが水虫だったという報告もあります。水虫かどうかは、皮膚科医師による検査ではじめて診断できるのです。
次に、白癬菌がみつかり内服薬(ないふくやく)を処方する場合は、患者さんがその薬を服用できない体質や疾患を持っていないかどうかを調べるために、血液検査(けつえきけんさ)を行います。皮膚科医師は、こうした検査結果をもとに治療します。

渡辺 晋一 先生(帝京大学 名誉教授)

水虫(白癬)

家族が水虫になったため、外用薬を塗ってあげようとして、患部に触れてしまいました。 うつらないでしょうか?

患部に手で触れても、通常はうつる心配はありません。たとえば足の皮膚に白癬菌(はくせんきん)がついたからといって、すぐに水虫になるわけではありません。付着した白癬菌は足が乾燥していればはがれ落ち、足を洗えば洗い流されます。白癬菌がついたまま、高温多湿の状態が長時間続くと、水虫になってしまいます。
したがって、水虫の人とバスマット、スリッパなどを共用していると感染する機会が多くなります。

■感染のポイント

白癬菌が付着して24時間以上経過しなければ感染しません。
ただし傷口があれば12時間で感染します。

渡辺 晋一 先生(帝京大学 名誉教授)

水虫(白癬)

薬を塗り続けているのにかゆみが治まりません。薬を変えるべきでしょうか?

水虫(みずむし)ではない可能性があります。また、かぶれを起こしている場合もあります。薬を変える前に、まず皮膚科医師に診てもらい、本当に水虫かどうか確認してもらいましょう。

渡辺 晋一 先生(帝京大学 名誉教授)

水虫(白癬)

皮膚科を受診した場合、水虫の治療はどのように行われますか?

水虫の原因は真菌(しんきん;カビ)なので、抗真菌薬(こうしんきんやく)で治療します。
趾間型(しかんがた)、小水疱型(しょうすいほうがた)の水虫の場合は、通常は外用薬(がいようやく)を1ヵ月以上用いればよくなります。
一方、角質増殖型(かくしつぞうしょくがた)や爪白癬(つめはくせん)の場合は、外用薬では白癬菌(はくせんきん)のすみついている奥の方までは薬が届きにくいため、内服薬(ないふくやく)が処方されます。また、外用薬によるかぶれやただれがひどい場合にも、内服薬を短期間用いることがあります。

渡辺 晋一 先生(帝京大学 名誉教授)