リネイルゲル10%の薬効薬理
作用機序1, 2, 3)
爪甲の構成成分であるケラチンはシスチン含量が高い硬ケラチンの割合が大きく、ジスルフィド結合により強固な構造を形成している1, 2)。本剤の有効成分であるアセチルシステインはスルフヒドリル基を有する化合物であり、スルフヒドリル基を有する化合物は求核置換反応によりケラチンに含まれるシスチンのジスルフィド結合を還元して開裂する2, 3)。以上より、アセチルシステインは、爪の微細構造や強度に影響を与えることで爪を軟化させると考えられる。
(注:本剤は爪矯正具と併用することにより、巻き爪の矯正作用を発揮する。)
爪矯正具併用下での本剤の作用機序(イメージ図)
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爪甲のケラチンはジスルフィド結合により固く結びついている。
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本剤を塗布すると、ケラチンに含まれるジスルフィド結合が還元されて開裂し、爪が軟化する。
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軟化した爪に矯正具が作用する。
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本剤除去後、矯正された状態を保ったまま爪が再硬化することで、巻き爪に対して持続的な治療効果を示すと考えられる。
非臨床試験
爪軟化作用(in vitro )4)
5% 注)、10%、20% 注)及び30% 注)アセチルシステインゲルを24時間適用した際の爪軟化作用(最大荷重の変化率)を評価した結果、アセチルシステインゲル群はいずれの濃度においても、プラセボ群と比較して有意に爪を軟化させた(左下図)。また、10%及び30%注)アセチルシステインゲルを3、6及び24時間適用した際の爪軟化作用を評価した結果は右下図のとおりであった。
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また、10%及び30%注)アセチルシステインゲルを3、6及び24時間適用した際の爪軟化作用を評価した結果は下図のとおりであった。
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[方法]ヒトの爪試料から切り出した爪切片(3mm×8mm)に対し、レオメーターの感圧軸を一定距離進入させるのに必要な荷重(最大荷重)を爪硬度の指標とし、塗布前後の最大荷重の変化率を算出することで、爪軟化作用を評価した。
10%及び30%注)アセチルシステインゲルを24時間適用した爪切片から製剤を除去し、軟化した爪の再硬化を24時間ごとに経時的に評価した結果、両製剤で軟化した爪の最大荷重(爪硬度の指標)は下図のとおり推移した。
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[方法]製剤塗布24時間後に爪切片から製剤を除去し、24時間ごとに最大荷重を測定することで、軟化した爪切片の再硬化を評価した。
注)5%、20%及び30%アセチルシステインゲルは承認外の規格である。本剤の承認規格は10%である。
- 4. 効能・効果
- 巻き爪矯正の補助
- 6. 用法・用量
- 巻き爪に爪矯正具を装着後、爪甲全体に適量を塗布し、約24時間後に水又は湯で洗い流す。
- 東 禹彦:爪 基礎から臨床まで 改訂第2版. 東京, 金原出版株式会社, 2016.
- Murdan S.:Int J Pharm. 2002; 236: 1-26.
- Saner MV, et al.:J Drug Target. 2014; 22(9): 769-789.
- 社内資料:爪軟化作用(in vitro )
巻き爪マイスター以外の爪矯正具と併用した臨床試験は実施していない。