ヒルドイドクリーム0.3%の有効性及び安全性の検討試験
臨床効果
ヒルドイドクリーム0.3%
効能追加時までに実施された国内総計2192例を対象とした、プラセボとの二重盲検左右比較試験1)、ヒルドイド医薬品再評価申請資料2)を含む臨床試験における改善率または有効率は、次のとおりであった。

- 判定基準
- 各症状の重症度の推移を総合的に考慮し、著しく改善、かなり改善、やや改善、不変、悪化の5段階(皮脂欠乏症)、もしくは著効、有効、やや有効、無効の4段階(皮脂欠乏症以外の疾患)で評価した。
副作用
総投与症例2471例中、23例(0.93%)に副作用が認められ、主なものは皮膚炎9件(0.36%)、そう痒8件(0.32%)、発赤5件(0.20%)、発疹4件(0.16%)、潮紅3件(0.12%)等であった。死亡を含む重篤な副作用は認められなかった。(効能追加時)
なお、再評価時における副作用は2111例中、20例(0.95%)に認められ、主なものは皮膚炎9件(0.43%)、潮紅3件(0.14%)、そう痒2件(0.09%)、発赤2件(0.09%)等であった。
老人性乾皮症(以下、皮脂欠乏症※1)に対するヒルドイド軟膏0.3%(以下、ヒルドイドクリーム0.3%※2)の有用性の検討
~二重盲検法によるクリーム基剤との左右比較試験~1)
- ※1 現在の適応症名に表記を変更した。
- ※2 現在の販売名称に表記を変更した。
ヒルドイドクリーム0.3%
皮脂欠乏症に対するヒルドイドクリーム0.3%の有用性を検討する目的で、ヒルドイドクリーム0.3%の基剤を対照薬とした左右比較試験を二重盲検法で行った。

Mann-WhitneyのU検定 *:p<0.05(名目上のp値)
H:ヒルドイドクリーム0.3% P:クリーム基剤
改善率 H:87.5% P:81.3%
(改善率は「⧺:かなり改善」以上で算出した)

Wilcoxonの1標本検定 **:p<0.01(名目上のp値)
H:ヒルドイドクリーム0.3% P:クリーム基剤
判定基準(全般改善度):開始時と比較した全般改善度を5段階で評価する。
⧻:著しく改善 ⧺:かなり改善 +:やや改善 ○:不変 ×:悪化
判定基準(全般改善度の優劣比較):全般改善度の左右の優劣比較を行う。
- 右≫左:右は左に明らかに優る。
- 右>左:右は左に優る。
- 右=左:右と左は差がない。
- 右<左:右は左に劣る。
- 右≪左:右は左に明らかに劣る。
2週後の改善率はヒルドイドクリーム0.3%:87.5%、クリーム基剤:81.3%であり、有意差が認められた(p<0.05(名目上のp値)、Mann-WhitneyのU検定)。2週後の全般改善度の優劣比較では、ヒルドイドクリーム0.3%の有用性が優れる症例40例(35.7%)、クリーム基剤が優れる症例14例(12.5%)であり、ヒルドイドクリーム0.3%とクリーム基剤で有意差が認められた(p<0.01(名目上のp値)、Wilcoxonの1標本検定)。
- 目的
- 皮脂欠乏症に対するヒルドイドクリーム0.3%の有用性についてのクリーム基剤との比較検討
- 試験薬剤
- ヒルドイドクリーム0.3%(H)とヒルドイドクリーム0.3%の基剤(P)を対照薬として実施した。H、Pはコントローラーにより右用、左用に無作為に割り付けられた。
- 対象
- 皮脂欠乏症と診断された者の中で、同程度の病巣が左右対称性に存在する患者を対照とし、試験実施例数は120例であった。除外、脱落症例を除く統計解析対象は112例とし、安全性の解析には除外症例の3例を加え115例とした。
- 方法
- 外用方法は、右用の薬剤を右側の病巣に、左用の薬剤を左側の病巣に1日2~3回適量を単純塗擦することとし、外用期間は2週間とした。
- 評価項目
- 試験開始時と比較した全般改善度、全般改善度の優劣比較および副作用を評価した。
副作用
副作用は115例中ヒルドイドクリーム0.3%、クリーム基剤ともにそれぞれ3例(2.6%)であった。そう痒、刺激感、紅斑増強および刺激感がそれぞれ1例認められたが特に重篤なものではなかった。
- ヒルドイド研究班:臨床医薬, 4(10), 1903-1911, 1988 (承認時評価資料) より作図
- ヒルドイド医薬品再評価申請資料