ロゼックスの開発の経緯、特性
開発の経緯
ロゼックスゲル0.75%(以下、本剤)は、ガルデルマ社が開発したメトロニダゾールを0.75%(7.5mg/g)含有する水性ゲル製剤である。
1988年に米国で酒さに対する効能・効果で承認されて以降、世界60以上の国又は地域で承認取得、販売されている。がん性皮膚潰瘍臭の軽減については、Bioglan Laboratories Ltd社がメトロニダゾールを0.75%含有するMetrogel [Bioglan]を開発し、1994年に英国で「がん性皮膚潰瘍に伴う臭気の軽減」に対する追加効能の承認を取得した。その後、販売権がガルデルマ社に移管された。
国内では、がん性皮膚潰瘍臭の軽減について、2010年に日本緩和医療学会及び日本緩和医療薬学会から「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」に開発要望が提出され、2010年12月、厚生労働省よりメトロニダゾール外用剤の開発がガルデルマ株式会社に要請された。2012年4月より、がん性皮膚潰瘍に伴う臭気を有する患者を対象とした国内第Ⅲ相試験を実施し、2014年2月医薬品製造販売承認申請を行い、2014年12月に国内初の「がん性皮膚潰瘍部位の殺菌・臭気の軽減」の効能・効果で承認された。
酒さについては、2016年に日本皮膚科学会から「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」に開発要望が提出され、2018年1月、厚生労働省よりメトロニダゾール外用剤の開発がマルホ株式会社に要請された。2019年4月より、酒さの患者を対象とした国内第Ⅲ相試験を実施し、2021年5月医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請を行い、2022 年5月に「酒さ」の効能・効果で追加承認された。
なお、2018年3月に製造販売承認がガルデルマ株式会社よりマルホ株式会社に承継された。
特 性
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1ロゼックスはメトロニダゾールを有効成分とする水性ゲル製剤である。
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2ロゼックスの有効成分であるメトロニダゾールは、皮膚潰瘍部で増殖し臭気物質(プトレシン、カダベリン)を産生する数種類のグラム陽性及びグラム陰性嫌気性菌に対して抗菌作用を示した(in vitro )1)~3)。また、酒さ病変部において増加している活性酸素種の生成を抑制することで抗炎症作用を示し(in vitro )4)、免疫細胞によるTNF-αの産生や貪食細胞の免疫能等を抑制することで免疫抑制作用を示した(in vitro )5)。
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3がん性皮膚潰瘍臭を有する患者21例を対象とした国内第Ⅲ相試験において、主要評価項目である「においの改善率」は95.2%(20/21例)であった6)。
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4酒さ患者を対象とした国内第Ⅲ相試験において、主要評価項目である「投与12週後の炎症性皮疹数の変化率スコア及び紅斑重症度の変化スコアがともに3以上の被験者の割合」はロゼックス群で72.3%(47/65例)、プラセボ群で36.9%(24/65例)であり、両群間に有意差が認められた(p<0.0001、ピアソンのカイ二乗検定)7)。
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5主な副作用(1%以上)として、潰瘍部位からの出血注)、接触皮膚炎、乾燥、そう痒、つっぱり感、皮脂欠乏症が報告されている。(詳細は電子添文の副作用及び臨床成績の安全性の結果を参照)
注)がん性皮膚潰瘍部位の殺菌・臭気の軽減において報告された副作用
- Freeman, C.D. et al.: Drugs., 54, 679,(1997)
- Bendesky, A. et al.: Mutat. Res., 511, 133,(2002)
- Paul, J.C. et al.: Ostomy Wound Manage., 54, 18,(2008)
- 社内資料:抗炎症作用
- 社内資料:免疫抑制作用
- Watanabe K. et al.: Support Care Cancer., 24, 2583,(2016)
- 社内資料:酒さ患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験(M122101-01)(承認時評価資料)