褥瘡辞典 for MEDICAL PROFESSIONAL ~褥瘡(床ずれ)の正しいケアと治療のために~

褥瘡の概要

褥瘡のメカニズム

発生の要因

褥瘡発生の要因には大きく分けて直接的要因と間接的要因があり、それぞれが相互に影響しています。

●直接的要因

褥瘡発生の最大の要因は、身体に加わった外力による皮膚および軟部組織への持続的圧迫です。皮膚の一定部位に圧迫が加わると、皮膚および軟部組織の血管が圧迫されて血流が途絶えます。特に骨突起部には体圧が集中しやすく、圧力および応力による循環障害が増大します。このような阻血(そけつ)状態が一定時間以上続くことにより不可逆的な組織壊死が生じて褥瘡となります。

MEMO

日本褥瘡学会によると、褥瘡は「身体に加わった外力は骨と皮膚表層の間の軟部組織の血流を低下、あるいは停止させる。この状況が一定時間持続されると組織は不可逆的な阻血性障害に陥り褥瘡となる。」と定義されている。

●間接的要因

褥瘡発生には直接的要因の他にもさまざまな間接的要因が関わっています。

全身的要因

  • 低栄養:低アルブミン血症による浮腫や皮膚弾力性の低下など。
  • やせ:低栄養が進むと皮下脂肪および筋肉組織が減少し、骨突出につながりやすい。
  • 加齢・基礎疾患:加齢に伴う日常活動性などの低下、基礎疾患としての骨粗鬆症、糖尿病など。
  • 薬剤投与:抗がん剤、ステロイド剤などによる易感染性、創傷治癒遅延など。
  • 浮腫:うっ血性心不全、肝および腎機能障害、甲状腺機能低下症など。

局所的要因

  • 加齢による皮膚の変化:皮脂分泌低下による乾燥、表皮の菲薄(ひはく)化などで外界からの刺激に弱くなっている。
  • 摩擦・ずれ:体位変換時などに摩擦やずれが生じる。
  • 失禁・湿潤:尿・便失禁、発汗などによる皮膚の湿潤や汚染のため皮膚傷害が起こりやすい。
  • 局所の皮膚疾患:皮膚感染症、炎症性皮膚疾患など。
図:褥瘡発生の間接的要因

社会的要因

  • 介護力(マンパワー)の不足。
  • 福祉制度・サービスなどに関する情報不足。
  • 経済力不足。
●発生しやすい状況

褥瘡が発生しやすいのは次のような状況下です。

  • 寝たきりの高齢者:自力での体位変換が困難、低栄養、廃用性(はいようせい)萎縮、スキンケア困難など。
  • 疾患急性期:発熱、疼痛、自立度低下、知覚低下、意識障害など。
  • 周術期:手術前安静、手術中体位、手術時低血圧、カテコールアミン使用、ICU、術後除痛など。
  • 特殊疾患状態:脊髄損傷で車いす生活、神経変性疾患、精神疾患、鎮痛剤使用時など。
  • 終末期:疼痛、呼吸困難、低栄養など。
疫学
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