褥瘡辞典 for MEDICAL PROFESSIONAL ~褥瘡(床ずれ)の正しいケアと治療のために~

褥瘡の概要

褥瘡のメカニズム

治癒過程
●一般的な創傷の治癒過程

一般的な創傷の治癒過程をみると、(1)出血凝固期、(2)炎症期、(3)増殖期、(4)成熟期の4段階に分類されます。更にこれを別の視点からみると、(1)~(4)の過程が順調に進行するものを急性創傷、過程のいずれか(特に(2)、(3))が障害されて治癒が遅延したものを慢性創傷と分類することができます。

皮膚創傷の治癒過程

図:皮膚創傷の治癒過程
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日本褥瘡学会編集:褥瘡予防・管理ガイドライン:23, 2009より一部改変
●褥瘡の治癒過程

褥瘡の治癒過程は、褥瘡発生以降の経過期間で、急性期慢性期に分けることができます。

急性期とは、褥瘡が発生した直後から1~2週間の時期のことです。この時期の病変部は時々刻々と変化し、紅斑、紫斑、水疱、びらんといった皮膚症状を呈します。

慢性期とは、急性期以降の局所病態が比較的安定する時期を指します。慢性期の褥瘡は、深さが真皮までに留まるものを浅い褥瘡、真皮を越えて深部組織まで及ぶものを深い褥瘡と大別します。

浅い褥瘡と深い褥瘡では治癒過程が異なります。浅い褥瘡は急性期と同様の紅斑、水疱、びらんなどを呈し、ほとんどの場合は創縁・創底の双方から再上皮化が進み、早期の創閉鎖が期待できます。一方、深い褥瘡では、壊死組織の除去が治癒への大前提となります。その後に良好な肉芽組織が形成され、創の収縮と周囲からの上皮化により創閉鎖に至ります。

褥瘡は、下図に示すような経過で進展することをふまえ、まずは急性期か慢性期か、慢性期の場合は浅い褥瘡なのか深い褥瘡なのかを見極めることが、その後の適切なケア・治療の第一歩となります。

褥瘡の進展様式

図:褥瘡の進展様式
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発生の要因
分類

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