アメナリーフ

講演3 アメナリーフ錠の登場で帯状疱疹治療が変わる!?


愛知医科大学医学部皮膚科学講座教授 渡辺 大輔 先生

帯状疱疹の疫学

本邦における疫学研究より、帯状疱疹の発症・重症化リスクには、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)に対する特異的な細胞性免疫が深く関与していることが明らかになっている1-3)。また、高齢者人口の増加や小児水痘ワクチンの定期接種化などを背景として帯状疱疹患者数が増加しており、今後、さらなる発症率の増加や発症年齢の低下が懸念される。

従来の抗ヘルペスウイルス薬の課題とアメナリーフ錠のポテンシャル ~「1日1回投与」~

従来の抗ヘルペスウイルス薬は全て核酸類似体であり、核酸と競合拮抗してウイルスDNAに取り込まれるといった、同様の作用機序で効果を発揮する薬剤である。また、主に腎臓を介して排泄されるため、共通の課題を有している(表1)。

表1 従来の抗ヘルペスウイルス薬の課題

従来の抗ヘルペスウイルス薬の課題

このような中、2017年9月に新規作用機序で効果を発揮するアメナリーフ錠が発売された。アメナリーフ錠の特徴のうち、まず、用法・用量(1日1回投与)について解説する。

従来の抗ヘルペスウイルス薬であるファムシクロビル(活性体:ペンシクロビル3リン酸)は、VZV感染細胞内での薬物濃度半減期4)に特徴があるが、血中薬物動態をみると、投与間隔の空く夜から朝を中心に、1日の中で有効血中濃度が維持できていない時間がある5)6)図1)。

図1 反復投与時の血漿中ペンシクロビル濃度推移

反復投与時の血漿中ペンシクロビル濃度推移

一方、アメナリーフ錠(活性体:アメナメビル)は、アシクロビルよりも低濃度で効果を発揮し、長時間有効血中濃度を維持できる薬剤である。アメナメビル300mg、600mgを投与した反復投与試験の結果、年齢を問わず1日1回の投与で21~26時間推定有効血中濃度の0.2μg/mL以上を維持できることが確認されている(図27)。このように、アメナリーフ錠は抗ウイルス活性の高さと血中濃度推移からも、1日1回の投与で薬効を発現することが示されている。

図2 反復投与時の血漿中アメナメビル濃度推移

反復投与時の血漿中アメナメビル濃度推移

アメナリーフ錠のポテンシャル―早めの投与に意味がある?―

次に、第Ⅲ相臨床試験の結果8)に注目したい。
第Ⅲ相臨床試験の方法(試験概要)、主要評価項目、副作用等の結果は根本先生ご講演部分を参照いただきたい。初回投与までの時間別に主要評価項目を層別解析した結果、アメナリーフ錠投与群では時間別の新皮疹形成停止率の差は小さいものの、両群とも初回投与までの時間により新皮疹形成停止率に差が出た(表2)。

表2 [サブグループ解析]初回投与までの時間別 投与開始4日目の新皮疹形成停止率

[サブグループ解析]初回投与までの時間別 投与開始4日目の新皮疹形成停止率

これには、宿主の免疫が深く関わっていると考える。帯状疱疹の病勢が「ウイルス量-免疫力」で決定すると考えると、免疫が機能している患者の場合、免疫が立ち上がるまではウイルスが増殖するが、免疫が立ちあがり、ウイルス量より免疫力が上回ると、病勢が治まっていく。一方、癌や免疫抑制剤による免疫抑制状態の患者の場合、免疫の立ち上がりが遅く、十分に立ち上がらないことで病勢の曲線のピークが高くなり、重症化や遷延化が起きるのではないかと考える(図3上)。

図3
上:免疫状態考慮時のイメージ
下:抗ヘルペスウイルス薬投与時のイメージ

上:免疫状態考慮時のイメージ 下:抗ヘルペスウイルス薬投与時のイメージ

抗ヘルペスウイルス薬を免疫が立ち上がりつつある皮疹出現後72時間時点で投与した場合、薬剤の効果により病勢の曲線のピークは下がり、重症化が阻止され、治癒までの期間も短縮すると考えられる。しかし、同時に宿主の免疫も働くため、病勢の変動が薬剤の効果によるものか、宿主の免疫力によるものかの判断が難しい。一方、皮疹出現後24時間以内、すなわち免疫が十分に立ち上がっておらず、ウイルスが盛んに増殖している時点で薬剤を投与した場合、病勢の曲線の変動は免疫の影響を受けず、抗ヘルペスウイルス薬の影響を直接的に反映すると考えられる(図3下)。

つまり、免疫が立ち上がっていない病初期では、実際の臨床効果では差の見え難い抗ヘルペスウイルス薬のポテンシャルの違いが、より強く出るのではないかと考える。

本試験結果からは早期投与の有用性を捉えにくいが、宿主の免疫を考慮することで、早期から抗ヘルペスウイルス薬を投与することの重要性が説明できる。

アメナリーフ錠の注意点―薬物相互作用について―

アメナリーフ錠は、リファンピシンとの併用は禁忌であり、併用は必ず避ける。その他CYP3Aが関与する薬剤を中心に併用注意薬があるが、併用薬に対する影響に注目すると、全て併用薬の血中濃度を低下させる方向に働く。すなわち、併用薬の副作用発現よりも、効果減弱に注意が必要となる。

アメナリーフ錠の位置づけ

従来の抗ヘルペスウイルス薬の使い分けにアメナリーフ錠の位置づけ(私案)を追記した(図4)。

図4 抗ヘルペスウイルス薬の使い分け(2017私案)

抗ヘルペスウイルス薬の使い分け(2017私案)

アメナリーフ錠は、そのポテンシャルから、基本的には外来で治療するほぼ全ての帯状疱疹患者に使用できると考えられる。しかし、発売後間もない薬剤であるため、投与時には効果や副作用の確認のためにも、3~4日目での再診を促し、患者の状態を確認していくのが望ましい。今後、臨床現場での使用実績を重ね、帯状疱疹治療の新たな選択肢として、より使いやすい薬剤に成長していくことを願う。

  • 外山望. : 日臨皮会誌. 29(6), 799-804(2012)

  • Okuno Y, et al. : Epidemiol Infect. 141(4), 706-713(2013)

  • Asada H, et al. : J Dermatol Sci. 69(3), 243-249(2013)

  • Gilbart J, et al. : 旭化成ファーマ(株)社内資料
    (VZV感染細胞内におけるペンシクロビルリン酸化体の安定性Ⅱ)

  • 工藤忍, ほか. : 薬物動態. 11(6), 547-555(1996)

  • 白木公康, ほか. : 新薬と臨牀. 48(12), 1534-1549(1999)

  • 社内資料:健康成人を対象とした第Ⅰ相臨床試験(15L-CL-003 試験)(承認時評価資料)

  • 社内資料:帯状疱疹患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験(M522101-J01 試験)(承認時評価資料)


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