エピデュオの尋常性ざ瘡患者を対象とした国内第Ⅲ相長期投与試験
- 目的
- 尋常性ざ瘡患者にエピデュオゲルを長期投与した時の安全性および有効性を検討する。
- 試験デザイン
- 非盲検、多施設共同、長期投与試験
- 対象
- 12歳以上、顔面(前額、両頬、鼻、下顎)の炎症性皮疹(丘疹、膿疱、結節)が12個以上100個以下、非炎症性皮疹(開放面皰、閉鎖面皰)が20個以上の尋常性ざ瘡患者436例(男性190例、女性246例)。なお、結節性のざ瘡皮疹が3個以上または嚢腫がある場合は除外した。
- 用法・用量および投与期間
- エピデュオゲルを1日1回(夕方から就寝前)、洗顔後に顔面全体(口唇および眼周囲を除く)に最長12ヵ月間塗布した。
- 安全性解析対象集団
- 436例
- 評価項目
- [安全性]
- 有害事象
- 局所刺激性評価(紅斑、落屑、皮膚乾燥、そう痒感、刺痛感/灼熱感)※1
- 臨床検査(血液学的検査、血液生化学的検査、尿検査)
- バイタルサイン
- 身体所見
[有効性]
皮疹数(総皮疹数※2、炎症性皮疹数、非炎症性皮疹数)のベースラインからの減少率(%)[その他]
患者満足度(ビジュアルアナログスケールにより評価)- ※1: 詳細は「局所刺激性評価における重症度判定基準」を参照
- ※2: 炎症性皮疹数と非炎症性皮疹数の総数。
- 解析計画
- 安全性は安全性解析対象集団を対象に要約した。有効性評価項目も同様に安全性解析対象集団を対象に要約した。
本試験における副作用
副作用は436例中43例(9.9%)に認められた。投与中止に至った副作用は9例(皮膚刺激4例、アレルギー性皮膚炎3例、皮膚疼痛2例)に認められた。本試験において重篤な副作用は認められなかった。
第1期 [1~90日] |
第2期 [91~180日] |
第3期 [181~270日] |
第4期 [271日以上] |
全期間 | |
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安全性解析対象例数 | 436 | 422 | 415 | 403 | 436 |
副作用発現例数(%) | 36(8.3) | 6(1.4) | 2(0.5) | - | 43(9.9) |
副作用の種類 | 副作用発現例数(%) | ||||
---|---|---|---|---|---|
第1期 [1~90日] |
第2期 [91~180日] |
第3期 [181~270日] |
第4期 [271日以上] |
全期間 | |
皮膚および皮下組織障害 | 35(8.0) | 6(1.4) | 2(0.5) | - | 42(9.6) |
皮膚刺激 | 24(5.5) | 5(1.2) | 2(0.5) | - | 30(6.9) |
皮膚疼痛 | 6(1.4) | - | - | - | 6(1.4) |
アレルギー性皮膚炎 | 3(0.7) | - | - | - | 3(0.7) |
そう痒症 | 2(0.5) | - | - | - | 2(0.5) |
皮膚剥脱 | 1(0.2) | - | - | - | 1(0.2) |
日光皮膚炎 | - | 1(0.2) | - | - | 1(0.2) |
眼障害 | 2(0.5) | - | - | - | 2(0.5) |
眼瞼炎 | 1(0.2) | - | - | - | 1(0.2) |
眼瞼浮腫 | 1(0.2) | - | - | - | 1(0.2) |
傷害、中毒および処置合併症 | 1(0.2) | - | - | - | 1(0.2) |
サンバーン | 1(0.2) | - | - | - | 1(0.2) |
同一患者に有害事象が複数の期で発現した場合もあるため、「全期間」の欄の総発現例数が各期の発現例数の合計と一致するとは限らない。同一患者に同一器官別大分類に該当する有害事象が複数発現した場合は、同一器官別大分類につき1回計上した。同様に、同一患者に同一基本語に該当する有害事象が複数発現した場合は、同一基本語につき1回計上した。
