褥瘡辞典 for MEDICAL PROFESSIONAL ~褥瘡(床ずれ)の正しいケアと治療のために~

褥瘡の概要

疫学

有病率

日本褥瘡学会実態調査委員会によって行われた調査における褥瘡有病率を施設区分ごとにみると、病院0.96~3.32%、介護老人福祉施設2.47%、介護老人保健施設2.67%、訪問看護ステーション8.32%でした。

2006年10~12月、全国の医療・福祉・保健施設を対象に都道府県単位で実施された調査。施設の内訳は病院425施設、介護保険施設237施設(内訳は介護老人福祉施設107施設、介護老人保健施設130施設)、訪問看護ステーション243施設、総計905施設。各項目の結果は2006年6月に日本褥瘡学会が公表した方法を用いて算出された。

調査施設における褥瘡有病率

施設区分 有病率(%)
一般病院 2.24
一般病院1 3.32
大学病院 1.46
精神病院 0.96
介護老人福祉施設 2.47
介護老人保健施設 2.67
訪問看護ステーション 8.32
1:療養病床を有する一般病院
日本褥瘡学会編集:褥瘡予防・管理ガイドライン:12, 2009より一部改変

2002年10月の診療報酬改定に伴う褥瘡対策未実施減算施行により、褥瘡治療に関してどの程度実効が上がったかを検証した調査を紹介します(2004年日本褥瘡学会実態調査委員会実施)。褥瘡の有病率について未実施減算導入前後の推移をみると、院内発生褥瘡と総褥瘡が施策導入前の2002年9月以前と比較して2003年10月ごろで有意に減少しました。

全施設における有病率(患者1000対)

有病率:院内発生褥瘡
(95%信頼区間)
有病率:持込褥瘡
(95%信頼区間)
有病率:総褥瘡
(95%信頼区間)
2002年9月以前
総施設数: 797
総患者数: 166207
27.7
(26.9-28.5)
2002年9月以前
総施設数: 796
総患者数: 164865
13.4
(12.8-14.0)
2002年9月以前
総施設数: 907
総患者数: 206682
42.6
(41.8-43.5)
2002年10月以降
総施設数: 957
総患者数: 209188
26.5
(25.8-27.2)
2002年10月以降
総施設数: 943
総患者数: 205543
13.1
(12.6-13.6)
2002年10月以降
総施設数: 1058
総患者数: 239009
41.8
(41.0-42.6)
2003年4月ごろ
総施設数: 1090
総患者数: 245662
25.6
(25.0-26.2)
a
2003年4月ごろ
総施設数: 1091
総患者数: 247276
13.1
(12.7-13.6)
2003年4月ごろ
総施設数: 1199
総患者数: 279220
39.5
(38.8-40.2)
a, b
2003年10月ごろ
総施設数: 1168
総患者数: 266587
23.1
(22.6-23.7)
a, b, c
2003年10月ごろ
総施設数: 1160
総患者数: 263467
12.7
(12.3-13.2)
2003年10月ごろ
総施設数: 1262
総患者数: 294556
36.4
(35.7-37.0)
a, b, c
a:2002年9月以前 b:2002年10月以降 c:2003年4月ごろ a, b, c:p<0.05
[各有病率の算出方法]
ある特定の日の入院患者1000人に対する褥瘡患者の割合とし、以下の計算式を使用した。
・総褥瘡有病率=総褥瘡患者数/入院患者総数×1000
・院内発生褥瘡有病率=院内発生褥瘡患者数/入院患者総数×1000
・持込褥瘡有病率=持込褥瘡患者数/入院患者総数×1000
宮地良樹ほか:日本褥瘡学会誌:8(1), 94, 2006より一部改変
MEMO
褥瘡対策未実施減算とは
厚生労働省により「医療安全管理体制の整備や褥瘡対策が行われていない場合には、入院基本料から減算する」ことを明示した制度。以下の要件をすべて満たしていない場合、入院基本料から減算される。
  1. 当該保険医療機関において、褥瘡対策に係る専任の医師、看護師から構成される褥瘡対策チームが設置されていること。
  2. 当該保険医療機関における日常生活の自立度が低い入院患者につき、褥瘡対策に関する診療計画を作成し、褥瘡対策を実施すること。
  3. 患者の状態に応じて、褥瘡対策に必要な体圧分散式マットレスなどを適切に選択し使用する体制が整えられていること。
褥瘡管理の変遷
保有部位