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1.かかりつけ医による痔の診断


痔の診察

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肛門の診察

痔を診察するために、上記の①~③による肛門の診察が必要です。

図1:肛門疾患の診断に有効な問診項目
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肛門疾患

肛門疾患の診断で最も重要なことは的確な問診をすることです。有効な問診項目には出血、脱出、疼痛、硬結(しこり)の有無などがあります。的確に問診することで多くは疾患の予想がつきます。予想のもとに、視診、指診、場合により肛門鏡検査を行い、診断をつけます。

図2:実際の視診、指診の場面
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指診の場面

写真提供:所沢肛門病院 栗原 浩幸 先生

痔の診察に必要な設備として特別のものはなく、ベッド、ひざ掛け、枕、スタンド(患部を照らす)などで十分です。ただしプライバシーに配慮することが必要です。
患者さんを側臥位に寝かせ、臀部を突き出して両足を曲げさせた姿勢(シムス体位)で、視診・指診を行います。

図3:指診の基本手技
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指診の基本手技

指診は、ディスポーザブルの手袋をはめて、潤滑のゼリーをつけて行います。まず、人差し指で肛門周囲の皮膚を触診します。肛門の入り口(外側)のところで指先を360度回して異常がないかを確認します(図3-a)。
次いで、肛門管の下側を同様に360度回して異常がないかも確認します(図3-b)。
その後、肛門管の奥に指を入れます(図3-c)。
そして最後は直腸に届くまで、人指し指を深く挿入し、患部を確認します(図3-d)。
いずれも、肛門の締まり具合や硬結、陥凹などを触知します。硬結は人差し指と親指でつまむように探ります。ただし、疼痛を訴える患者さんや見張りいぼを認める患者さんにはご注意ください。

図4:肛門鏡の種類
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肛門鏡

【(左)筒型肛門鏡(ケリー型)】
【(右)二枚貝式肛門鏡(シュトランデ型)】

写真提供:所沢肛門病院 栗原 浩幸 先生

肛門鏡検査に用いる肛門鏡には、筒型肛門鏡と二枚貝式肛門鏡の2種類があります。
筒型肛門鏡(ケリー式)は内筒を入れた肛門鏡を肛門内に挿入し、内筒を抜いて引きながら観察します。肛門狭窄があるような場合や疼痛の訴えが強い場合には、注意して挿入します。二枚貝式肛門鏡(シュトランゲ型)は、観察したい部位に合わせて挿入し、肛門鏡を開いて観察します。

図5:専門医に紹介すべき重大な肛門疾患の事例
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肛門疾患の事例

写真提供:所沢肛門病院 栗原 浩幸 先生

以上が、かかりつけ医の先生方に実践していただきたい肛門の基本的な診察方法です。
ただし、肛門疾患には、痔ではない重篤な疾患(がん、クローン病など)が隠れている場合があります。患者さん自身がセルフメディケーションに頼り、適切な診察を受けないと、重篤な疾患に気づかず放置される危険性もあります。
例えば、上図のように肛門にしこりがあり触ってみて固い場合や肛門管内から腫瘍が進展している場合は肛門がんが疑われます。また、潰瘍の幅が広く、肛門上皮を越えて裂創を形成したり、皮垂を伴う場合にはクローン病が疑われます。
先ほど述べましたように保存的治療を1~2週間行い、改善傾向がない場合には、大腸肛門科などの専門医に紹介し、重篤な疾患を見逃さないようにすることが大切です。

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