帯状疱疹の病態
ヘルペスウイルス
150kbpのゲノム全長を持ち、80種類以上の遺伝子をコードしている。
ヘルペスウイルスはDNAウイルスであり、DNAの長さは150kbp(15万塩基対)、全長は180nmです。ヘルペスウイルスは、コア、カプシド、テグメント、エンベロープ、スパイク等から構成されます。
ヘルペスウイルスの種類と疾患
ヒトヘルペスウイルスは、現在までに9種類が見つかっています。ファムビル錠が適応となるのは、単純疱疹の原因となるHSV-1、HSV-2、そして帯状疱疹の原因となるVZVです。
潜伏感染と再活性化
VZVの初感染は、多くの人が小児期に罹患する水痘として発症します。感染したVZVは水痘治癒後も神経節にDNAの形で潜伏感染し、加齢やストレス、疲労などで免疫力が低下したときに、潜伏したウイルスの再活性化が起こり、帯状疱疹として回帰発症します。
帯状疱疹の一般経過
帯状疱疹は、痛みや違和感が皮疹に先行して現れる疾患です。その後、「片側性」「帯状」といった特徴的な所見を持つ皮膚症状が出現し、激しい痛みを伴います。通常、紅斑・丘疹、水疱・膿疱、びらん・潰瘍、痂皮を経て、約3週間で皮膚症状がなくなりますが、その後もPHN(帯状疱疹後神経痛)として痛みが残ることもあります。
帯状疱疹の疫学
本邦における帯状疱疹の大規模疫学調査では1年間に1,000人あたり4.50人が帯状疱疹を発症していると報告されています。
詳しい疫学についてはこちらZAP(Zoster-Associated Pain)
臨床試験において、痛みの評価をする際の指標として用いられます。前駆症状の痛み、急性期の痛み、慢性期の痛み(PHN)を連続してとらえた痛みの概念です。
出典:Dowkin RH; Herpes, 13(sup.1),21A(2006)
PHNは帯状疱疹発症からの経過時間で定義することが困難であるため、帯状疱疹の臨床試験や疼痛の評価においては、ZAPという急性期から慢性期までの痛みを連続的にとらえた概念として考えることがあります。