ディフェリンの第Ⅲ相検証試験
試験概要・試験デザイン
尋常性ざ瘡に対するディフェリンゲル0.1%のゲル基剤を対照とした多施設、ランダム化、評価者盲検、並行群間比較試験
試験概要
- 目的
- 尋常性ざ瘡患者に対するディフェリンゲル0.1%の有効性及び安全性についてゲル基剤を対照として検証した。
- 対象
- 顔面(前額、両頬、頤)に30個以上の総皮疹(非炎症性皮疹*1及び炎症性皮疹*2)を有する12歳以上35歳以下の尋常性ざ瘡患者
※選択基準:非炎症性皮疹20個以上、炎症性皮疹10個以上100個以下(ただし、結節/嚢腫2個以下)
*1:非炎症性皮疹;開放面皰、閉鎖面皰
*2:炎症性皮疹;丘疹、膿疱、結節、嚢腫 - 方法
- ディフェリンゲル群100例(男性11例、女性89例)とゲル基剤群100例(男性11例、女性89例)の2群に無作為に割り付け、それぞれ1日1回就寝前洗顔後、適量を顔面全体に塗布した。
- 評価項目
-
- 有効性:
主要評価項目;総皮疹数の減少率
副次評価項目;非炎症性皮疹数及び炎症性皮疹数の減少率、皮疹数改善度 - 安全性:有害事象(副作用)、臨床検査値異常
- その他:患者満足度(VAS;ビジュアルアナログスケール)
- 有効性:
- 期間
- 12週間
- 解析対象
- 有効性評価対象200例(ディフェリンゲル群100例、ゲル基剤群100例)
安全性評価対象199例(ディフェリンゲル群100例、ゲル基剤群99例) - 解析方法
- ディフェリンゲル投与群及びゲル基剤投与群の総皮疹数の減少率の比較についてWilcoxon順位和検定で解析し、非炎症性皮疹数及び炎症性皮疹数についても、それぞれディフェリンゲル投与群及びゲル基剤投与群の減少率を比較した。
施設間差を調整し、治療群間の差が施設によって異ならないことを確認するため、施設を層としたCochran Mantel Haenszel検定(CMH検定)を用い平方根に変換した皮疹数の共分散分析を行った。
有効性の主要評価としてITT(intention to treat、last observation carried forward)有効性評価集団を対象とした解析を行い、さらにPP(per control、12週観察症例)有効性評価集団を対象とした解析も行った。
検定は両側で行い、有意水準は5%とした。
試験デザイン

1)総皮疹に対する効果
1. 総皮疹数の減少率(主要評価項目)
最終観察日における減少率(中央値)はディフェリン群63.2%、ゲル基剤群36.9%で、ディフェリン群はゲル基剤群に比べ有意に減少させた〔p<0.0001、Wilcoxon順位和検定(両側検定)〕。

2. 総皮疹数の改善度(副次評価項目)
最終観察日において総皮疹数が50%以上減少(著明改善又は改善)した患者は、ディフェリン群は65例(65.0%)、ゲル基剤群は38例(38.0%)であった。

2)非炎症性皮疹に対する効果
1. 非炎症性皮疹数の減少率(副次評価項目)
最終観察日における減少率(中央値)はディフェリン群64.6%、ゲル基剤群38.1%で、ディフェリン群はゲル基剤群に比べ有意に減少させた〔p<0.0001、Wilcoxon順位和検定(両側検定)〕。

2. 非炎症性皮疹数の改善度(副次評価項目)
最終観察日において非炎症性皮疹数が50%以上減少(著明改善又は改善)した患者は、ディフェリン群は66例(66.0%)、ゲル基剤群は37例(37.0%)であった。

3)炎症性皮疹に対する効果
1. 炎症性皮疹数の減少率(副次評価項目)
最終観察日における減少率(中央値)はディフェリン群63.7%、ゲル基剤群45.8%で、ディフェリン群はゲル基剤群に比べ有意に減少させた〔p=0.0010、Wilcoxon順位和検定(両側検定)〕。

2. 炎症性皮疹数の改善度(副次評価項目)
最終観察日において炎症性皮疹数が50%以上減少(著明改善又は改善)した患者は、ディフェリン群は67例(67.0%)、ゲル基剤群は46例(46.0%)であった。

4)副作用発現率
本試験における副作用は、ディフェリン群で100例中56例(56.0%)、ゲル基剤群で99例中8例(8.1%)に認められた。ディフェリン群における副作用は、皮膚乾燥37例(37.0%)、皮膚剥脱18例(18.0%)、皮膚不快感16例(16.0%)、紅斑8例(8.0%)、そう痒症5例(5.0%)、皮膚刺激4例(4.0%)であった。
ゲル基剤群における副作用は、皮膚乾燥8例(8.1%)、皮膚剥脱3例(3.0%)、皮膚不快感1例(1.0%)、紅斑1例(1.0%)であった。
重篤な副作用は認められなかった。
5)参考情報:患者満足度(VAS*)
最終観察日におけるVASによる患者満足度(中央値)はディフェリン群は79.5mm、ゲル基剤群は70.0mmであり、VAS75mm以上を記した患者はディフェリン群は60.0%、ゲル基剤群は42.3%であった。

VAS(ビジュアルアナログスケール):長さ100mmの線分の一方の端を「満足していない(0mm)」とし、他方の端を「非常に満足(100mm)」とするもの。
<効能・効果に関連する使用上の注意>(一部抜粋)
3)結節及び嚢腫には、他の適切な処置を行うこと。
〔使用上の注意〕(一部抜粋)
1.重要な基本的注意
- 過敏症や重度皮膚刺激感が認められた場合は、本剤の使用を中止すること。
- 本剤の使用中に皮膚刺激感があらわれることがあるので、使用にあたっては、事前に患者に対し以下の点について指導すること。
- 切り傷、すり傷、湿疹のある皮膚への塗布は避けること。
- 眼、口唇、鼻翼及び粘膜を避けながら、患部に塗布すること。眼の周囲に使用する場合には眼に入らないように注意すること。万一、眼に入った場合は直ちに水で洗い流すこと。
- 日光又は日焼けランプ等による過度の紫外線曝露を避けること。
- 本剤の使用中に皮膚乾燥、皮膚不快感、皮膚剥脱、紅斑、そう痒症があらわれることがある。これらは治療開始2週間以内に発生することが多く、通常は軽度で一過性のものであることについて患者に説明すること。なお、本剤の継続使用中に消失又は軽減が認められない場合は、必要に応じて休薬等の適切な処置を行うこと。