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maruho square チーム医療と薬剤師:保険薬局併設ドラッグストアでの多職種連携による健康サポート~疾病の予防から改善・悪化抑制まで~


株式会社サンキュードラッグ(本社:福岡県北九州市)は、1956年の創業当初より「より豊かな生活の実現」をモットーに業界内でも早期から保険薬局併設ドラッグストアの運営に力を入れ、北九州市、下関市に保険薬局32店舗、ドラッグストア43店舗(うち28店舗が保険薬局併設)を展開している。各店舗は高齢者の徒歩可能範囲が500m圏内であることを考慮して1kmごとに出店しており、地域の一番身近な存在として、保険薬局薬剤師、管理栄養士、漢方相談員、登録販売員など多職種が連携し、地域住民一人ひとりのニーズに合った健康サポートを実践している。その経緯と実際、今後の展望について薬局長の有本江里先生にお話を伺った。

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株式会社サンキュードラッグ 平野薬局 薬局長 有本 江里 先生
  • 株式会社サンキュードラッグ 平野薬局 薬局長 有本 江里 先生

各職種が健康データを収集・管理し、オーダーメイドの健康サポートを提供

サンキュードラッグでは、地域住民に対して様々な健康サポートを提供されていると聞いています。

【有本】高齢になれば歩ける距離は限られてきて、生活行動は半径500m位とされています。サンキュードラッグでは北九州市及び下関市を8エリアに分け、高齢者でも歩いて来店できるように1kmごとの出店を進めています。薬歴データは、強固なセキュリティのもとサンキュードラッグ全店で共有され、様々な医療機関で処方された薬の「飲み合わせ」や「重複」などのチェックを自動で行っています。また、店舗内の管理栄養士、漢方相談員などの多職種と連携しながら、地域住民の受診勧奨や食事・運動療法への道筋をつくる様々なサポート(検体測定会、スマイルクラブ、スマイル体操教室)を実践し、疾病の予防、改善・悪化の抑制に努めています。

では、具体的に保険薬局薬剤師はどのような健康サポートを提供されていますか。

【有本】保険薬局薬剤師は通常の薬剤業務のほかに、10年以上前から、広島大学共同研究の指先穿刺による自己採血を行い、血糖値とコレステロールを測定する活動を定期的に開催しています。福岡県は、健康診断の受診率が低く、医療費負担が大きいことが以前から問題になっています。会社員であれば会社から健康診断の機会が提供されますが、専業主婦などのお客様は血液検査をする機会が少なく、「健康診断を受けたことがない」と言われる中高年の方も多くいます。そのような方に健診を受けるきっかけをつくり、健康診断受診率の向上や重症化を未然に防ぎ、医療費の軽減、更には健康寿命を延ばすことに繋げていきたいという思いから、地域住民への検体測定会を実施しています。

サンキュードラッグには管理栄養士の常勤店舗が各エリアに数店あるそうですが、管理栄養士の役割を教えてください。

【有本】管理栄養士が中心となり、会員制の『スマイルクラブ』や『スマイル体操教室(1回60分、専門のインストラクターが講師となり定期開催)』を運営するほか、『スマイル料理教室』『スマイルカフェ』『育児相談会(身体計測、栄養や発育の相談など)』『健骨測定会(骨密度測定)』など様々なイベントを実施しています。
スマイルクラブは、管理栄養士が筑波大学の運動指導プログラムに基づき、会員個々に作成したプログラムに則り、マンツーマンで食事や運動をサポート(3カ月間/クール)しています。会員は歩数や消費カロリーなどを測定できる活動量計で日常の身体活動をモニターし、週1回の来店時に血圧(毎回)、体組成(月1回)を計測し、データをもとに管理栄養士による30分程度のカウンセリングや筋トレの指導を受けながら、月初めに掲げた3つの目標をクリアしていきます。

漢方相談員はどのような活動をされているのですか。

【有本】サンキュードラッグ全店舗のうち3店舗に漢方相談薬局を開設しています。お薬も当然必要ですが、気持ちの面もサポートすべく、『話すことから始める漢方』をモットーにお客様からじっくりお話を伺うことに努めています。その内容はダイエット、更年期障害、自律神経失調症や不眠症、アレルギー疾患など多岐にわたります。漢方相談員はお客様から聞いた症状や悩みなどから、身体の状態や体質(証)を読み取り、その方にあった漢方を調剤し提供しています。そして、「証」にあった日常生活の見直しなどをアドバイスしています。

平野薬局(北九州市八幡東区平野3-1-3)
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平野薬局

お互いの職種の強味を生かして連携し、患者様・お客様の悩みにアプローチ

保険薬局薬剤師、管理栄養士、漢方相談員などがそれぞれの立場から患者様やお客様の健康サポートを実践されていますね。

【有本】保険薬局、スマイルクラブ、漢方相談薬局全てが揃ったオールインワンのドラッグストアとして当店が4年前に誕生しました。各ブースが壁を隔てることなくワンフロアーにあるため、お客様は全てを1か所で済ませることが可能ですし、私たちも他職種と連携しやすいというメリットがあります。そのため、お客様の悩みに応じた専門家を相互に紹介し、ひとりの方を複数の専門家が連携しながらサポートすることができます(図1)。

図1:多職種連携
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図1:多職種連携

常に変化する状況の中で店舗全体で最善のサポートを考える

有本先生が他職種に紹介される際に心がけられていることを教えてください。

【有本】保険薬局からスマイルクラブや漢方相談薬局に紹介する患者様の中には、「薬を飲んでいるけれど、本当は飲みたくない」「医師から血圧値/血糖値が高くなってきたので薬を飲まなければならないと言われた」「検査値が少し悪化傾向にある」など、薬に抵抗感を持たれていて、薬を飲まずにすむ方法はないかと思われている方が少なからずいます。患者様が健康を維持したい、変わりたいと思われたことを後押し、結果を出せるようにサポートすることを心がけています(図2)。

図2:スマイルクラブ参加者事例
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図2:スマイルクラブ参加者事例

最後に展望などをお話しください。

【有本】情報にはしっかり情報センサーを持っておきたいと思っています。管理栄養士から、「スマイルクラブを本当は続けて欲しい会員の中には、生活習慣がある程度改善したなどの諸事情から退会するという方がおられて残念だ」という話を聞いて、保険薬局薬剤師がスマイルクラブの会員を対象に、開始時と1クール終了時に検体測定を行うようにしました。「血糖値やコレステロール値が下がったので、動脈硬化のリスクが下がりましたよ」、「検査値をもう少し下げたほうがいいので、もう1クール頑張りましょう」など検査値を元に会員が納得しやすいアドバイスを行うことがより可能になりました。
「ここに来れば健康に関して何でも教えてくれる。何でもしてくれる」という思いを持った利用者が増えるように、その時々に必要なこと、できることを工夫し、店舗全体でひとりのお客様をサポートするために、多職種連携して行動していきたいと考えています。

ありがとうございます。

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