がん性皮膚潰瘍の滲出液に対するケアマネジメント
- 監修:
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- 昭和大学医学部乳腺外科 教授 中村 清吾 先生
POINT
- 滲出液漏れを起こさず、周囲皮膚への浸軟を防ぐために滲出液のコントロールが重要
- 滲出液の量に応じて、適切な外用薬・ドレッシング材を選択し、必要に応じて2次ドレッシング材を用いる
がん性皮膚潰瘍臭における滲出液で問題となるのは、その量の多さと臭いです。
初期の滲出液は少量ですが、潰瘍サイズの拡大や潰瘍部の細菌感染で免疫システムが活性化することで滲出液は増加します。また、消化管との交通(瘻孔)が生じている場合や、リンパ浮腫を生じる部分に創部がある場合は消化管液やリンパ液の排出も生じ、その量や性状が変化します。滲出液漏れによる臭いの拡散や衣服の汚染は患者の羞恥心を増強させ、滲出液による創周囲皮膚の浸軟は皮膚損傷を拡げる可能性がある事から、滲出液の量に応じたケアが必要です。
1. 外用薬
滲出液の少ない創では油脂性基剤の外用薬(ジメチルイソプロピルアズレンなど)や乳剤性基剤の外用薬(スルファジアジン銀など)を使用し、滲出液の多い創では水分の吸収力が高い水溶性基剤の外用薬(カデキソマー・ヨウ素、ポビドンヨード・シュガーなど)を使用します。
2. ドレッシング材
アルギン酸塩やキチン、ハイドロファイバーなどは水分吸収に優れ、かつ滲出液を保持する機能をもつとともに、創の形状に沿いやすいため使用しやすいです。ドレッシング材は滲出液の量に応じて交換回数を調整します。滲出液の量が多い場合は、1次ドレッシング材だけでは漏れてしまうことがあるため、上から吸収力の高いパッド類(紙おむつ、外科用あてパッド、生理パッド、尿とりパッドなど)を使用します。
がん性皮膚潰瘍のドレッシング材は高吸収かつ低粘着性で、潰瘍の形や身体の動きに追従することが求められますが、これらを満たすドレッシング材として、ポリウレタンフォームがあります。また、抗菌作用をもたせるため、ポリウレタンフォームに銀を含有したドレッシング材もあります。