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保険薬局マネジメント

尋常性ざ瘡治療薬における副作用軽減のための服薬指導

ココカラファイングループ(本社:神奈川県横浜市、日本全国に1,300店舗超を展開)では、「人々のココロとカラダの健康を追求し、地域社会に貢献する」という経営理念のもと、ドラッグストア事業、調剤事業、介護事業、インターネット販売事業などを連携させた地域のヘルスケアネットワークづくりを進めている。その中で、ドラッグストア・調剤事業では、地域密着化を推進し、各地域の特性に合った業態を展開し、地域住民に支持される店舗づくりをめざしている。同グループの株式会社ココカラファインヘルスケア江坂店では応需処方箋の約半数を皮膚科が占めていることから、尋常性ざ瘡治療薬を対象に薬剤師の服薬指導による副作用軽減に取り組み、その成果を学会で報告した。その経緯と具体的な活動および結果について、浦先生に伺った。

株式会社オオノ ひかり薬局大学病院前調剤センター 店長兼管理薬剤師 藤田 尚宏 先生

株式会社ココカラファインヘルスケアココカラファイン薬局江坂店薬局長浦 伸一 先生

服薬指導により外用薬の副作用軽減、継続治療をめざす

  • 株式会社ココカラファインヘルスケア江坂店(以下、江坂店)は、様々な世代の人が暮らす生活圏とオフィス街が隣接する地域に立地している。そのため患者層も年配者、子どもやその保護者、学生、社会人とバラエティに富み、対応疾患も多岐にわたる。その中でも皮膚科領域は処方箋の約半数を占めていることから、江坂店は皮膚科に重点をおき、一般的な皮膚症状から尋常性ざ瘡、ヘルペス、帯状疱疹、乾癬などさまざまな皮膚疾患の患者さんに対応している。
    浦先生は、外用薬はコンプライアンス、アドヒアランスの面で課題が多いと感じている。例えば、最初に医師や薬剤師が外用薬の使い方(外用部位、範囲、塗布量など)を事前に指導しても、患者さんにそれがきちんと伝わらないことがある。例えば少量から塗るように指導しても大量に塗ってしまうような人がいる一方で、塗布量が不十分な人もみられる。しかし、薬剤を適切に使用しなければ副作用の発現につながったり、あるいは十分な効果が得られなかったりすることから、江坂店では外用薬を適切に使用するための服薬指導を重視。2017年に浦先生が中心となり、尋常性ざ瘡治療薬であるアダパレンゲル、過酸化ベンゾイルゲル、およびそれらの配合剤であるアダパレン/過酸化ベンゾイルゲル(以下、配合剤)に関して、薬剤師による服薬指導が副作用をどれだけ軽減できるかを調査した。

  • 佐野薬局中通一丁目店(秋田市中通1-2-16)

    ココカラファイン薬局江坂店(吹田市豊津町1-25 江坂森田ビル1F)

それぞれの患者さんに合わせた服薬指導

初回皮膚刺激の評価用アンケート項目

表. 初回皮膚刺激の評価用アンケート項目

2017年4月~9月の期間に江坂店を訪れた患者さんのうち、アダパレンゲル、過酸化ベンゾイルゲル、配合剤のいずれかの尋常性ざ瘡治療薬を初めて調剤された117例(すでに尋常性ざ瘡治療薬を使用しており、他の薬剤に変更したケースを含む)を対象とした。調査開始にあたっては、対応する薬剤師によって服薬指導内容に差が出ないよう、全14名の薬剤師が事前に勉強会を行い、情報共有と意思統一を図った。
服薬指導では、尋常性ざ瘡治療に関する書籍やメーカーのパンフレットなどを参考に作成したオリジナルのリーフレットを用いて、洗顔、保湿、外用薬の塗り方の手順を重点的に説明した。具体的には、尋常性ざ瘡治療薬は使用開始から約2週間のうちに刺激感/灼熱感や紅斑、乾燥、鱗屑・落屑などの副作用が現れる可能性があることを十分に説明し、続いて、治療薬を塗布する前の保湿が重要であることを伝えた。外用薬の塗布に関しては、最初は少量を狭い範囲に塗り、徐々に量を増やして塗布する範囲を拡げていくよう指導した。
しかし患者さんは多様であり、理解度もさまざまである。使用する薬剤によって説明すべき項目数も異なる。対応にあたる薬剤師は、患者さんの年齢に配慮し、理解度を確認しながら、ポイントをしぼった説明を心がけた。また、肌の弱い人、アトピー性皮膚炎の人、ストレスが高い人、保湿がおろそかになりがちと考えられる10歳代の男性など、患者さんに応じて指導内容を取捨選択したり強弱をつけたりした。説明時には専門用語をなるべく避けて、例えば「白ニキビ」「赤ニキビ」といった、患者さんにわかりやすい言葉を用いるようにしたという。
副作用の評価は、患者さんが2度目に来局した際に行った。紅斑、落屑、皮膚乾燥、そう痒感、刺激感/灼熱感の各項目についてヒアリングしてスコアを出し()、メーカーのドラッグインフォメーション(DI)記載の副作用評価データと比較した。今回の調査では、アダパレンゲル71例(男性18例、女性53例、平均25.6歳)、過酸化ベンゾイルゲル37例(男性6例、女性31例、平均23.0歳)、配合剤9例(男性8例、女性1例、平均20.7歳)が対象であったが、いずれの薬剤においても副作用の発現頻度がDIよりも低い傾向を示す項目が複数存在した()。

副作用の発現頻度(メーカーDIとの比較)

図.副作用の発現頻度(メーカーDIとの比較)

調査研究は服薬指導の質向上にも寄与

今回の調査は、初めて処方された尋常性ざ瘡治療薬に関して、保湿や塗布方法を含めた薬剤師の服薬指導が副作用を減らすとの仮説に基づいて行われた。「薬剤師が服薬指導をきちんと行うことで、実際に副作用が抑えられる傾向がみられました。服薬指導は従来から行っておりますが、テーマを設定したことで当薬局の薬剤師たちはさらにしっかりと服薬指導をするようになったと感じます」と浦先生は話す。
患者さんが自己判断で薬をやめたり、副作用が出現しても続けたり、受診を中断したりしないよう、定期的な受診を促すこと、さらには「お薬をきちんと使っておられるので、以前よりも良くなってきましたね」などと患者さんを励まし、安心を与えることも薬剤師の重要な任務であると浦先生は考えている。それにより患者さんが「今後も治療を続けよう」という気持ちになり、服薬コンプライアンス、アドヒアランスの維持・向上につながるからだ。「こうしてお薬に命を吹き込むことも、私たち薬剤師の仕事です」と浦先生。今後については「当薬局だからこそ実施可能な研究テーマを見出し、患者さんにも薬剤師自身にもメリットのある取り組みを行っていきたい」とのことであった。

参考文献

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