服薬指導に役立つ皮膚外用剤の基礎知識 No.1:【コラム】皮膚外用剤の剤形-泡(フォーム)を形成するスプレー剤
皮膚外用剤の剤形――泡(フォーム)を形成するスプレー剤
第十七改正日本薬局方の製剤総則における製剤各条の剤形の定義として、皮膚などに適用する製剤には外用固形剤、外用液剤、スプレー剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤があり、その中のスプレー剤には外用エアゾール剤とポンプスプレー剤があります。どちらのスプレー剤も、フォームにすることで皮膚の広い面積を塗りやすいという使いやすさが特徴の一つです。
外用エアゾール剤とポンプスプレー剤のフォームを形成する主な仕組みを知っておきましょう。
外用エアゾール剤
有効成分の溶液(原液)を、容器に充填した液化ガスまたは圧縮ガスと共に噴出させます。
外用エアゾール剤の原液と噴射剤の組み合わせには、3相(液相部2相と気相部1相)と2相(液相部1相と気相部1相)の2種類がある。
下図は、3相系2液層型エアゾールの例

ポンプスプレー剤
有効成分の溶液(内容液)をポンプヘッドを押す圧力によって吐出させます。吐出する際に溶液がポンプ内のメッシュ等を通ることでフォームが形成されます。

添加剤として、フォームを皮膚に適用した際の速やかなフォームの崩壊のために、皮膚刺激性や皮膚を乾燥させる作用のある低級アルコールが添加されている製剤もあります。一方で、低級アルコールを含まず、親油性と親水性の界面活性剤の組み合わせにより速やかなフォームの崩壊を実現させている製剤もあります。
また、フォームはのびがよいため、塗布量が少ないと効果に影響が及ぶこともあるため、のばし過ぎないよう説明することも大切です。
廃棄においては、外用エアゾール剤は中身を使い切ったうえで、必ず火気のない通気性のよい戸外で、容器内に残っているガスを出し切り、ガス抜き後、お住まいの自治体で決められた方法により廃棄します。
ひとくちにスプレー剤といっても製品ごとにフォームを形成する方法は異なります。容器や取り扱い方法、添加剤の違いを確認し、服薬指導に役立てる必要があります。
- 参考:
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- 第十七改正日本薬局方,製剤総則,製剤各条11.皮膚などに適用する製剤
- 日本エアゾール協会技術委員会,東洋エアゾール工業株式会社研究部 エアゾール包装技術 ーその基礎から応用までー,エアゾール産業新聞社,1998
- 特開第2016-132475号
- 常深祐一郎 編:みんなの皮膚外用薬.南山堂,東京,2019
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