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臨床試験で使用した評価指標


    かゆみ評価

    そう痒VAS(Visual Analogue Scale)、そう痒NRS(Numerical Rating Scale)、そう痒VRS(Verbal Rating Scale)、PP-NRS(Peak Pruritus-Numerical Rating Scale)1)-5)

    そう痒VASは100mmの線の左端を「かゆみなし:0」、右端を「想像されうる最悪のかゆみ:100」として、患者がかゆみの程度に応じて線上に印を付け、左端から印を付けた位置までの距離(mm)をかゆみの大きさとして評価する。そう痒NRSは、過去24時間の平均的なかゆみの程度を「かゆみなし:0」~「想像されうる最悪のかゆみ:10」の11段階で患者が評価する。そう痒VRSは5段階のかゆみの強さを表す言葉をかゆみの強さの順に並べ(none[なし]、mild[軽度]、moderate[中等度]、severe[重度]、very severe[最重度])、患者がどのかゆみに近いかを回答する。PP-NRSは、過去24時間の最大のかゆみの程度を「かゆみなし:0」~「想像されうる最悪のかゆみ:10」の11段階で患者が評価する。患者自身がかゆみの程度を時系列で評価することで、患者ごとにかゆみの変遷を定量化できる。PP-NRSの4以上の改善は臨床的意義があるとされている。

    記事/インライン画像
    そう痒VAS(Visual Analogue Scale)、そう痒NRS(Numerical Rating Scale)、そう痒VRS(Verbal Rating Scale)、PP-NRS(Peak Pruritus-Numerical Rating Scale)1)-5)
    1)
    Kido-Nakahara M, et al.: Acta Derm Venereol. 2015;95:345-346.
    2)
    Furue M, et al.: Acta Derm Venereol. 2013;93:214-215.
    3)
    Phan NQ, et al.: Acta Derm Venereol. 2012;92:502-507.
    4)
    Ständer S, et al.: Acta Derm Venereol. 2013;93:509-514.
    5)
    Yosipovitch G, et al.:Br J Dermatol. 2019;181:761-769. より作成

    かゆみスコア1)、2)

    過去24時間のかゆみの程度を「なし:0」~「高度:4」の5段階で患者が評価する。そう痒VASと同様、患者自身がかゆみの程度を時系列で評価することで、患者ごとにかゆみの変遷を定量化することができる。

    【6歳以上13歳未満の患者】

    スコア 程度 症状の程度の説明文
    0 なし ぜんぜんかゆくない
    1 軽微 少しかゆいが、かくほどではない (昼)たまに体がムズムズするが、かくほどではない
    (夜)かかなくてもねむれる
    2 軽度 かゆくてかく (昼)たまに手がゆき、かるくポリポリかく
    (夜)かけばねむれる
    3 中等度 かなりかゆい (昼)かゆくて授業やゲームにあまり集中できない
    (夜)よる、かゆくて目がさめる
    4 高度 かゆくてかゆくてしょうがない (昼)かゆくて、勉強やゲームができない
    (夜)かゆくて、よるねむれない
    1)
    中川 秀己, 川島 眞.:西日皮膚. 2006;68:553-565. より改変

    【13歳以上の患者】

    スコア 程度 日中 夜間
    0 なし ほとんどかゆみを感じない ほとんどかゆみを感じない
    1 軽微 時にむずむずするが、かく程ではない かかなくても眠れる
    2 軽度 時に手がゆき、軽くかく かけば眠れる
    3 中等度 かなりかゆく、人前でもかく かゆくて目がさめる
    4 高度 いてもたってもいられないかゆみ かゆくてほとんど眠れない
    白取らの基準を改変
    2)
    川島 眞, 他.: 臨床皮膚科. 2002;56:692-697. より改変

    皮膚症状の評価

    EASI(Eczema Area and Severity Index)

    体を「頭頚部、体幹、上肢、下肢」の大きく4つの部位に分け、それぞれの部位に認められる皮疹の面積を「全体に皮疹がある場合を100%」、「全くない場合を0%」として、0~6点でスコア化する(面積スコア)。次に、各部位における徴候(紅斑、浸潤/丘疹、掻破痕、苔癬化)の重症度を「なし:0」~「重度:3」の4段階で評価する。それらのスコアを表に記入し、重症度の合計スコアと面積スコアを掛け合わせ、さらに部位ごとに異なる係数を掛けた部位ごとのスコアを算出し、4部位のスコアを合計して評価する(最高得点は72点)。EASIはそのスコア自体に加えて、ベースライン時のスコアに比べて何%改善したかを指標にして評価に用いる場合もある。

    記事/インライン画像
    EASIの評価方法
    EASIスコア計算シートはこちら

    Hanifin JM, et al.: Exp Dermatol. 2001;10:11-18. より作成

    POEM(Patient-Oriented Eczema Measure)

    7つの項目「1)湿疹のかゆみ、2)睡眠障害、3)出血、4)滲出液、5)ひび割れ、6)落屑、7)乾燥」について、7日間のうち何日その症状が認められたかを「なし:0点」、「1~2日:1点」、「3~4日:2点」、「5~6日:3点」、「毎日:4点」として患者が質問票に回答し評価する。重症度は合計スコアで評価され(0〜2点:消失又はほぼ消失、3〜7点:軽度、8〜16点:中等度、17〜24点:重度、25〜28点:最重度)、合計スコア4点以上の改善が臨床的意義のある改善とされる。

    以下は、あなたの湿疹についての7つの質問です。各質問に対し、回答を1つ選び○で囲んでください。幼児は両親が質問票を記入してください。回答できない質問があった場合は、空白のままにしてください。

    1. この1週間で、湿疹のために皮膚のかゆみがあった日は何日ありましたか?

