アクトシン軟膏3%の臨床試験の総合評価
第Ⅱ相試験(至適用量設定二重盲検試験)、第Ⅲ相試験(基剤との二重盲検比較試験、リゾチーム塩酸塩製剤との無作為割付群間比較試験、一般臨床試験)におけるアクトシン軟膏3%の有効性を検討した。
試験概要
対象
褥瘡、皮膚潰瘍患者
評価例数
有効性456例、安全性488例
投与方法
潰瘍面の壊死組織除去・清拭消毒後、1日1~2回適量を患部にガーゼにのばして貼付あるいは直接塗布してガーゼで保護した。
投与期間
原則6週間以上(最大126日)
評価項目
疾患別有効性、罹病期間別有効性、安全性
疾患別有効性
有効率(「有効」以上)は、褥瘡で61.0%(136/223例)、皮膚潰瘍で75.1%(175/233例)[内、熱傷潰瘍で83.6%(51/61例)、下腿潰瘍で61.5%(16/26例)、その他の皮膚潰瘍で74.0%(108/146例)]であった。

評価基準:投与終了時に「著効」「有効」「やや有効」「無効」「増悪」の5段階で評価
(社内集計)
罹病期間別有効性
罹病期間が1年以上の場合でも、有効率(「有効」以上)は51.0%(49/96例)であった。

※罹病期間不明の1例は集計から除外した。
評価基準:投与終了時に「著効」「有効」「やや有効」「無効」「増悪」の5段階で評価
(社内集計)
副作用
アクトシン軟膏3%を使用した488例中21例(4.3%)に副作用が認められ、主なものは使用部位における疼痛14件(2.9%)、発赤3件(0.6%)、刺激感3件(0.6%)であった。そのうち投与中止例は8例認められ、使用部位における疼痛7件(1.4%)、出血、発赤が各1件(0.2%)であった。なお、本試験では死亡例を含む重篤な副作用は認められなかった。
- 使用上の注意
重要な基本的注意(一部抜粋) -
- ・本剤による治療は保存的治療であることに留意し、約6週間以上使用しても症状の改善が認められない場合には、外科的療法等を考慮すること。
- ・広範囲な創面に本剤を大量かつ長期に使用する場合は、ブクラデシンナトリウムを全身的投与した場合と同様の症状があらわれることがあるので、定期的に血圧、脈拍数、心電図、尿量、全身状態、血糖値等を観察し、異常が認められた場合には休薬等の適切な処置をとること(特に乳児、幼児、小児の場合は注意する)。
- ・潰瘍の改善に伴って形成される新生肉芽は、軽微な刺激により新生血管が損傷し、出血症状を招くことがあるので、ガーゼの交換等の処置は十分注意して行うこと。
- 適用上の注意(一部抜粋)
- 使用時の前処置:
本剤には抗菌作用はないので以下について注意すること。- ・潰瘍面を清拭消毒後、貼付又は塗布すること。
- ・感染があらわれた場合には、抗生物質を投与するなどの適切な処置を行い、経過を観察すること。
新村 眞人ら:臨床医薬 1990; 6(8): 1577(承認時評価資料)
新村 眞人ら:薬理と治療 1990; 18(7): 2757(承認時評価資料)
新村 眞人ら:臨床医薬 1991; 7(3): 677(承認時評価資料)
DT-5621九州地区研究班:西日本皮膚科 1990; 52(5): 1025(承認時評価資料)
DT-5621大阪地区研究班:皮膚 1990; 32(4): 574(承認時評価資料)
ニプロパッチ(株)社内資料:重症患者の褥瘡に対する使用経験(承認時評価資料)
ニプロパッチ(株)社内資料:褥瘡患者に対する長期投与ならびに血中濃度(承認時評価資料)
ニプロパッチ(株)社内資料:褥瘡患者に対する使用経験Ⅰ(承認時評価資料)
ニプロパッチ(株)社内資料:褥瘡患者に対する使用経験Ⅱ(承認時評価資料)