生後6ヵ月以上2歳未満の小児アトピー性皮膚炎患者を対象としたプロトピック軟膏0.03%の国内製造販売後臨床試験(第Ⅳ相、長期投与試験)
試験概要
目的
主目的:生後6ヵ月以上2歳未満の小児アトピー性皮膚炎患者を対象に、プロトピック軟膏0.03%を1日1~2回52週間投与したときの有効性及び安全性を確認する。
対象
6ヵ月以上2歳未満(同意取得時)の軽症以上のアトピー性皮膚炎患者
[有効性解析対象集団(FAS):22例、安全性解析対象集団:22例]
〈選択基準〉以下の基準をすべて満たす患者
- 同意取得時及び治療開始日の年齢が6ヵ月以上2歳未満の患者
- Hanifin & Rajkaのアトピー性皮膚炎診断基準に基づいてアトピー性皮膚炎と診断された患者
- vIGAスコアが2(軽度)以上の患者
- EASIスコアが3.0以上の患者
- 試験薬の1回塗布量の上限0.5gですべての皮疹に塗布可能な患者
※被髪頭部、皮膚以外の部位(粘膜等)及び外陰部の皮疹は試験薬を塗布する皮疹に含めなかった。
方法
治療開始日から4週後までは1日2回、4週後以降は試験担当医師の判断に基づき1日1~2回、プロトピック軟膏0.03%を塗布した。試験担当医師が塗布範囲を特定し、1回あたりの塗布量上限は0.5gを目安とした。本試験中に2歳の誕生日を迎えた患者は、治療開始日から4週後以降かつ2歳の誕生日以降の来院日より、1回あたりの上限は1.0gを目安とした。治療期間は52週間とした。
評価項目
〈有効性〉[主要評価項目]EASI変化率の経時推移
[その他の評価項目]EASI(実測値、変化量、改善割合)、vIGA、BSA、かゆみスコア、POEM、DFIの経時推移など
〈安全性〉有害事象、臨床検査値
〈バイオマーカー〉TARC及びSCCA2の経時推移
解析方法
〈有効性〉FASを対象に解析した。[主要評価項目]時点ごとに要約統計量を求め、平均値の両側95%信頼区間を算出した。4週後のEASI変化率の平均値の両側95%信頼区間の上限値が、事前規定した仮想プラセボ群の推定EASI変化率(-20%)を下回ったとき、生後6ヵ月以上2歳未満のアトピー性皮膚炎患者に対するプロトピック軟膏0.03%の有効性が確認されたと判断した。
試験デザイン
多施設共同非盲検非対照試験
併用禁止・併用制限
治療開始日~52週後来院時:ステロイド薬(外用薬、全身投与薬)、JAK阻害薬(外用薬)、PDE4阻害薬(外用薬)、その他、保湿・保護剤以外のアトピー性皮膚炎の治療を目的とした外用薬、免疫抑制薬/免疫調節薬(全身投与薬)、アトピー性皮膚炎の皮疹に対する光線療法、アトピー性皮膚炎の治療を目的とした医薬品、試験薬との重層法又は密封法、減感作療法及び変調療法、他の開発中の医薬品、医療機器、再生医療製品との併用は禁止。
治療開始日~4週後来院時:試験薬塗布部位への保湿薬・保護剤との併用、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬(全身投与薬)の用法及び用量の変更、食物経口負荷試験との併用は制限。
略語一覧
FAS:full analysis set(最大の解析対象集団)、vIGA:validated Investigator's Global Assessment(医師による全般的な評価)、EASI:Eczema Area and Severity Index(皮疹の面積と重症度の評価)、BSA:body surface area(体表面積に対する皮疹面積の割合)、POEM:Patient-Oriented Eczema Measure、DFI:Dermatitis Family Impact、TARC:thymus and activation-regulated chemokine、SCCA2:squamous cell carcinoma antigen 2(扁平上皮癌抗原2)、JAK:janus kinase(ヤヌスキナーゼ)、PDE4:phosphodiesterase 4(ホスホジエステラーゼ4)
患者背景
| 項目 | プロトピック軟膏0.03% | |
|---|---|---|
| 性別 | 男性 | 14(63.6) |
| 女性 | 8(36.4) | |
| 年齢a)[ヵ月] | 13.8±5.7 | |
| 身長b)[cm] | 74.77±6.45 | |
| 体重b)[kg] | 9.20±1.38 | |
| EASI(ベースライン) | 6.543±3.374 | |
| vIGA(ベースライン) | 2:軽度 | 13(59.1) |
| 3:中等度 | 9(40.9) | |
| かゆみスコア(ベースライン) | 0:なし | 2(9.1) |
| 1:軽微 | 4(18.2) | |
| 2:軽度 | 10(45.5) | |
| 3:中等度 | 5(22.7) | |
| 4:高度 | 1(4.5) | |
| BSA(ベースライン) | 13.5±8.4 | |
| POEMの合計スコア(ベースライン) | 9.8±5.9 | |
| DFIの合計スコア(ベースライン) | 2.1±2.5 | |
| アトピー性皮膚炎の罹病期間[ヵ月] | 9.3±6.1 | |
a)同意取得時 b)治療開始日 例数(%)又は平均値±S.D.
