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プロトピック軟膏0.1%の躯幹・四肢のアトピー性皮膚炎に対する0.12%ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏との第Ⅲ相無作為化群間比較試験


    試験概要

    対象

    重症度が中等度以上[Rajka & Langelandの基準を参考]と判定された16歳以上のアトピー性皮膚炎患者[Hanifin & Rajkaの基準を参考]で、躯幹・四肢に軟膏剤1回5gまでの使用量で治療可能な症例
    有効性評価対象例:プロトピック軟膏0.1%群:78例、0.12%ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏群:84例
    安全性評価対象例:プロトピック軟膏0.1%群:88例、0.12%ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏群:90例

    方法

    プロトピック軟膏0.1%又は0.12%ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏を1回量最大5g、1日2回単純塗布し、外用期間は3週間とした。
    アトピー性皮膚炎に直接効果が期待される薬剤の全身投与やPUVA療法等、及び躯幹・四肢への他の外用薬の併用は禁止した。

    有効性観察・評価部位

    試験薬塗布部位で中等度以上(試験薬の有効性を評価できる程度)の典型的な皮疹が存在する一部位を有効性観察・評価部位とした。ただし、手首から先、足首から先及び陰股部は除いた。

    主要評価項目

    最終全般改善度

    観察・評価日

    試験開始前:外用開始日
    1週後:外用開始4~10日後
    2週後:外用開始11~17日後
    3週後:外用開始18~24日後

    最終全般改善度(主要評価項目)

    最終観察・評価日の「中等度改善」以上の改善率は、プロトピック軟膏0.1%群で93.6%、0.12%ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏群で90.5%であり、両群間に有意差は認められなかった。

    記事/インライン画像
    最終全般改善度(主要評価項目)

    評価基準:試験開始後の最終観察・評価日に、有効性観察・評価部位について各皮膚所見の推移を総合的に考慮し、試験開始前と比較した全般改善度を6段階(「治癒」「著明改善」「中等度改善」「軽度改善」「不変」「悪化」)で判定した。

    時期別全般改善度

    プロトピック軟膏0.1%群の時期別改善率(「中等度改善」以上)は、1週後71.8%、2週後84.2%、3週後95.5%であった。

    記事/インライン画像
    時期別全般改善度

    評価基準:試験開始後の各観察・評価日に、有効性観察・評価部位について各皮膚所見の推移を総合的に考慮し、試験開始前と比較した全般改善度を6段階(「治癒」「著明改善」「中等度改善」「軽度改善」「不変」「悪化」)で判定した。

    症状別皮膚所見の推移

    群間の比較では、腫脹の1週後でプロトピック軟膏0.1%群は0.12%ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏群に比べて有意にスコアが低下したが、それ以外の項目、時期については両群間に有意差は認められなかった。

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      紅斑
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      腫脹
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      痒疹結節
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      痒疹結節
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      浸潤・肥厚(苔癬化)
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      落屑(鱗屑)
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      糜爛
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      痂皮
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      そう痒
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    評価基準:各皮膚所見を5段階(4:高度、3:中等度、2:軽度、1:軽微、0:なし)で評価し、スコア化した。

    本試験における副作用

    プロトピック軟膏0.1%群では、刺激感(ほてり感、ヒリヒリ感、そう痒感など)が52/88例(59.1%)、その他の随伴症状として感染症(毛嚢炎、膿痂疹、カポジ水痘様発疹症、帯状疱疹、白癬)が5/88例(5.7%)に認められた。
    カポジ水痘様発疹症のため発現部位のみ外用を中止した。
    0.12%ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏群では、刺激感が8/90例(8.9%)、その他の随伴症状として軽度の乾燥が1/90例(1.1%)、感染症(毛嚢炎、せつ、単純疱疹)が6/90例(6.7%)に認められた。また、臨床検査値異常変動(AST増加、ALT増加)が2/82例(2.4%)に認められた。
    高度の刺激感のため外用を中止した症例がプロトピック軟膏0.1%群に3例あった。
    本試験において死亡例を含む重篤な副作用は認められなかった。

    記事/インライン画像
    被験部位の刺激感
    5. 効能・効果に関連する注意
    ステロイド外用剤等の既存療法では効果が不十分又は副作用によりこれらの投与ができないなど、本剤による治療がより適切と考えられる場合に使用する。
    6. 用法・用量
    通常、成人には1日1~2回、適量を患部に塗布する。なお、1回あたりの塗布量は5gまでとする。
    7. 用法・用量に関連する注意
    7.1
    皮疹の増悪期には角質層のバリア機能が低下し、血中濃度が高くなる可能性があるので、本剤の使用にもかかわらず2週間以内に皮疹の改善が認められない場合には使用を中止すること。また、皮疹の悪化をみる場合にも使用を中止すること。
    7.2
    症状改善により本剤塗布の必要がなくなった場合は、速やかに塗布を中止し、漫然と長期にわたって使用しないこと。
    7.3
    1日2回塗布する場合はおよそ12時間間隔で塗布すること。
    8. 重要な基本的注意(抜粋)
    8.1
    重度の皮疹もしくは塗布面積が広範囲にわたる場合は、血中濃度が高くなる可能性があるので、本剤使用開始の2~4週間後に1回、その後は必要に応じて適宜腎機能検査を行い、異常が認められた場合には、直ちに使用を中止し、適切な処置を行うこと。
    8.2
    本剤の免疫抑制作用により潜在的な発がんリスクがある。0.03%製剤で実施された長期の国内製造販売後調査において、悪性リンパ腫、皮膚がん等の悪性腫瘍の報告はなく、長期の海外疫学研究においても、本剤の使用による発がんリスクの上昇は認められなかった。一方、本剤使用例において関連性は明らかではないが、悪性リンパ腫、皮膚がんの発現が報告されている。本剤の使用にあたっては、これらの情報を患者に対して説明し、理解したことを確認した上で使用すること。

    FK506軟膏研究会:西日皮膚59(6), 870, 1997 [G3050963](承認時評価資料)

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