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がん性皮膚潰瘍の潰瘍部の洗浄:日常生活におけるケアマネジメント


    監修:
    • 聖マリアンナ医科大学 医学部 外科学 乳腺・内分泌外科 教授聖マリアンナ医科大学病院 乳腺・内分泌外科 診療部長 津川 浩一郎 先生

    POINT

    • 潰瘍部を清潔に保つために、十分な洗浄を可能な限り毎日行うことが重要
    • 適切な洗浄は、臭いや滲出液のコントロールにつながる
    • 適切に洗浄できるよう、患者指導や情報伝達を行うことが重要

    1. 洗浄の重要性

    がん性皮膚潰瘍の潰瘍部は、自壊し、臭いや壊死、滲出液が増加して患者の自尊心を傷つけ、社会的孤立感やQOLの著しい低下を招く危険性があります。さらに潰瘍部は血管が露出しているため出血しやすい状態です。
    そのため、適切な洗浄で潰瘍部を清潔に保つことは、QOLの観点から非常に重要です。また出血時、出血箇所の視認性を高めれば、止血が容易になり、貧血による全身状態の悪化を予防する点からも重要であるといえます。

    がん性皮膚潰瘍の洗浄 洗浄の重要性

    がん性皮膚潰瘍を洗浄することの重要性について解説しています。洗浄を怠ることのリスク、洗浄に臨む際の事前の準備物、洗浄を行う理由についてご覧いただけます。

    2. 洗浄の方法

    ●洗浄の前に:
    痛みや滲出液等、潰瘍部に変化がないか確認します。止血剤等はあらかじめ準備し、洗浄時の出血に備えます。洗浄時に痛みを訴える患者では、事前に痛み止めを使用してから洗浄することも検討します。介助者が洗浄する場合は、手袋等の個人防護具を準備します。

    ●基本的な洗浄方法:
    弱酸性の石鹸をよく泡立てて塗布し、やさしく指をすべらせるようにして泡に滲出液等の汚れを吸着させます。瘻孔部分には奥まで指を入れて、やさしく撫でるように洗います。臭いの原因になりますので、潰瘍の縁や瘻孔までまんべんなく、しっかり洗うことが重要です。
    石鹸の泡に汚れを吸着させた後はガーゼ(未滅菌でよい)でやさしく拭き取り、微温湯ですすぎます。石鹸の残留は皮膚刺激になりますので、洗い流すことが大切です。微温湯で痛みを訴える場合は生理食塩水を使用します。
    壊死組織は出血する可能性があるため無理に洗う必要はありませんが、適切な洗浄で自然に除去されていきますので、毎日の洗浄操作が大切です。

    ●介助者が洗浄する場合:
    手袋等の個人防護具を着用し、感染予防に配慮しながら洗浄します。がん性皮膚潰瘍が広範囲におよぶ場合は、介助者と協力して素早くかつ確実に洗うことが大切です。

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    3. 洗浄指導・患者情報の伝達について

    ●患者本人への指導:
    患者から見えにくい腋窩や背部等は洗浄不十分になりやすいため、洗い残しのないよう、洗浄箇所を具体的に示した患者指導を行います。適切に洗浄できているか、臭いや汚れ等を来院のたびに確認します。

    ●ご家族等への指導:
    躊躇することなく確実に洗えるかを確認しておきます。洗浄ができない場合は、訪問看護等のサービスの利用を検討します。

    ●訪問看護サービス等の利用時の留意事項:
    訪問時に持参した物品では止血対応できないと判断し、洗浄を控える可能性がありますので、洗浄で出血しても、圧迫止血のうえ安静にさせ、それでも止血できない場合は受診するように、対処法をあらかじめ伝えます。

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    がん性皮膚潰瘍の洗浄 患者指導・情報伝達のポイントとコツ

    患者さんだけでなく、ご家族や訪問看護師等の介助者が、がん性皮膚潰瘍を適切に洗浄できるようになるための、患者指導・情報伝達のポイントとコツを解説しています。臨床現場でよくある疑問に答えるQ&Aなどもご覧いただけます。

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