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第3回 皮膚かぶれ(接触皮膚炎)とその対策


    監修:
    • 京都大学大学院医学研究科 皮膚生命科学講座 皮膚科学分野 准教授 椛島 健治 先生

    貼付剤と皮膚

    皮膚という観点から、貼付剤や貼付剤と皮膚の関係などについて、読んで楽しく、役立つ情報を紹介します。

    接触皮膚炎とは

    外来性の刺激物質が皮膚に接触することによって発症する湿疹性の炎症反応で、いわゆる“かぶれ”のことです。
    発症機序の違いによって刺激性接触皮膚炎アレルギー性接触皮膚炎に大別されます。
    原因となる刺激物質は日用品、化粧品全般、植物、食物、金属、医薬品など多種多様で()、基本的には刺激物質が触れた部位に限局して、かゆみやヒリヒリ感を伴う発赤・発疹、紅斑、丘疹、大小の水疱などの症状があらわれます。

    表:接触皮膚炎の主な原因物質
    日用品 衣類、メガネ、洗剤、抗菌製品、ゴム製品 など
    植物 バラ、アロエ、イラクサ、ウルシ科植物、ギンナン など
    食物 イモ類、モモ、ニンニク、マンゴー、香辛料、健康食品 など
    金属 コバルト、ニッケル、クロム、水銀、バラジウム など
    (アクセサリー、腕時計、歯科材料などに含まれる)

    刺激性接触皮膚炎

    皮膚に接触した刺激物質が障害部位から皮膚内に侵入し、角化細胞を刺激して炎症を起こします。症状の発現は比較的早く、刺激物質との接触後数時間以内にあらわれます。
    刺激性接触皮膚炎は一定閾値以上の刺激であれば初回接触で、誰でも発症する可能性があります。

    アレルギー性接触皮膚炎

    皮膚内に侵入した刺激物質を皮膚樹状細胞が捕捉し、その物質をT細胞が記憶して感作が成立します。感作成立後に再び同じ刺激物質(抗原)が皮膚内に侵入すると、炎症が起こります。
    初回接触では発症せず、“感作の成立した”特定の人にしか発症しないこと、刺激物質との接触後24~48時間ぐらいに症状が最も激しくなることなどがアレルギー性接触皮膚炎の特徴です。

    その他

    皮膚に付着した光感作性物質に紫外線が照射されて皮膚炎を生じるタイプを光接触皮膚炎といいます。機序によってさらに光毒性光アレルギー性に分類されます。その他に皮膚病変が接触範囲を超えて全身にあらわれる接触皮膚炎症候群、同一抗原が経口・注射などの非経皮的ルートで吸収されて全身に皮膚炎を生じる全身性接触皮膚炎などがあります。

    貼付剤と接触皮膚炎の関係

    外用薬による接触皮膚炎

    医薬品は疾患の治療を目的として使用されるものですが、体にとっては異物であるため、接触皮膚炎の原因となる場合があります。外用薬では、抗菌薬や非ステロイド系消炎薬がアレルギー性接触皮膚炎発症の原因となる頻度が高い傾向にあります。外用薬を病変部位に使用した場合、健常な皮膚に比べ薬物が浸透しやすいため、症状が悪化・難治化したり、炎症が起こりやすくなったりします。

    テープ剤の皮膚刺激性

    テープ剤の皮膚刺激には「物理的刺激」と「化学的刺激」があります()。「物理的刺激」による皮膚障害には、“緊張性水疱”“角質・表皮剥離”“浸軟”などがあります。「化学的刺激」による皮膚障害には、成分中の刺激物質による“刺激性接触皮膚炎”や“アレルギー性接触皮膚炎”などがあり、これらは主薬だけでなく、添加剤や粘着剤に含まれる成分によって起こることもあります。

    図:テープ剤による皮膚障害とその要因
    記事/インライン画像
    図 テープ剤による皮膚障害とその要因

    治療と対策

    接触皮膚炎の治療方法

    治療の基本は、パッチテストを行い、原因物質を同定して接触を遮断することです。対症療法としては、炎症・症状を抑えるために外用薬や内服薬を用います。

    日常生活における対策

    特定された原因物質を含む製品の使用を中止し、安全な代替品へ変更します。中止が不可能な場合は衣類や手袋を用いるなど、原因物質と直接接触しない方法を検討します。かゆみがある場合は、その部位をガーゼで保護する、爪を短く切るなどして掻かないようにする工夫も大切です。また、入浴の際は病変部を強くこすらず、入浴後できるだけ早期に保湿剤で皮膚のバリア機能を保つように心がけます。

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