ベピオの開発の経緯
ベピオゲル2.5%およびベピオローション2.5%は、過酸化ベンゾイル(Benzoyl Peroxide:以下、BPO)を有効成分とする医療用の尋常性ざ瘡治療剤である。
BPOは、高い抗菌作用を有しており、1960年代から欧米をはじめとした多くの国で尋常性ざ瘡の外用治療に使用されている。欧米をはじめ、アジアや中南米では尋常性ざ瘡患者からの薬剤耐性菌の分離が報告されており1)~4)、そのため欧米ではBPO含有製剤の使用が尋常性ざ瘡治療のガイドラインで推奨され、標準治療となっている。
2010年、公益社団法人日本皮膚科学会は、将来懸念される耐性菌増加の問題を回避するためBPO含有製剤を治療上必要な尋常性ざ瘡治療剤と位置付け、医療用医薬品として早期開発、承認に関する要望書を厚生労働省に提出した。当時、国内の尋常性ざ瘡治療では、外用および内服抗菌薬が主として用いられていたが、これらの抗菌薬は長期使用時の薬剤耐性菌出現が懸念されている。マルホ株式会社は、この要請に応えるため本邦向けに調製したBPO単味製剤を開発し、2014年12月にベピオゲル2.5%の承認を取得した。
その後、本邦ではBPO含有製剤はゲル剤のみであり、使いやすい剤形の提供は、尋常性ざ瘡治療に重要な早期かつ積極的な治療に貢献できると考え、乳剤性ローションの開発に着手した。国内で尋常性ざ瘡患者を対象に臨床試験を実施した結果、有効性および安全性が確認されたことからベピオローション2.5%が同ゲルの剤形追加品として2022年12月に承認を取得した。
- Eady, E. A. et al.:Br. J. Dermatol., 121(1), 51(1989)
- Alba, V. et al.:Int. J. Antimicrob. Agents., 33(3), 272(2009)
- Luk, N. M. et al.:J. Eur. Acad. Dermatol. Venereol., 27(1), 31(2013)
- Schafer, F. et al.:Int. J. Dermatol., 52(4), 418(2013)