ミチーガの薬効薬理
作用機序
ネモリズマブの作用機序
IL-31は、主にTh2細胞から産生されるサイトカインであり、その受容体であるIL-31RAに結合すると、オンコスタチンM受容体(Oncostatin M Receptor:OSMR)とヘテロ二量体を形成して、下流のヤヌスキナーゼ(Janus kinase:JAK)/シグナル伝達性転写因子(Signal transducer and activator of transcription:STAT)シグナル伝達系を活性化し、細胞内に刺激を伝達する1)。IL-31は、末梢神経の細胞体を含む後根神経節や皮膚に分布する神経終末に発現しているIL-31RAに結合し、そう痒のシグナルを中枢に伝達する2)。また、IL-31は後根神経節細胞の神経線維の伸長を選択的に促進することで皮膚のかゆみ過敏に関与する可能性がある3)。さらに、IL-31は各種細胞からのサイトカイン及びケモカインの産生を誘導し4-7)、角化細胞の分化を抑制する8)とともに、表皮細胞の増殖や線維芽細胞からのコラーゲン産生を誘導する9-11)ことで、結節性痒疹の皮疹形成に関与していると考えられる。
ミチーガの成分であるネモリズマブは、ヒトIL-31RAを標的とするヒト化抗ヒトIL-31RAモノクローナル抗体であり、IL-31と競合的にIL-31RAに結合することにより、IL-31のIL-31RAへの結合及びそれに続く細胞内へのシグナル伝達を阻害し12)、そう痒を抑制する13-15)。また、ネモリズマブは、結節性痒疹の皮疹形成に関与する種々の免疫応答を抑制する13)。
ミチーガの成分であるネモリズマブは、ヒトIL-31RAを標的とするヒト化抗ヒトIL-31RAモノクローナル抗体であり、IL-31と競合的にIL-31RAに結合することにより、IL-31のIL-31RAへの結合及びそれに続く細胞内へのシグナル伝達を阻害し12)、そう痒を抑制する13-15)。また、ネモリズマブは、結節性痒疹の皮疹形成に関与する種々の免疫応答を抑制する13)。
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アトピー性皮膚炎のかゆみとミチーガの作用機序※動画の再生時に音声が流れます。記事/インライン画像
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結節性痒疹の症状及び病態とミチーガの作用機序※動画の再生時に音声が流れます。記事/インライン画像
非臨床試験
①IL-31結合阻害作用
ネモリズマブは、可溶型IL-31RAに高い親和性で結合し、IL-31RAを発現させた組換え細胞へのIL-31の結合を濃度依存的に阻害した15)(in vitro)。
②そう痒抑制作用
カニクイザルIL-31で全身性のそう痒を誘発させたカニクイザルモデルにおいて、ネモリズマブはそう痒抑制効果を示した15)。
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[利益相反]著者は中外製薬株式会社の社員である。