褥瘡発生後のケア
圧迫・ずれの排除
圧力のコントロール
- 圧力の管理
褥瘡発生後の圧力のコントロールは、日常生活動作に適した体圧分散用具を使用して除圧・分散を図ります。できれば体圧測定器を用いて体圧を測定し、測定値に基づいた用具選択をします。また、用具による局所圧迫が起こっていないか注意します。体圧の測定
簡易体圧測定器を用いて体圧値を測定し、適切な用具選択や、エアマットの圧調整を行う。褥瘡部位の体圧値は40mmHg以下を目安とする。
局所圧迫の確認
体位変換を行うほか、ポジショニング用具による局所圧迫が起きていないか、手を当てて確認する。
- 皮膚のたるみのケア
殿筋の萎縮などで皮膚にたるみがあると、30度または90度側臥位では創周囲がたるむことによって創が変形します。その場合は、腹臥位やシムス位(下図参照)をとると創部の変形を防ぐことができます。体位の工夫
日本褥瘡学会編集:在宅褥瘡予防・治療ガイドブック-第3版:122, 2015より一部改変
シムス位
半腹臥位で上になった方の足を軽く曲げ、前に出して寝る姿勢のこと。
腹臥位やシムス位がとれないときは、テープを使用してたるみを補正します。ただし、テープによる皮膚損傷が起きないよう、貼付前に皮膚被膜剤を塗布するなどの工夫をします。
テープの使用
宮地良樹, 溝上祐子編集:褥瘡治療・ケアトータルガイド:177, 2009 - 踵部のケア
踵部の除圧方法
マルホ(株)小冊子:褥瘡ケアを知ろう:11, 2022下腿部に座布団やクッションなどを当て、踵部を浮かせて除圧します。
虚血肢の挙上は、高すぎると踵部の血流を更に低下させるため、床面からわずかに浮いている程度でよいでしょう。
なお、円坐を使用してはいけません。円坐に接触する皮膚に圧迫と引張(ひっぱり)力が加わり阻血(そけつ)状態を起こします。
- その他
創部のガーゼ、ドレッシング材やおむつなどにより圧迫されている場合もありますので、ガーゼやドレッシング材を当てるときは重ね付けしないようにします。滲出液が多い褥瘡には、吸水性の高いドレッシング材やパッドを選択し、厚みを減らすようにします。