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maruho square 保険薬局マネジメント:QRコードを利用した薬局における 新たな服薬支援ツール ~保健薬局薬剤師から動画で情報を発信~


薬物治療の複雑化、薬剤投与デバイスの種類の増加、高齢化の急速な進展などにより、薬を正しく使用できないケースが散見され、保険薬局薬剤師(以下、薬局薬剤師)による服薬支援は必要不可欠だ。また、在宅医療では多職種連携が求められ、顔の見える関係作りや情報共有が重要となる。しかし、新型コロナ感染症(COVID-19)のため、時限的措置として『新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて(0410対応)』が発出されるなど、対面での服薬支援は難しくなり、在宅医療の場でも多職種の集まりを避ける傾向にある。このようなことを踏まえ、一般財団法人和同会和同会薬局(東京都文京区、千代田区に2店舗運営)ではQRコードを用いた動画配信を活用し情報提供を行っている。その中心的役割を果たしている谷田理事長、澤井先生、田中先生にQRコードによる動画配信のきっかけと実際、今後の展望を伺った。

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一般財団法人和同会 和同会薬局 理事長 谷田 弘 先生
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一般財団法人和同会 和同会薬局 薬剤部長 澤井 一 先生
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一般財団法人和同会 和同会薬局 薬剤師 田中 祥子 先生
  • 一般財団法人和同会 和同会薬局 理事長 谷田 弘 先生
  • 薬剤部長 澤井 一 先生
  • 薬剤師 田中 祥子 先生

コロナ禍の0410対応で投薬時の情報提供が困難に

和同会薬局は、大学病院の門前薬局として多岐にわたる診療科から幅広い疾患の処方箋を応需している。患者さんの高齢化はもちろん、稀少疾患例や難治・重症例患者や薬剤投与デバイスを用いた薬物療法を受けているなど、薬局薬剤師の服薬支援なしには薬を正しく使 用できないケースが散見されるという。

和同会薬局(東京都千代田区神田駿河台2丁目3-10)

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和同会薬局(東京都千代田区神田駿河台2丁目3-10)
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和同会薬局(東京都千代田区神田駿河台2丁目3-10)

また、COVID-19の蔓延を受け、医療機関では診察機会を減らすために、処方日数を上限(90日処方)まで増やすことが多くなった。処方薬剤数が多い上に、処方日数が増えれば、患者さんは薬の管理がより難しくなり、薬局薬剤師の介入を必要とするようになる。しかし、COVID-19による0410対応において、保険薬局では全ての処方箋について電話や情報通信機器による服薬指導が可能となり、患者さんの来局機会が減ることとなった。それに加え和同会薬局では、混雑時には、患者同士の密を避けるために入店者数を制限し、服薬指導を1人5分程度にせざるをえなくなった。澤井先生は「電話などで服薬指導やフォローアップも行っていますが、患者さんの都合もあり、必要な情報を患者さんが理解できるまで十分に提供することが難しい状況に陥りました」と振り返る。
そこで、澤井先生は田中先生らと共に、患者さんが居宅において必要な時にいつでも確認できるかたちで、薬局薬剤師から正確な情報を伝える方法はないかと模索し始めた。そうしたところ、谷田理事長から「無償で簡単に作成でき、誰でも利用できるQRコードを利用して動画を配信する方法はどうか」と提案された。これは、スマートフォンなどで録画した動画ファイルのURLを無料QRコード作成サービスでQRコードに変換し、それを患者さんがスマートフォンなどで読み取れば動画を閲覧できるというものだ(図1)。

図1:QRコード
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図1:QRコード

汎用、患者専用、在宅患者用のQRコードで馴染みのある薬局薬剤師が説明する動画を配信

澤井先生らは、2020年3月より、『対象患者に汎用できるQRコード(以下、汎用QRコード)』『かかりつけ薬剤師として対応している患者専用QRコード(以下、専用QRコード)』『在宅医療を受けている患者用QRコード(以下、在宅QRコード)』を作成し動画を配信した。配信動画はいずれも30秒~1分程度、長くても3分以内だ。「あまり長いと患者さんは見るのが億劫になります」と谷田理事長。
汎用QRコードは、新型コロナ対策、水溶性マニュキアの使い方(抗がん剤の副作用で起こる爪のひび割れや変色が起きた時の対処法)、残薬整理などを作成し、対象患者のお薬手帳や薬袋に貼付した(図2)。