副作用名はMedDRA/J Ver.15.0の器官別大分類、基本語を用いて表示した。
局所刺激性評価
-
〈局所刺激性スコアの割合〉 記事/インライン画像
-
〈局所刺激性の平均スコアの推移〉 記事/インライン画像局所刺激性の平均スコアは1週目に最高値に達し、経時的に低下した。皮膚乾燥は3ヵ月目から6ヵ月目まで平均スコアが上昇し、その後の8ヵ月目以降は他の局所刺激性と同程度まで低下した。全ての項目の平均スコアは試験期間を通して1未満であった。
項目 | 程度 | スコア | 定義 |
---|---|---|---|
紅斑 皮膚の異常な発赤 |
なし | 0 | 紅斑なし |
軽度 | 1 | わずかに赤色を呈する | |
中等度 | 2 | 明らかな発赤が認められる | |
重度 | 3 | 著しい発赤が認められる | |
落屑 過度な角質層の脱落 |
なし | 0 | 落屑なし |
軽度 | 1 | ほとんど見た目にはわからない落屑で、少し掻いたり擦ったりすれば気が付く程度 | |
中等度 | 2 | はっきりとわかるが量は多くない落屑 | |
重度 | 3 | 鱗屑が次々に剥がれ落ちてくる状態 | |
皮膚乾燥 ざらついた砕けやすい感触 |
なし | 0 | 皮膚乾燥なし |
軽度 | 1 | わずかに、しかし明らかに荒れている | |
中等度 | 2 | 中程度に荒れている | |
重度 | 3 | 著しく荒れている | |
そう痒感 掻きたくなる感覚 |
なし | 0 | そう痒感なし |
軽度 | 1 | 時々わずかなかゆみが感じられるが、気になるほどではない | |
中等度 | 2 | 中程度にかゆみがあり、やや不快である | |
重度 | 3 | 強いかゆみがあり、かなり不快である | |
刺痛感/灼熱感 チクチクした痛み |
なし | 0 | 刺痛感/灼熱感なし |
軽度 | 1 | わずかな熱感、ヒリヒリ感、刺すような痛みがあるが、気になるほどではない | |
中等度 | 2 | はっきりした熱感、ヒリヒリ感、もしくは刺すような痛みがあり、やや不快である | |
重度 | 3 | 強い熱感、ヒリヒリ感、もしくは刺すような痛みがあり、かなり不快である |
皮疹数の減少率
- 〈総皮疹数〉
- 総皮疹数の減少率(中央値)は1週目が25.6%、3ヵ月目が74.7%、12ヵ月目が86.2%、最終評価時が85.1%であった。
- 〈炎症性皮疹数〉
- 炎症性皮疹数の減少率(中央値)は1週目が28.6%、3ヵ月目が77.8%、12ヵ月目が86.7%、最終評価時が85.7%であった。
- 〈非炎症性皮疹数〉
- 非炎症性皮疹数の減少率(中央値)は1週目が26.0%、3ヵ月目が73.9%、12ヵ月目が87.0%、最終評価時が85.7%であった。
記事/インライン画像

<効能・効果に関連する使用上の注意>(一部抜粋)
- 結節及び嚢腫には、他の適切な処置を行うこと。
<用法・用量に関連する使用上の注意>(一部抜粋)
- 治療開始3ヵ月以内に症状の改善が認められない場合には使用を中止すること。
- 症状改善により本剤塗布の必要がなくなった場合は、塗布を中止し、漫然と長期にわたって使用しないこと。
〔使用上の注意〕
1. 重要な基本的注意(一部抜粋)
- 本剤はアダパレンと過酸化ベンゾイルの配合剤であり、各単剤よりも皮膚刺激が発現するおそれがあるため、本剤よりも先に各単剤による治療を考慮すること。
- 過敏症や重度皮膚刺激感が認められた場合は、本剤の使用を中止すること。
- 本剤の使用中に皮膚乾燥、皮膚不快感、皮膚剥脱、紅斑、そう痒症があらわれることがある。これらは治療開始2週間以内に発生することが多く、通常は軽度で一過性のものであることについて患者に説明すること。なお、本剤の継続使用中に消失又は軽減が認められない場合は、必要に応じて休薬等の適切な処置を行うこと。