オキサロール軟膏の尋常性乾癬患者を対象とした国内第Ⅲ相臨床試験(軟膏の左右比較試験)
試験概要
目的
オキサロール軟膏25μg/gの有効性、安全性、有用性の検討
対象
20歳以上80歳未満の尋常性乾癬患者
評価例数
75例(有効性・安全性)
投与方法
オキサロール軟膏25μg/g、対照薬(タカルシトール軟膏2μg/g)を左右被験部位に1日2回、適量(片側の1回最高量1g)注)を8週間単純塗擦
注)本剤の1日最大使用量は10gである
評価項目
主要評価項目
最終時全般改善度の左右優劣比較、有用度の左右優劣比較
副次評価項目
皮膚所見項目別評価、総合評価(全般改善度、全般改善度の左右優劣比較、局所性副作用、有用度、全身性副作用及び臨床検査などについての安全性)
解析計画
主要な解析はWilcoxon符号付順位検定とし、有意水準は両側5%とした
主要評価項目
全般改善度及び有用度の左右優劣比較(最終時)
オキサロール軟膏群と対照薬群との間に有意な差が認められた(p<0.001)。
副次評価項目
皮膚所見別の推移
紅斑、浸潤・肥厚、鱗屑の各皮膚所見に改善が認められた。



n=65~75 Mean±S.E.
評価基準:紅斑、浸潤・肥厚、鱗屑の各皮膚所見についてそれぞれ「0:なし」「1:軽微」「2:軽度」「3:中等度」「4:高度」の5段階のスコアで評価
全般改善度の推移
「中等度改善」以上の改善率は2週後48.6%、4週後83.8%であり、改善が認められた。

評価基準:皮膚所見の推移を総合的に考慮し、各観察評価日に「略治」「著明改善」「中等度改善」「軽度改善」「不変」「悪化」の6段階で評価
副作用
局所性副作用はオキサロール軟膏群及び対照薬群で75例中5例9件に認められた。主な副作用はオキサロール軟膏群でそう痒3件、刺激感、発赤各1件、対照薬群でそう痒、刺激感各2件であった。
全身性副作用は75例中2例にγ-GTP上昇が認められた。そのうち、投与中止に至った副作用は、そう痒1件であった。本試験では死亡例を含む重篤な副作用は認められなかった。
- 6. 用法・用量
- 通常1日2回適量を患部に塗擦する。なお、症状により適宜回数を減じる。
- 7.1
- 1日の使用量はマキサカルシトールとして250μg(マキサカルシトール外用製剤として10g)までとする。
- 7.2
- 本剤は、通常、使用後6週目までに効果が認められているので、治療にあたっては経過を十分に観察し、症状の改善がみられない場合には、漫然と使用を継続しないこと。
- 8.1
- 本剤は活性型ビタミンD3誘導体製剤であり、血中カルシウム値が上昇する可能性がある。また、高カルシウム血症に伴い、急性腎障害の報告があるため、本剤の使用に際しては、血中カルシウム値及び腎機能(血中クレアチニン、BUN等)の検査を定期的(開始2~4週後に1回、その後は適宜)に行うこと。なお、正常域を超えた場合には減量又は使用を中止すること。
- 8.2
- 皮疹が広範囲にある場合や、皮疹重症度が高く、皮膚のバリア機能が低下して本剤の経皮吸収が増加する可能性のある患者では、高カルシウム血症が発現しやすく、急性腎障害に至る可能性もあるため、本剤を少量から使用開始し、観察を十分に行い、血中カルシウム値及び腎機能の検査を定期的に行うこと。
OCT軟膏研究会:医学のあゆみ 2000 ; 194(11):887-904