問診・指導の実例
監修:横関皮膚科クリニック 院長 東京医科歯科大学 名誉教授 横関 博雄 先生
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40代女性の患者さんが定期的に通院している病院の待合室で脇汗のポスターを目にしました。
実は前から脇汗も悩んでおり、もしかしたら自分も多汗症かもしれないと思い、
先生に相談してみようと考えました。
先生こんにちは。昔から汗っかきで、院内のポスターを見てもしかしたら多汗症かも・・・と思ったのですが、相談してもいいですか。
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問診により汗での困りごとを聞き取ります。
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はい、大丈夫ですよ。
何歳の頃から症状がありましたか?
何歳の頃から症状がありましたか?
小学生の頃から汗の量が多くて困っていました。
夏から秋など、季節を通じて6ヵ月以上症状がありますか?
はい、夏を中心に、春から秋まで症状があります。
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Point 01
診断
明らかな原因のないまま局所の過剰な発汗が6カ月以上認められ、診断基準の6項目のうち2項目以上に当てはまれば原発性局所多汗症と診断します。
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どんな時に困りますか?
人前に出ると脇から突然汗が出て止まらなくなります。電車でもじんわりと汗ジミができてしまうので、つり革を持つことができません。
症状は1週間のうちどれくらいの頻度でありますか?
平日はほぼ毎日です。週末も出る時があります。
それは大変ですね。服や人にも気を遣ったりしてしまうのではないですか?
そうなんです。普段からグレーのシャツやシミになる素材の衣類は着ないようにしていたり、取引先の人と話すときも少し距離を取りながら話したりしています。
それは、つらかったですね。今伺った話からあなたの症状は脇の『多汗症』になり、重症度もHDSS3という診断になります。治療ができますので、今から治療方法について説明しますね。
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患者さんからの聞き取りをもとに、原発性局所多汗症と診断します。
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Point 02
重症度判定
発汗がどの程度気になっているかと、日常生活への支障の程度を確認します。
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以前は手術や注射しか選択肢がありませんでしたが、最近保険適用のある外用薬が出たんですよ。
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Point 03
治療方法の提案
治療の選択肢を患者さんに紹介します。
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塗るだけという手軽さと効果や安全性のデータも有しています。
保険適用で医療費の負担も少ないので、まずは外用薬で治療を始めてみてもいいかもしれませんね。
保険適用で医療費の負担も少ないので、まずは外用薬で治療を始めてみてもいいかもしれませんね。
では、使い慣れているシートタイプを使ってみたいです。
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外用抗コリン薬1日あたりの費用は80円未満となります(2024年4月現在/3割負担の場合)。
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外用薬は1日1回毎日塗り続けることで効果の実感が期待できます。
汗を全く無くすわけではありませんが、汗が気にならない程度に減らしていくことを最初のゴールとして、まずは1ヵ月続けてみましょう。
汗を全く無くすわけではありませんが、汗が気にならない程度に減らしていくことを最初のゴールとして、まずは1ヵ月続けてみましょう。
わかりました。
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Point 04
継続塗布と治療ゴールの共有
毎日続けることで効果実感が期待できることと汗ゼロを目指さない治療ゴールを共有します。
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まとめ
4つのポイントを実施することで多汗症治療ができます。是非明日からの診療にお役立ていただければ幸いです。