薬局経営者に聞く:全店で電子処方箋の応需態勢完了、先行者利益獲得へ(4/4)
口腔ケアと栄養相談に取り組み薬局機能拡充へ
- ─今後の取り組みや課題について、お聞かせください。
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【田中】県内で、薬局に勤務する管理栄養士の立ち位置を確立していきたいと考えています。来年の診療報酬改定の議論を仄聞する限り、栄養とか口腔内の衛生管理・機能管理の話題が出てきています。併せて、当社としても最近、オーラルフレイルに関して歯科医との連携を進めていますので、更に深掘りしていきたいと考えています。その部分は保険が適用されない領域ですが、私が若い頃にドラッグストアで勉強した「推売」を生かせる世界です。薬局は、品揃えにおいてはドラッグストアに勝てませんから、はっきり言ってセレクトショップのような店作りしかできません。
以前、当社では、歯に関する相談に応じられるような品揃えを全店で行ったのですが、今は残念ながら、商品が刃こぼれしている薬局が見受けられます。現場の担当者に聞くと「売れませんから」という声が返ってくる。しかしドラッグストアの社員は、「売るのが自分たちの仕事」という意識で働いていますから、雲泥の違いがあります。意識のこの隔たりは、近いうちに改めていかなければならないと、私は強く考えています。「なぜ、オーラルフレイル対策の商品が薬局に置いてあるのか」という根本から理解してもらわないと、意識は変わっていかないと思います。今後、勉強会などの場で、私が直接、語り掛けていくつもりです。

その準備として、65歳以上の方を対象にオーラルフレイルに関する調査研究を東京理科大学と共同して行いました。一方で、65歳未満の方々については当社が独自で調査しました。当社の薬局に来てくださっている患者さんの中で、オーラルフレイルに関する悩みを持っている方々の割合とか、その原因も明らかになってきています。患者さんに寄り添うことを標榜している当社では、介入などの必要性が結果として出た場合、私を含め全社員が自問自答することになるでしょう。「その方々に対して何もしてよいのか」と。
今や、さまざまな基礎疾患が口腔ケアによって改善できることは広く知られるようになってきました。論文が幾つも発表されています。アトピー性皮膚疾患などマルホさんが強い皮膚科領域にも、それは当てはまります。結果として、医療費の削減にも繋げられますので、当社が栃木県内で薬局を運営していく価値も高まるはずです。更に言えば、オーラルフレイル対策に取り組んでいくと必ず、栄養にも話題が結び付いていき、管理栄養士の出番になります。口腔ケアと栄養の二つのテーマが上手く噛み合っていけば、「1プラス1」の足し算ではなく、掛け算で薬局機能が拡充していけるのではないかと期待しています。
蜜蜂を育て年に1~2回、蜜を採取
- ─休みの日は、どのように過ごされていますか。確か、釣りがお好きでしたね。
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【田中】アユ釣りや渓流釣りが好きでしたが、この10数年は全く竿を出していません。最近は、養蜂をたまに楽しむ程度ですね。
- ─養蜂を趣味にしている方は、かなり稀ですよね。
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【田中】獣医学部に行きたかったくらいですから、基本的には生き物が好きなのです。蜜蜂を育て年に1~2回、蜜を採っています。
企業情報
名称 | 株式会社ピノキオ薬局 |
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設⽴ | 1984年11月 |
代表者 | 代表取締役 田中 友和 |
資本⾦ | 2000万円 |
年商 | 98億8200万円 |
従業員数(パート含む) | 317名 薬剤師 193名(男性55名 女性138名) |
本社 | 〒321-0953 栃木県宇都宮市東宿郷4丁目1番17号 相生ビル1F MAP |