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がん性皮膚潰瘍の痛みに対するケアマネジメント


    監修:
    • 昭和大学医学部乳腺外科 教授 中村 清吾 先生

    POINT

    • がんの痛みの多くは、複数の痛みの種類が混在して生じる
    • 非固着性のドレッシング材を選択することで、交換時の痛みを最小限にできる
    • 痛みを増幅させないために、創の感染予防は重要

    1. 痛みの種類

    痛みには、侵害受容器の刺激によって発生する侵害受容性疼痛(体性痛・内臓痛)と、痛覚や触覚などを伝える感覚神経の直接的な損傷に伴って発生する神経障害性疼痛があります。がんの痛みの多くは、これら複数の痛みが混在しています。
    体性痛はさらに、皮膚表面が痛む表在性疼痛と筋肉や関節が痛む深部疼痛に分けられ、がん性皮膚潰瘍のある部位に限局して生じることや、潰瘍の自壊によって露出した侵害受容器が容易に刺激されることで突出痛を生じやすいという特徴もあります。

    2. 痛みへの対処

    深部疼痛は腫瘍そのものが増大することによるものや、周辺組織の炎症や血流阻害に起因する疼痛であり、オピオイドや非ステロイド性消炎鎮痛薬が有用とされています。痛みはさまざまな原因が絡み合っているので、その原因が何であるかを見極めて薬剤を使用していく必要があります。がん性皮膚潰瘍の痛みを取り除くためには、局所に作用する痛み止めではなく、全身に作用する痛み止めを使用することが重要となります。
    表在性疼痛は自壊創を覆うドレッシング材や衣服が、創部・創辺縁部に擦れるときや、ドレッシング材交換時に生じる痛みです。ドレッシング材交換時による疼痛を経験すると予期的恐怖をもつため、初期段階からの配慮が重要です。創部を覆うドレッシング材に非固着性のものを選択すると交換時の疼痛を最小限にできます。
    創部洗浄時には、温冷刺激による疼痛を最小限にするために、人肌程度の微温湯を用います。洗浄器具や水を流す時の水圧、角度にも留意することが必要です。
    創の感染が生じると、炎症によって痛みの伝達物質が異常放出され、侵害受容器が過敏になるワインドアップ現象を惹起します。痛みを増幅させないためにも、創の感染予防は大切です。

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