図2. おくすり手帳への貼付
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図2. おくすり手帳への貼付

専用QRコードは、かかりつけ薬剤師として対応している糖尿病患者(現在3名)に作成した。これは、患者別にフォルダを作成し、フォルダ内に新規動画を定期的にアップロードする。患者さんはその専用QRコードを読み取れば動画を確認できるという仕組みだ。田中先生は「糖尿病患者さんの中には、薬局薬剤師によるちょっとした声掛けだけで血糖コントロールが良くなる一方、介入を緩めると血糖コントロールが悪くなる方がおられます。そこで、かかりつけ薬剤師が動画の最初に“〇〇さん、いかがお過ごしですか、運動されていますか”といった呼びかけを必ず入れて自分ごととして捉えられるようにしています」と説明する。
在宅QRコードは訪問医や訪問看護師が、患者宅のお薬カレンダーに貼付しているQRコードを読み取ると、在宅訪問薬剤師の紹介動画を閲覧できるようにしている。
現在、服薬支援に関する動画は既に多種多様に存在しているが、谷田理事長は「見ず知らずの人よりも、日頃から付き合いのある馴染みの薬剤師が実際に薬局で説明しているように話しかけている動画のほうが、患者さんは親近感と安心感を持って見ることができ、しっかりと情報が伝えられるのではないかと考えました」と話す。

動画作成・配信が患者さんとの関係性強化に繋がる

患者さんから「家にいながら、顔見知りの薬剤師からいつでも動画で何度でも情報を確認できるので助かっている」などと好評だという。
また、例えば、喘息で吸入療法を行っている長期フォローアップ中の患者さんの場合、薬局薬剤師も患者さんも、いまさら吸入手技を説明/質問するのは気が引けてしまうが、動画配信をきっかけに、患者さんの自己流になってしまっていた吸入手技の再確認ができたというケースもあるなど、長期服薬患者のアドヒアランス向上にも役立っている。
患者さんが来局した際には「先生、動画に出ていたね」と話しかけられることもあり、コミュニケーションのきっかけにもなる。田中先生は「動画を作成する際、患者さんの顔を思い出し、“どうされているのだろうか”と考えることが少なくありません」と話し、動画作成は改めて患者さんのことを考え、患者さんの伴走者として歩む気持ちを強くするきっかけになっていると強調する。
現在、汎用QRコードは患者さんのニーズを受けて19種類まで増えており、換気をしましょうなどの日常生活の注意点や保湿剤の使用方法、ストーマ利用時の注意点や、熱中症対策などの作成したポスターの動画配信も行っている。今後も、投薬時に得た患者さんからの“生”情報をヒントにニーズ が高い動画を作成していく予定だ。このように、動画作成・配信は薬局薬剤師と患者さんの関係性強化に繋がっている。

患者さんの服薬アドヒアランス向上だけでなく、データベースとして薬局の質向上にも活用

ただし、動画配信は薬局薬剤師から患者さんに向けての一方通行の情報提供でしかない。澤井先生は「患者さんの副作用の発現状況、悩みや不安などは電話などで情報収集していく必要があると思います。QRコードを活用した動画配信と電話などでの服薬支援・フォローアップをうまく使い分けながら、患者さんの服薬アドヒアランス向上に貢献していきたい」と話す。谷田理事長は、「動画は、論文などには掲載されていない、実際に患者さんを目の当たりにし、薬剤師のその対応を記録したもので、和同会薬局2店舗共通のデータベースになると考えています。患者さん側だけでなく、新人薬剤師の教育研修資材にも使えると考えており、薬局の質向上にも活用していきたいと思います」と結んだ。

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