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ファムシクロビルの帯状疱疹に対する追加第Ⅲ相二重盲検比較試験<非劣性試験>


    試験概要

    対象

    20歳以上80歳以下、皮疹出現後72時間以内の帯状疱疹患者
    ファムビル群:233例、アシクロビル群:238例
    解析は、以下の症例数で実施した。
    有効性:ファムビル群210例、アシクロビル群216例
    安全性:ファムビル群233例、アシクロビル群238例

    方法

    アシクロビルを対照としたダブルダミー法による多施設共同二重盲検並行群間比較試験
    ファムビル群:ファムビル1回500mgを1日3回、7日間経口投与
    アシクロビル群:アシクロビル1回800mgを1日5回、7日間経口投与

    併用薬・併用療法

    他の抗ヘルペスウイルス薬、インターフェロン、γ-グロブリン製剤、ステロイド薬及び免疫抑制薬は、有効性評価に影響を及ぼすと考えられるため併用禁止。ただし、治療観察期間に発症した眼部帯状疱疹に対する抗ヘルペスウイルス薬の外用は併用可。
    非ステロイド性消炎鎮痛薬(アセトアミノフェン以外の全身投与及びウフェナマート以外の帯状疱疹の病変部位に対する外用)、抗うつ薬、抗てんかん薬、局所麻酔薬及び麻薬性鎮痛薬は、疼痛評価に影響を及ぼすと考えられるため併用禁止。同様の理由から神経ブロック、イオントフォレーシス等の疼痛治療も禁止。プロベネシド**、シメチジン**、テオフィリン**は治験薬の薬物動態に影響を及ぼすと考えられるため禁止。

    *:
    全身投与及び帯状疱疹の病変部位に対する外用
    **:
    治験薬投与期間中のみ併用禁止

    評価項目

    主要評価項目
    病変部位が完全痂皮化するまでの日数
    副次評価項目
    皮疹の拡大(形成)が停止するまでの日数
    小水疱が消失するまでの日数
    ウイルスが消失するまでの日数
    疼痛が消失するまでの日数
    治験開始12週後に疼痛が残存する割合

    評価基準

    主要評価項目
    紅斑・丘疹、小水疱、膿疱、びらん・潰瘍がすべて消失し、痂皮のみが観察された最初の観察日を完全痂皮化した日とする。なお、痂皮化後に掻破等により痂皮が脱落してびらん・潰瘍があらわれた場合、痂皮化したものとして評価する。

    解析計画

    主要評価項目である「病変部位が完全痂皮化するまでの日数」に関しては、Kaplan-Meier推定法によりデータを要約するとともに、Cox比例ハザード回帰分析によりハザード比及びその両側95%信頼区間を算出し、非劣性限界値を0.87とした非劣性検証を行った(ハザード比の信頼下限が0.87を上回ったとき、非劣性が示されたと判定する)。

    #:
    ハザードとは、イベントの発生速度(単位時間あたりのイベント発生頻度)のことであり、ハザード比とは、治験薬のハザード/対照薬のハザードである。比例ハザードモデルとは、どの観察時点においてもハザード比が一定であることを仮定することである。このモデルを利用した回帰分析がCox比例ハザード回帰分析である。

    主要評価項目

    病変部位が完全痂皮化するまでの日数

    完全痂皮化までの日数を比較検討したところ、Cox比例ハザード回帰分析により算出したファムビル群のアシクロビル群に対するハザード比の95%信頼区間の下限が、非劣性限界である0.87を上回ったことから、ファムビル群のアシクロビル群に対する非劣性が検証された。ファムビル群の病変部位が完全痂皮化するまでの日数の50%点は7日であった。

    記事/インライン画像
    病変部位が完全痂皮化するまでの日数
    投与群 評価例数 打ち切り
    例数
    病変部位が完全痂皮化
    するまでの日数(日)
    ハザード比(14日後まで)
    点推定値 95%信頼区間
    25%点 50%点 75%点 下限 上限
    ファムビル群 210 4 5 7 7 1.080 0.888 1.312
    アシクロビル群 216 4 5 7 8

    副次評価項目

    皮疹の拡大(形成)が停止するまでの日数

    記事/インライン画像
    皮疹の拡大(形成)が停止するまでの日数

    小水疱が消失するまでの日数

    記事/インライン画像
    小水疱が消失するまでの日数

    ウイルスが消失するまでの日数

    記事/インライン画像
    ウイルスが消失するまでの日数

    疼痛が消失するまでの日数

    記事/インライン画像
    疼痛が消失するまでの日数

    治験開始12週後に疼痛が残存する割合

    (Kaplan-Meier 推定法)
    投与群 評価例数 打ち切り例数 12週後
    疼痛残存例数
    12週後
    疼痛残存率(%)
    ファムビル群 205 15 7 4.9
    アシクロビル群 211 15 6 4.2

    副作用

    臨床検査値異常を含む副作用(投与開始日~15日後)は、ファムビル群で233例中25例(10.7%)、アシクロビル群で238例中36例(15.1%)に認められた。ファムビル群の主な副作用は、ALT(GPT)増加6例(2.6%)、頭痛4例(1.7%)、AST(GOT)増加3例(1.3%)等であった。アシクロビル群の主な副作用は、軟便7例(2.9%)、頭痛5例(2.1%)、下痢4例(1.7%)、傾眠4例(1.7%)、胃不快感3例(1.3%)、ALT(GPT)増加3例(1.3%)であった。死亡例を含む重篤な副作用は両群ともに認められなかった。投与中止に至った副作用としてファムビル群で薬剤性皮膚炎が1例、アシクロビル群で頭痛が1例認められ、いずれも投与中止後回復した。

    6. 用法・用量(一部抜粋)
    〈帯状疱疹〉
    通常、成人にはファムシクロビルとして1回500mgを1日3回経口投与する。
    7. 用法・用量に関連する注意(一部抜粋)
    〈効能共通〉
    7.1
    腎機能障害患者では投与間隔をあけて減量することが望ましい。腎機能に応じた本剤の投与量及び投与間隔の目安は下表のとおりである。
    記事/インライン画像
    腎機能に応じた本剤の減量の目安
    7.2
    血液透析患者には本剤250mgを透析直後に投与する。なお、次回透析前に追加投与は行わない。
    〈帯状疱疹〉
    7.9
    本剤の投与は、発病初期に近いほど効果が期待できるので、早期に投与を開始すること。なお、目安として、皮疹出現後5日以内に投与を開始することが望ましい。
    7.10
    本剤は、原則として、7日間使用すること。改善の兆しが見られないか、あるいは悪化する場合には、速やかに他の治療に切り替えること。
    8. 重要な基本的注意(一部抜粋)
    〈効能共通〉
    8.1
    意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。
    8.2
    急性腎障害があらわれることがあるので、腎機能検査を行うなど観察を十分に行うこと。

    本田まりこら: 臨床医薬, 24(9), 825(2008)(承認時評価資料)

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