治療の遵守状況
FASのうち、投与遵守率が90%以上であった被験者は、治療開始日から4週後までの期間は22例中20例、52週後までの期間は22例中18例であった。このうち、逸脱の基準となる投与遵守率70%未満の被験者はそれぞれ、1例及び2例であった。
EASI変化率の経時推移(主要評価項目)
4週後のEASI変化率の平均値(95%信頼区間)は、-77.80%(-90.59%,-65.01%)であり、事前規定した判定基準*を満たした。
EASI変化率の平均値(95%信頼区間)は、1週後が-48.23%(-66.88%,-29.58%)、2週後が-72.42%(-85.79%,-59.06%)で、4週後以降は-86.12~-60.35%の範囲で推移した。
*:投与4週後のEASI変化率の平均値の95%信頼区間の上限値が、仮想プラセボ群の推定EASI変化率(-20%)を下回ること
EASI改善割合の経時推移(その他の評価項目)
EASIがベースラインから50%以上改善した患者の割合は、1週後が66.7%(14/21例)、2週後が90.5%(19/21例)であり、4週後以降は76.2~100%(16~21/21例)の範囲で推移した。
EASIがベースラインから75%以上改善した患者の割合は、1週後が33.3%(7/21例)、2週後が66.7%(14/21例)であり、4週後以降は57.1~81.0%(12~17/21例)の範囲で推移した。
※:図には1、2、4、12、28及び52週後の結果を示した。全評価時点を含めた結果は本文に示す。
vIGAの経時推移(その他の評価項目)
ベースラインのvIGAスコアは全例で2又は3であった。vIGAスコアが0又は1となった患者の割合は、1週後が42.9%(9/21例)、2週後が61.9%(13/21例)であり、4週後以降は47.6~76.2%(10~16/21例)の範囲で推移した。
vIGAスコアが0又は1となった患者のうち、2段階以上改善していた患者の割合は、1週後が9.5%(2/21例)、2週後が19.0%(4/21例)であり、4週後以降は38.1~57.1%(8~12/21例)の範囲で推移した。
※:図には1、2、4、12、28及び52週後の結果を示した。全評価時点を含めた結果は本文に示す。
BSAの経時推移(その他の評価項目)
BSAの平均値(95%信頼区間)は、ベースラインが13.5%(9.7%, 17.2%)、1週後が8.6%(4.4%, 12.8%)、2週後が4.0%(2.0%, 5.9%)で、4週後以降は2.7~5.2%の範囲で推移した。
かゆみスコアの経時推移(その他の評価項目)
かゆみスコア0又は1の患者の割合は、ベースラインが27.3%(6/22例)、2週後が47.6%(10/21例)、4週後が66.7%(14/21例)で、12週後以降は42.9~52.4%(9~11/21例)の範囲で推移した。
かゆみスコアのベースラインからの変化量の平均値(95%信頼区間)は、1週後が-0.3(-0.8, 0.1)、2週後が-0.6(-1.2, 0.0)、4週後が-1.0(-1.5, -0.4)で、12週後以降は-0.4~-0.8の範囲で推移した。
POEM・DFIの経時推移(その他の評価項目)
POEM
POEMの合計スコアの平均値(95%信頼区間)は、ベースラインが9.8(7.2, 12.4)、4週後が4.3(2.2, 6.4)で、12週後以降は4.3~5.4の範囲で推移した。
POEMの合計スコアのベースラインからの変化量の平均値(95%信頼区間)は、4週後が-5.5(-8.3, -2.8)であり、12週後以降は-5.5~-4.4の範囲で推移した。
