疥癬の病型に応じた対策
通常疥癬
-
通常疥癬の感染予防対策 記事/インライン画像
隔離
個室に隔離する必要はありません。
塗り残しが無いように注意し、手や足の指趾の間、爪のまわり、耳介の後ろ、しわの間、外陰部などにもしっかり塗りましょう。
症状の無い部位にも塗ることが大切です。

身体介護
予防着や手袋の着用は必要ありません。
感染が心配な場合や、長時間患者さんに接するような介護をする場合は着用した方がよいでしょう。
手洗いはすべての感染症予防の基本です。
患者さんへの対応の前後は、露出している腕などを含めて、きちんと手を洗いましょう。

リネン類の管理
シーツや寝具・衣類の交換や洗濯は通常の方法で行いましょう。
患者さんが使った後のリネン類は、長時間直接触らないようにしましょう。

居室・環境整備
掃除は通常の方法で行いましょう。
殺虫剤の使用は必要ありません。
入浴
疥癬の患者さんと、疥癬でない患者さんや職員の方などが、長時間肌と肌が接触することは避けましょう。
塗り残しが無いように注意し、手や足の指の間、爪のまわり、耳介の後ろ、しわの間、外陰部などにもしっかり塗りましょう。症状の無い部位にも塗ることが大切です。

角化型疥癬
-
角化型疥癬の感染予防対策 記事/インライン画像
隔離
個室に隔離して、治療を始めましょう。
隔離をするときは、患者さんの同意をとりましょう。
隔離の期間は治療開始後、落屑が飛び散らなくなるまでで、期間は1~2週間が目安です。
個室に殺虫剤を使用しましょう。
隔離開始時と終了時に殺虫剤を使用しましょう。
掃除は、モップ・粘着シートなどで落屑を回収後に、掃除機で隅々まで清掃しましょう。

身体介護
予防着や手袋を着用しましょう。
着用期間は隔離している間だけで構いません。
患者さんの基礎疾患によってはマスクの着用も必要です。
使用後の予防着・手袋は落屑が飛び散らないように、「ビニール袋」などに入れ、再利用は避けてください。

リネン類の管理
シーツや寝具、衣類は毎日交換しましょう。
洗濯物はビニール袋に入れましょう。
ビニール袋に入れる際に落屑が飛び散らないようにしましょう。その後殺虫剤をビニール袋の中で噴霧し、24時間密封します。
衣類を家庭に持ち帰っていただく場合でも、同様にビニール袋に入れ、殺虫剤を使い、24時間密閉した後に渡しましょう。
殺虫剤を使わない場合、洗濯物は50℃以上で10分間以上熱処理をしましょう。
熱処理した後に、通常の方法で洗濯しましょう。
洗濯できない物は、乾燥機、アイロンなどで熱処理することも有効です。

居室・環境整備
患者さんが使用した直後のトイレや車椅子、ストレッチャーなど、共用するものには注意が必要です。
ヒゼンダニや落屑が残っている可能性があるため、下記のような対策が必要です。
- 直接触らない
- ウエットティッシュで拭き取る
- 患者さん専用にする
- 殺虫剤を使用する
ベッドマットの表面は、清掃用粘着テープを用いて落屑をとることが有効です。
その後、必要に応じて落屑が残らないように丁寧に掃除機をかけます。
居室の床は落屑を残さないように丁寧に掃除機をかけましょう。
可能な限り、朝・晩の1日2回行いましょう。

入浴
角化型疥癬の患者さんの入浴順は最後にしましょう。
角質層はお湯につけてふやかし、ナイロンタワシやブラシなどを使ってしっかりと落としましょう。
落屑が残らないように掃除しましょう。
入浴後は浴槽や浴室の床の掃除を行いましょう。
また、脱衣所などにも掃除機や殺虫剤を使用しましょう。

対策のまとめ
通常疥癬 | 角化型疥癬 | |
---|---|---|
隔離 | 必要ありません。 | 必要です。適切な治療を行えば長期にわたって隔離を行う必要はありません。 隔離期間は通常1~2週間が目安です。 |
身体介護 | 予防着や手袋の着用は必要ありません。 長時間の肌と肌との直接接触は避けましょう。 |
介護する際には予防着、手袋を着用しましょう。 |
【リネン類の管理】 シーツ・寝具・衣類など |
特別な対応は必要ありません。 | シーツや寝具・衣類は毎日交換しましょう。 衣類・リネンに残っているヒゼンダニが、患者さんや介護者に付着するのを防ぐため、そのままビニール袋に入れ、別に扱います。 |
【リネン類の管理】 洗濯 |
特別な対応は必要ありません。 | 殺虫剤を使い24時間密閉するか、50℃以上のお湯に10分間以上浸してから洗濯しましょう。乾燥機やアイロンで熱処理することも有効です。 |
居室・環境整備 | 特別な対応は必要ありません。 | トイレや車椅子、ストレッチャーなどは患者さん専用にするか、殺虫剤を使用しましょう。 ベッドマットは粘着テープや掃除機で表面を丁寧に掃除します。 特に落屑がありそうな場所は粘着テープなどで落屑を回収後に、丁寧に掃除機で清掃します。 |
入浴 | 患者さんの肌に長時間直接接触することは避けましょう。 タオルなど肌に触れるものの共用は避けましょう。 足ふきマットは各個人使用にしましょう。 |
他の利用者と別にする、または患者さんの入浴は一番最後にするなどの配慮が必要です。 角質層はお湯につけてふやかし、ナイロンタワシやブラシなどを使ってしっかり落としましょう。 |
- 疥癬の感染予防対策
-
- 感染予防対策について
- 病型に応じた対策
- 集団発生への対応
- 日常生活での注意点