伝染性軟属腫の検査・診断
伝染性軟属腫の検査・診断1-4)
伝染性軟属腫の診断は、丘疹の外見のみでも可能ですが、ダーモスコピー検査※も有用です。
また、ピンセットなどで圧した際に中心臍窩から粥状物質が排出されれば確実といえます。
必要に応じて病理組織検査を行うこともあります。
伝染性軟属腫でみられる丘疹の特徴は以下のとおりです。
- ①全体的に白みを帯びた淡い紅色
- ②中央が白色リング状
- ③周囲に毛細血管の拡張がみられる
※ダーモスコピー検査
ダーモスコープ(図1)は、様々な光源のついた約10~30倍程度の倍率で観察できる拡大鏡です。
ダーモスコピー検査は、ダーモスコープを用いて皮膚内部(真皮上層程度まで)の色素の性状や分布などを観察する検査方法です。
観察する際は、皮膚面にエコーゼリーなどを塗って乱反射を抑え、光を透過して行います。
ダーモスコピー検査は、皮疹の肉眼的観察と、皮膚生検による病理組織診断との間を埋める役割を果たしています。

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伝染性軟属腫の病理所見2,4)
ウイルスに感染した表皮が中央で真皮に食い込むようにして塊状に増殖します(図2)。
また、細胞質内には細かな顆粒を認め、これらが融合して軟属腫小体(molluscum body、Henderson-Patterson)と呼ばれる好酸性の封入体を形成します。

伝染性軟属腫の診断時の注意点1,2,5)
アトピー性皮膚炎を有する小児の場合、患部を掻破したことで個々の丘疹がはっきりとしない場合があるため注意が必要です。
また、HIV感染症に代表される免疫不全の患者の92%で何らかの皮膚疾患を合併していました。その皮膚疾患には伝染性軟属腫も含まれていました(8%)。
特に、顔面に突然多発した場合はHIV感染が疑われます。
- 宮地 良樹, 渡辺 大輔, 常深 祐一郎:エビデンスに基づく Q&Aでわかる皮膚感染症治療. 中山書店, p231, 2020.
- 清水 宏:あたらしい皮膚科学 第3版. 中山書店, pp52-53, 499, 2018.
- 落合 慈之 監修, 五十嵐 敦之 編集:新版 皮膚科疾患ビジュアルブック. 学研メディカル秀潤社, p21, 2012.
- 岩月 啓氏 監修, 照井 正, 石河 晃 編集:標準皮膚科学. 医学書院, pp74, 480, 2000.
- Coldiron BM et al:Arch Dermatol. 125:357-361, 1989.