プロトピックの薬効薬理
作用機序
各種サイトカインの転写因子である活性化T細胞核内転写因子(NFAT)の働きを抑制し、肥満細胞やT細胞に作用し、肥満細胞での脱顆粒及びT細胞からのサイトカインの産生を抑制する1)。また、好酸球の浸潤、活性化を抑制し、ランゲルハンス細胞の抗原提示能を抑制する1)。
- 広井純:日本薬理学雑誌, 117(5), 351, 2001
非臨床試験
- 1サイトカイン産生抑制作用
ヒト・ヘルパーT細胞によるIL-2、IL-3、IL-4、IL-5、インターフェロンγ、GM-CSF等のサイトカインの産生をステロイドと同等もしくはより強く抑制した1)(in vitro)。
- 2肥満細胞脱顆粒抑制作用
抗IgE抗体刺激によるヒト肥満細胞からのヒスタミン遊離をステロイドより強く抑制した2、3)(in vitro)。
- 3好酸球脱顆粒抑制作用
カルシウムイオノフォア刺激によるヒト好酸球からの塩基性蛋白(ECP)の遊離をステロイドより強く抑制した4)(in vitro)。
- 4抗原提示能抑制作用
ヒト皮膚ランゲルハンス細胞をタクロリムスで前処理することにより、ランゲルハンス細胞を抗原提示細胞とする混合リンパ球反応を抑制した5)(in vitro)。
- 5実験的アレルギー性皮膚炎抑制作用
- ヒトのアトピー性皮膚炎に類似した病態を形成するラット皮膚炎及びNCマウス自然発症皮膚炎における皮膚局所炎症反応、真皮での炎症性細胞の増加を抑制した6、7)。
- Ⅳ型アレルギー反応(遅延型アレルギー反応)を強く抑制した8、9)(マウス)。
- Ⅰ型アレルギー反応の即時型反応には無効であったが、遅発型反応に対しては軽度の抑制効果を示した8、10)(マウス)。
- Sakuma S., et al.:Int. Immunopharmacol., 1(6), 1219-1226, 2001
- de Paulis A., et al.:J. Invest. Dermatol., 99(6), 723-728, 1992
- Cohan V. L., et al.:Am. Rev. Respir. Dis., 140, 951-954, 1989
- 社内資料:ヒト好酸球・薬理作用(in vitro)
- Panhans-Groß A., et al.:J. Allergy Clin. Immunol., 107(2), 345-352, 2001
- 藤井康友ら:基礎と臨床, 31(8), 2693-2700, 1997
- Hiroi J., et al.:Jpn. J. Pharmacol., 76(2), 175-183, 1998
- 仙石隆則ら:日本薬理学雑誌, 112(3), 221-232, 1998
- Meingassner J.G., et al.:Int. Arch. Allergy Immunol., 99(2-4), 486-489, 1992
- Katayama I., et al.:Int. Arch. Allergy Immunol., 109, 390-397, 1996