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ヒルドイドの薬効薬理


    作用機序

    有効成分であるヘパリン類似物質は、硫酸基、カルボキシル基、水酸基など多くの親水基を持ち、水分子を引き寄せ保持することで、吸水・保水作用を示す。また、基剤による被覆効果も保湿作用に寄与する。

    保湿作用機序

    監修:
    • 東京女子医科大学 名誉教授 川島 眞 先生

    薬効薬理

    1. 血液凝固抑制作用1, 2)
      血液凝固時間を延長し、血液凝固抑制作用を示した。(ヒト、イヌ、ウサギ)
    2. 血流量増加作用3-5)
      水素クリアランス法による実験で、皮膚組織血流量の増加を認めた。(ウサギ)
    3. 血腫消退促進作用4)
      実験的血腫の消退促進を認めた。(ウサギ)
    4. 角質水分保持増強作用5-8)
      皮膚に対する保湿効果を有し(ヒト)、実験的乾燥性皮膚において角質水分保持増強作用を認めた。(モルモット)
    5. 線維芽細胞増殖抑制作用2, 9)
      組織癒着防止に関する実験で、線維芽細胞増殖の抑制を認めた。(ウサギ)
    1. 石川 浩一 ら:外科, 17(12), 849-854, 1955
    2. 中安 国裕:東京慈恵会医科大学雑誌, 76(2), 494-518, 1961
    3. 前田 誠二 ら:薬効薬理(血流量増加作用)に関する社内資料, 1985
    4. 木戸 裕子 ら:基礎と臨床, 30(3), 463-469, 1996
      〔利益相反〕著者はすべてマルホ株式会社の社員である。
    5. 土肥 孝彰 ら:薬理と治療, 29(2), 127-134, 2001
      〔利益相反〕著者はすべてマルホ株式会社の社員である。
    6. 安藤 隆夫 ら:日本香粧品科学会誌, 8(3), 246-250, 1984
      〔利益相反〕著者はすべてマルホ株式会社の社員である。
    7. 難波 和彦:久留米医学会雑誌, 51(6), 407-415, 1988
    8. 赤塚 正裕 ら:薬効薬理(角質水分保持増強作用)に関する社内資料, 2001
    9. 間狩 孝:日本外科宝函, 28(9), 3757-3776, 1959

    水分含有率の経時変化(in vitro

    相対湿度64.8%及びシリカゲルデシケータ中の2つの条件下において、一定量の水を添加した各試料の水分保持能について検討した。

    記事/インライン画像
    グラフ:水分含有率の経時変化_相対湿度64.8%

    相対湿度64.8%において、ヘパリン類似物質の水分含有率は増加し、高い吸湿能を有することが確認された。

    記事/インライン画像
    グラフ:水分含有率の経時変化_シリカゲルデシケータ中

    シリカゲルデシケータ中において、ヘパリン類似物質はゆるやかな水分含有率の低下を示し、高い水分保持能を有することが確認された。

    安藤 隆夫ら:日本香粧品科学会誌, 8(2), 130-134, 1984[日本香粧品学会掲載承認済]
    〔利益相反〕著者はすべてマルホ株式会社の社員である。

    皮表角層含水量の経時変化(モルモット)

    ヒルドイドローション0.3%

    モルモットの実験的乾燥皮膚に試験薬剤を塗布し、その後の皮表角層含水量を高周波伝導度を用いて経時的に測定した。

    記事/インライン画像
    グラフ:皮表角層含水量の経時変化

    ヒルドイドローション0.3%は、塗布後1時間から9時間にわたり高い高周波伝導度を維持し、持続性のある高い保湿能を有することが確認された。

    赤塚 正裕 ら:薬効薬理(角質水分保持増強作用)に関する社内資料, 2001

    組織血流量の経時変化(ウサギ)

    ヒルドイドクリーム0.3%

    ウサギの耳介外側に試験薬剤を塗布し、その後の組織血流量の変化を水素クリアランス法を用いて経時的に測定した。

    記事/インライン画像
    グラフ:組織血流量の経時変化

    ヒルドイドクリーム0.3%は、塗布後1時間から4時間にわたり約15~20%の組織血流量の増加を示し、血行促進作用を有することが確認された。

    前田 誠二 ら:薬効薬理(血流量増加作用)に関する社内資料, 1985

    角層水分量の変化量(健康成人)

    ヒルドイドフォーム0.3%、ヒルドイドクリーム0.3%

    対象
    20歳以上35歳未満の健康成人男性20例
    方法
    左右の前腕にヒルドイドフォーム0.3%及びヒルドイドクリーム0.3%塗布部位(半径2.0cmの円)をそれぞれ1ヵ所設定した。塗布量は塗布部位1ヵ所あたり50μLとした。単回塗布30分後に表面の残存製剤を乾いた脱脂綿でふき取った。塗布前、塗布1,2,3,4,5,6,8及び10時間後に角層水分量を測定した※1
    解析計画
    薬理学的反応の解析対象集団を対象に、Δ角層水分量、Δ角層水分量の要約統計量、Δ角層水分量の曲線下面積の要約統計量、Δ角層水分量の曲線下面積の対数値を求めた※2。両薬剤におけるΔ角層水分量の曲線下面積の対数値の平均値の差の90%信頼区間がlog(0.70)~log(1.43)の範囲内であるかを検討した。
    結果
    ヒルドイドフォーム0.3%及びヒルドイドクリーム0.3%を塗布した際のΔ角層水分量の平均値(標準偏差、以下S.D.)は、それぞれ塗布1時間後28.08(6.23)、22.09(5.79)、塗布10時間後20.15(3.99)、21.40(4.00)であった。また、Δ角層水分量の曲線下面積の平均値(S.D.)はヒルドイドフォーム0.3%が221.15(45.45)、ヒルドイドクリーム0.3%が212.95(36.14)であった。この結果から、ヒルドイドフォーム0.3%はヒルドイドクリーム0.3%と同等の角層水分保持増強作用を持つことが確認された。本試験では、有害事象は発現しなかった。
    Δ角層水分量の推移
    記事/インライン画像
    Δ角層水分量の推移
    • ※1ヒルドイドフォーム0.3%は容器から泡状に噴出されるが、塗布前にあらかじめ液状に戻して用いた
    • ※2Δ(デルタ):変化量。Δ角層水分量=各測定時点の角層水分量(代表値)-両薬剤塗布前の角層水分量(代表値)
    • ※3角層水分量(代表値)の定義:角層水分量の両薬剤ごと、測定時点ごとの3回の測定値の平均

    藤村昭夫ほか:臨床医薬, 34(2), 115, 2018
    [利益相反]本試験に関する費用負担はマルホ株式会社が行った。著者のうち2名はマルホ株式会社の社員である。

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