ロゼックスの薬効薬理
作用機序
がん性皮膚潰瘍部位の殺菌・臭気の軽減1-3)
メトロニダゾールは嫌気性条件下で原虫又は細菌内の酸化還元系によって還元を受け、ニトロソ化合物に変化する。このニトロソ化合物がDNAと結合してDNA合成を阻害し、また、反応途中で生成したヒドロキシルアミン付加体がDNA損傷を惹起して、抗原虫作用及び抗菌作用を示す。
上記の作用機序によりメトロニダゾールは、皮膚潰瘍部位において臭気物質(プトレシン、カダベリン)を産生する数種類のグラム陽性及びグラム陰性嫌気性菌に対して抗菌作用を発揮することによってがん性皮膚潰瘍に伴う臭気を軽減する。
酒さ
メトロニダゾールは、酒さ病変部において増加している活性酸素種の生成を抑制することで抗炎症作用を示す4, 5)。また、免疫細胞によるTNF-αの産生6)や貪食細胞の免疫能等7)を抑制することで免疫抑制作用を示す。
非臨床試験
がん性皮膚潰瘍部位の殺菌・臭気の軽減
嫌気性菌株のメトロニダゾールに対する感受性 (in vitro )1, 3)
メトロニダゾールは、バクテロイデス・フラジリス、フゾバクテリウム属、プレボテラ属、ガードネレラ・バジナリス、アクチノバチルス属、カンピロバクター・フィタス、ヘリコバクター・ピロリなど、複数のグラム陰性嫌気性菌に抗菌活性を示す。また、ペプトストレプトコッカス属、ウェルシュ菌、クロストリジウム・ディフィシルのグラム陽性嫌気性菌もメトロニダゾールに感受性を示す。
酒さ
1. 抗炎症作用8)
メトロニダゾールは、ザイモザン刺激によるヒト好中球からの過酸化水素(H2O2)及びヒドロキシラジカル(OH·)の生成をそれぞれ100μg/mL及び10μg/mL以上で有意に抑制した。また、メトロニダゾールは、ヒト皮膚に常在する遊離脂肪酸であるパルミトレイン酸(0.05~5μg/mL)の存在下において、ヒト好中球による活性酸素種(H2O2、OH·及びスーパーオキシドアニオン(O2-))の生成を5~100μg/mLの濃度域で濃度依存的かつ相乗的に阻害した。
活性酸素種生成抑制作用(in vitro )
100μg/mLメトロニダゾールはザイモザン刺激による好中球からのH2O2の生成を、10及び100μg/mLメトロニダゾールはOH·の生成をそれぞれ有意に抑制した。なお、メトロニダゾールは無細胞系での活性酸素種の生成に作用しなかった。
2. 免疫抑制作用9)
メトロニダゾールは、細胞障害性をもたらさない濃度域(41.5及び83μg/mL)で、ヒト末梢血単核細胞(HPBMC)からのTumor necrosis factor-α(TNF-α)産生を有意に抑制した。また、メトロニダゾールは、ヒト及びマウス脾細胞の混合リンパ球反応をそれぞれ10~200μg/mL及び50~200μg/mLの濃度域で濃度依存的かつ有意に抑制した。さらに、メトロニダゾールは、マウスマクロファージのin vitro 貪食能及びTNF-α産生を5~200μg/mLの濃度域で濃度依存的かつ有意に抑制した。
ヒト末梢血単核細胞からのTNF-α産生抑制作用(in vitro )
41.5及び83μg/mLメトロニダゾールは、LPS刺激によるHPBMCからのTNF-α産生を有意に抑制した。なお、0~83μg/mLメトロニダゾールは細胞障害性を示さなかった。
ヒト混合リンパ球反応抑制作用(in vitro )
10、50及び200μg/mLメトロニダゾールは、HPBMCの増殖を濃度依存的かつ有意に抑制した。
- Freeman C.D, et al.: Drugs. 1997; 54(5): 679-708
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- 社内資料:抗炎症作用
- 社内資料:免疫抑制作用