DFI
DFIの合計スコアの平均値(95%信頼区間)は、ベースラインが2.1(1.0, 3.2)、4週後が1.7(0.5, 3.0)で、12週後以降は1.0~1.4の範囲で推移した。
DFIの合計スコアのベースラインからの変化量の平均値(95%信頼区間)は、4週後が-0.4(-1.8, 1.0)であり、12週後以降は-1.1~-0.7の範囲で推移した。
本試験における副作用
プロトピック軟膏0.03%の副作用は2/22例(9.1%)に認められ、その内訳は膿痂疹及び適用部位刺激感が各1/22例(各4.5%)であった。
減量に至った副作用は膿痂疹、休薬に至った副作用は適用部位刺激感であり、各1/22例(各4.5%)に認められた。いずれも軽度かつ処置後に回復した。
投与中止に至った副作用は認められなかった。
注目すべき有害事象として設定した皮膚刺激感、皮膚刺激によると疑われる皮膚症状(紅斑、水疱等)及び皮膚感染症は、それぞれ1/22例(4.5%)、11/22例(50%)及び14/22例(63.6%)に認められ、そのうち皮膚刺激感の1例(適用部位刺激感)、皮膚感染症の1例(膿痂疹)以外は、いずれもプロトピック軟膏0.03%と関連なしと判定された。
本試験において、死亡例及びプロトピック軟膏0.03%と関連ありと判定されたその他の重篤な有害事象は認められなかった。
TARC及びSCCA2の経時推移(バイオマーカー)
ベースライン、4、12、28、52週後時点のTARCの中央値はそれぞれ、972.5pg/mL、762.5pg/mL、815.5pg/mL、629.0pg/mL、815.0pg/mLであった。
SCCA2の中央値はそれぞれ、2.20ng/mL、1.50ng/mL、1.60ng/mL、1.50ng/mL、1.50ng/mLであった。
本試験における副作用
- 5. 効能・効果に関連する注意
- ステロイド外用剤等の既存療法では効果が不十分又は副作用によりこれらの投与ができないなど、本剤による治療がより適切と考えられる場合に使用する。
- 6. 用法・用量
- 通常、小児には1日1~2回、適量を患部に塗布する。なお、1回あたりの塗布量は5gまでとするが、年齢により適宜減量する。
- 7.1
- 1回あたりの最大塗布量については、次の表を目安にする。
| 年齢(体重)区分 | 1回塗布量の上限 |
|---|---|
| 6ヵ月~2歳未満(10kg未満) | 0.5g |
| 2歳~5歳(10kg以上20kg未満) | 1g |
| 6歳~12歳(20kg以上50kg未満) | 2g~4g |
| 13歳以上(50kg以上) | 5g |
参考:臨床試験時の用量
- 7.2
- 皮疹の増悪期には角質層のバリア機能が低下し、血中濃度が高くなる可能性があるので、本剤の使用にもかかわらず2週間以内に皮疹の改善が認められない場合には使用を中止すること。また、皮疹の悪化をみる場合にも使用を中止すること。
- 7.3
- 症状改善により本剤塗布の必要がなくなった場合は、速やかに塗布を中止し、漫然と長期にわたって使用しないこと。
- 7.4
- 1日2回塗布する場合はおよそ12時間間隔で塗布すること。
- 8.1
- 重度の皮疹もしくは塗布面積が広範囲にわたる場合は、血中濃度が高くなる可能性があるので、本剤使用開始の2~4週間後に1回、その後は必要に応じて適宜腎機能検査を行い、異常が認められた場合には、直ちに使用を中止し、適切な処置を行うこと。
社内資料:製造販売後臨床試験(M115103-41)