      • なし
      • 1~2日
      • 3~4日
      • 5~6日
      • 毎日
    2. この1週間で、湿疹のために夜の睡眠が妨げられた日は何日ありましたか?

      • なし
      • 1~2日
      • 3~4日
      • 5~6日
      • 毎日
    3. この1週間で、湿疹のために皮膚から出血した日は何日ありましたか?

      • なし
      • 1~2日
      • 3~4日
      • 5~6日
      • 毎日
    4. この1週間で、湿疹のために皮膚がジクジク(透明な液体がにじみ出る)した日は何日ありましたか?

      • なし
      • 1~2日
      • 3~4日
      • 5~6日
      • 毎日
    5. この1週間で、湿疹のために皮膚にひび割れができた日は何日ありましたか?

      • なし
      • 1~2日
      • 3~4日
      • 5~6日
      • 毎日
    6. この1週間で、湿疹のために皮膚がボロボロと剥がれ落ちた日は何日ありましたか?

      • なし
      • 1~2日
      • 3~4日
      • 5~6日
      • 毎日
    7. この1週間で、湿疹のために皮膚が乾燥又はザラザラしていると感じた日は何日ありましたか?

      • なし
      • 1~2日
      • 3~4日
      • 5~6日
      • 毎日

    合計スコア(最大28点) ___________

    Archives of dermatology, December 1, 2004, 140 1513-1519, Copyright © 2004 American Medical Association. All rights reserved

    Charman CR, et al.:Arch Dermatol. 2004;140:1513-1519.

    PN-IGA(Prurigo Nodularis-Investigator's Global Assessment)

    結節性痒疹の個数及び形状から各患者の結節性痒疹の重症度を「なし:0」~「重度:4」の5段階で評価する指標で、Ständerが提唱した評価項目を改変したものである。

    スコア カテゴリ ステージ(IGAに基づくPNの重症度分類)
    0 なし 結節なし
    1 ほぼなし 病変はほとんどなく、扁平であり、ドーム状の触知可能な結節が5個以下である
    2 軽度 病変はわずかで、大半は扁平であり、ドーム状の触知可能な結節が少数みられる
    3 中等度 病変が多く、部分的に扁平であり、ドーム状の触知可能な結節がある
    4 重度 病変が大量にみられ、大半がドーム状の触知可能な結節である
    社内資料:
    結節性痒疹患者に対する第Ⅱ/Ⅲ相比較/長期継続投与試験(承認時評価資料)(CTD.2.7.6.5)

    QOL評価

    ISI(Insomnia Severity Index)

    睡眠障害の度合いを患者の主観的重症度により評価する質問票。質問は過去2週間における不眠症状に関して、不眠の重症度(入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒)、睡眠の満足度、日中への支障の程度、他者による支障への気づき、不眠に対する苦痛の程度の計5項目で構成されている。
    回答は5段階(0~4点)の尺度で行われ、合計得点により「不眠症なし」(0~7点)、「不眠前段階」(8~14点)、「中等度不眠」(15~21点)、「重度不眠」(22~28点)に分類される。不眠症者と健康人を分けるカットオフ値は10点が妥当とされている。

    Bastien CH, et al.:Sleep Med. 2001;2:297-307.

    睡眠障害NRS(Numerical Rating Scale)

    前夜の睡眠障害の程度を「睡眠の問題なし:0」~「全く眠ることができなかった:10」の11段階で患者が評価する。

    記事/インライン画像
    睡眠障害NRS

    Ständer S, et al.:Dermatol Ther(Heidelb). 2023;13:1587-1602. より作成

    DLQI(Dermatology Life Quality Index)/CDLQI(Children's Dermatology Life Quality Index)1)-3)

    DLQIは、16歳以上の患者に使用され、患者が質問に回答することで過去1週間のQOLの低下度合いを評価する評価法。質問票は「症状・感情、日常生活、レジャー、仕事・学校、人間関係、治療」の6つの下位尺度を問う10の質問で構成されており、各項目について過去1週間を振り返り、0~3点で評価する(最高得点は30点)。DLQIは合計スコア4点以上の改善、CDLQIは合計スコア2.5点以上の改善が臨床的意義のある改善とされる。

    1)
    Finlay AY, et al.:Clin Exp Dermatol. 1994;19:210-216.
    2)
    大矢 幸弘, 他.:アレルギー. 2002;51:265.
    3)
    徳田 玲子, 他:日小ア誌. 2013;27:557-565.

    DFI(Dermatitis Family Impact)

    10の質問で構成されており、各質問に対して、患者の保護者が「ものすごく(Very much):3」、「かなり(Quite a lot):2」、「すこし(Only a little):1」、「ぜんぜん(Not at all):0」の4段階で回答する(最高得点は30点)。小児アトピー性皮膚炎の皮膚状態が家族機能に及ぼす影響を検討するために有用と報告されている。

    Lawson V, et al.:Br J Dermatol. 1998;138:107-113.

    WPAI-GH(Work Productivity and Activity Impairment Questionnaire-General Health)1)、2)

    過去1週間の健康上の問題が仕事又は日常の諸活動にどの程度影響を及ぼしたかを患者が評価する方法。

    1)
    Reilly MC, et al.:PharmacoEconomics. 1993;4:353-365.
    2)
    仕事の生産性及び活動障害に関する質問票:健康全般 V2.2(WPAI:GH):
    http://www.reillyassociates.net/WPAI-GH_v2.2-Japanese-Japan.doc(2023年8月30日閲覧)

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