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高齢者のいわゆるおむつ皮膚炎に対するエキザルベ®の有効性および安全性の検討(治療アルゴリズムの提案)

常深 祐一郎, 福田 亮子, 出口 亜紀子, 川島 眞: 看護研究48(2), 180-188, 2015より一部改変

監修埼玉医科大学 皮膚科 教授 常深 祐一郎 先生

監修医のことば
 介護が必要な高齢者数が増加するなか、高齢者のおむつ皮膚炎への対策が求められている。そこで、高齢者のおむつ皮膚炎に対して、まずステロイド外用薬を先行使用する治療アルゴリズムを考案し、エキザルベ®を試験薬としてその有用性を検討した。
 その結果、エキザルベ®の使用1週後には、総合スコアは改善して20.0%が治癒し、その改善効果は治療前の重症度に関係なく認められた。一方、悪化した症例は使用1週、2週、3週後ともに10%前後と少なく、直接鏡検での真菌検出例も認められなかった。
 おむつ皮膚炎のすべてがステロイド外用薬で解決するわけではないが、本研究で示した治療アルゴリズムを使用することで、介護現場においても迅速におむつ皮膚炎の治療を開始することができ、多くの症例で改善を期待できることが示された。その結果、患者のQOLは改善され、介護者の負担も軽減されると考える。

※1 おむつ皮膚炎とは
臨床像のみで定義し、おむつと接する部位に生じる紅斑、小丘疹・小水疱・小膿疱、鱗屑、浸軟、びらん、痂皮などによる皮膚病変とした。

「おむつ皮膚炎」治療アルゴリズムとは

図1 「おむつ皮膚炎」治療アルゴリズム

図1
「おむつ皮膚炎」治療アルゴリズム

 おむつを当てている部位に生じる紅斑、丘疹、鱗屑、びらんなどの症状を一括して「おむつ皮膚炎」と呼ぶことが多い。特に、高齢者のおむつ皮膚炎は介護現場において問題となるものの、確立した対応方法はない。先行する疫学調査から、おむつ皮膚炎の皮疹に占める真菌感染症の割合は低く1)、その大部分は湿疹・皮膚炎と考えられた。このことから、高齢者のおむつ皮膚炎に対して、まずステロイドを含有する外用薬を使用し、症状が改善しない場合には直接鏡検を実施して真菌の有無を確認するという治療アルゴリズムを考案した(図1)。

1)Nakagami G, et al: Arch Gerontol Geriatr 58(2), 201-204, 2014

※1 おむつ皮膚炎は、臨床像のみで定義し、おむつと接する部位に生じる紅斑、小丘疹・小水疱・小膿疱、鱗屑、浸軟、びらん、痂皮などによる皮膚病変とした。

おむつ皮膚炎に対する治療アルゴリズムの有用性検討試験

「警告・禁忌を含む使用上の注意」等はD.I.のページをご参照ください。

高齢者のいわゆるおむつ皮膚炎※1に対する治療アルゴリズムは有用であり、試験薬であるエキザルベ®の使用によって、1週後に48.9%、3週後に57.8%で改善以上と判定されました。

試験概要

目的:
おむつ皮膚炎に対する治療アルゴリズムの有用性を検討する。
対象:
3つの介護保険施設の入所者で、皮膚科医の視診によりおむつ皮膚炎と診断され、本試験への参加同意を得られた患者45例
方法:
エキザルベ®を試験薬とし、最長3週間塗布した。試験薬以外の外用薬のおむつ部への使用は禁止した。試験開始時の併存疾患に対する薬剤は併用可能とし、投与継続した。評価時期は塗布開始1週後、2週後、3週後とした。「不変」または「悪化」と判定された症例は、真菌の有無を直接鏡検で検査した。真菌が検出された症例は、試験を中止した。
主要有効性評価項目:
[総合スコア]
観察部位をおむつと接する臀部、会陰、外陰部、鼠径部とし、皮疹の程度と面積をそれぞれ点数化して、その合計を総合スコアとした。
[有効性判定]
有効性は、総合スコアの改善率から5段階(治癒、著明改善、改善、不変、悪化)で判定した。
解析計画:
本試験は1週以降の治癒した時点で投与終了としているため、2週後と3週後の評価については、最後に得られたデータにより補完した。各項目の群内比較にはWilcoxonの符号付順位和検定を用いた。

※1:おむつ皮膚炎は、臨床像のみで定義し、おむつと接する部位に生じる紅斑、小丘疹・小水疱・小膿疱、鱗屑、浸軟、びらん、痂皮などによる皮膚病変とした。

患者背景 おむつ皮膚炎患者(45例)
性別 男性 6例
女性 39例
年齢 Mean±SD 89.1±8.4歳
要介護度 要支援 0例
要介護1 1例
要介護2 2例
要介護3 4例
要介護4 16例
要介護5 22例
平均的なおむつ交換回数/日 Mean±SD 5.2±1.3回
平均的な排便回数/日 Mean±SD 1.5±0.8回
平均的な排尿回数/日 Mean±SD 5.3±1.1回
入浴回数/週 Mean±SD 2.0±0.3回

主要有効性評価項目 [総合スコア※2の推移]

総合スコアは1週後から有意に改善した(図2)。

図2 総合スコアの推移

図2
総合スコアの推移

※2:観察部位の皮疹の程度と面積をそれぞれ点数化して、その合計を総合スコアとした。

皮疹の程度 皮疹なし 0点
軽症(軽度の紅斑、鱗屑などを主体とする) 1点
中等症(紅斑、鱗屑、少数の丘疹、小水疱などを主体とする) 2点
重症(高度の腫脹/浮腫/浸潤を伴う紅斑、丘疹、小水疱の多発、高度な鱗屑や痂皮の付着、びらんなどを主体とする) 3点
皮疹の面積 皮疹なし 0点
50cm²未満 1点
50cm²以上200cm²未満 2点
200cm²以上 3点

主要有効性評価項目 [有効性判定※3の推移]

治癒例は1週後に9例(20.0%)認められ、3週後には全体で13例(28.9%)となった。改善以上と判定された症例は1週後に22例(48.9%)認められ、3週後には全体で26例(57.8%)となった(図3)。一方、悪化した症例はいずれの判定時期においても10%前後であり、直接鏡検での真菌検出例も認められなかった。また、有効性判定と1日のおむつ交換回数、排便回数、排尿回数、1週間の入浴回数との関連を検討したが、有意な関連はみられなかった。

図3 有効性判定の推移

図3
有効性判定の推移

※3: 総合スコアの改善率を、[(登録時の総合スコア-各評価時期の総合スコア)/登録時の総合スコア]× 100で算出し、改善率から有効性を判定した。

有効性
判定
治癒 100%
著明改善 66.7%以上100%未満
改善 33.3%以上66.7%未満
不変 0%以上33.3%未満
悪化 0%未満

安全性

本試験において、悪化例が5例あり、エキザルベ®による接触皮膚炎や細菌感染症の可能性が否定できないため、有害事象に含めた。重篤な有害事象は本文献には記載がなかった。

〔禁忌(次の場合には使用しないこと)〕(一部抜粋)
(2)真菌症(カンジダ症、白癬等)〔本剤に含まれるヒドロコルチゾンは真菌症(カンジダ症、白癬等)を悪化させるおそれがある〕
〔使用上の注意〕(一部抜粋)
3.高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、大量又は長期にわたる使用に際しては特に注意すること。
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