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乳児血管腫の薬物療法


監修:
  • 地方独立行政法人 神奈川県立病院機構 神奈川県立こども医療センター 皮膚科部長 馬場 直子 先生

従来、乳児血管腫の薬物療法では副腎皮質ステロイド*やインターフェロンα*、ビンクリスチン*などが主に使用されていましたが、2008年に非選択的β遮断薬であるプロプラノロールの有効性が報告され1)、2015年に無作為化比較試験で確認されました2)。これらを受け、最近ではプロプラノロールが薬物療法の第1選択となりつつあります3-5)。主な薬物療法とその特徴を下表に示します。

分類 薬剤 特徴・使用にあたっての注意点
非選択的β遮断薬 プロプラノロール
  • 本邦では2016年に承認され、機能障害の危険性や整容面で問題となる乳児血管腫に対しては第1選択薬として用いられる

  • 副作用として、血圧低下、徐脈、睡眠障害、低血糖、高カリウム血症、呼吸器症状などの発現に注意する

  • 投与中止・終了後に血管腫が再腫脹・再増大することもあり、投与前から投与終了後も慎重にフォローする

副腎皮質
ステロイド*
(内服)プレドニゾロン
  • 内服、静注、外用などの形で使用される

  • 副作用として、満月様顔貌、不眠などの精神症状、骨成長の遅延、感染症などに注意する

(局所注射)トリアムシノロン
(外用)クロベタゾールプロピオン酸エステル、ベタメタゾン など
尖圭コンジローマ治療薬、日光角化症治療薬* (外用)イミキモド
  • 免疫応答を調節するとともに血管新生を阻害する作用を有する。副作用として局所の炎症、二次感染などがみられる

抗ウイルス薬* インターフェロンα
  • プロプラノロールや副腎皮質ホルモンで効果がみられない症例では選択肢となりうる

  • 副作用に十分な注意をする必要がある

  1. Léauté-Labrèze C. et al. N Engl J Med. 2008 ; 358(24) : 2649-2651
  2. Léauté-Labrèze C. et al. N Engl J Med. 2015 ; 372(8) : 735-746
  3. Price CJ. et al. Arch Dermatol. 2011 ; 147 : 1371-1376
  4. Hoeger PH. et al. Eur J Pediatr. 2015 ; 174 : 855-865
  5. Holmes W. et al. J Plast Reconstr Aesthet Surg. 2011 ; 64 : e445-451

*承認外

出典:
平成26‐28年度厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)「難治性血管腫・血管奇形・リンパ管腫・リンパ管腫症および関連疾患についての調査研究」班:血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン2017, 第2版, 2017年3月

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