皮膚の構造とはたらき
私たちの全身をおおう皮膚は、季節を感じたり、外からの刺激や細菌などの感染から体を守ってくれる身近な臓器です。皮膚の基礎知識として「皮膚の構造やはたらき」について詳しくご説明します。
皮膚の構造とはたらき
皮膚とは
人の身体全体を覆う皮膚は、成人で面積が約1.6m2あり、人体で最大の臓器です。
外部からのさまざまな刺激や衝撃からからだの中を守り、からだ全体の調和にも大きく関わっています。
皮膚のはたらき
皮膚のはたらきは、例えば
- 水分の喪失や透過を防ぐ
- 体温を調節する
- 外からの刺激を感知する
- 微生物や物理化学的な刺激から生体を守る
など、生命を維持するためになくてはならない様々な機能をもっています。
表皮・真皮・皮下組織
皮膚は、大きく分けて3層構造になっており、一番上の層が「表皮」、その下が「真皮」、最下層が「皮下組織」となっています。各層には固有の機能があります。
各層の構造
表皮の構造
表皮は、厚さが平均約0.2ミリのとても薄い膜です。
表皮は、内側から「基底層(きていそう)」、「有棘層(ゆうきょくそう)」、「顆粒層(かりゅうそう)」、「角層(かくそう)」の4つの層からできています。
基底層から細胞が分裂して分化し、平らになって積み重なり角層を作り、最終的には「垢(あか)」となってはがれます。
この、表皮を構成する細胞が生まれてからはがれ落ちる皮膚の生まれ変わりを、一般にターンオーバーと呼びます。45日程度で全ての細胞が入れ替わります。
真皮の構造
真皮は表皮の下にあり、上から「乳頭層」「乳頭下層」「網状層」の3つの層からできています。
さらに「血管」「神経」や、「皮脂腺」「汗腺」などの付属器があります。
皮下組織
皮下組織は皮膚の3層構造のもっとも下方にある組織で、表皮と真皮を支えています。
皮下組織は多量の脂肪を含んだ組織で、血管・神経・汗腺などを保護しています。
皮下組織の平均的な厚さは、頭部、額、鼻などで約2mmと薄めですが、大部分は4mm~9mmです。
各層の役割
表皮の役割
角層は角質細胞がレンガ状に積み重なっていて、体内の水分が外界に失われていくのを防ぎ、逆に外界からの刺激をブロックします。
皮膚の代表的疾患であるアトピー性皮膚炎では、表皮の外界から守る機能(バリア機能)に異常があり、外からの異物が侵入するなどの刺激によって炎症が起こりやすくなっています。
基底層にあるメラニン細胞は、紫外線の刺激によりメラニン色素を作り出し、分裂をくり返している基底層の細胞の核(DNA)を守っています。
真皮の役割
真皮には、触った、熱い、冷たい、痛い(かゆい)などの刺激のセンサーとなる神経があります。
暑いと汗を出すことで体温をさげたり、寒いと立毛筋を収縮させ、毛を立たせることで、寒さを防ぎます。
真皮には血管が走行していて、表皮への酸素や栄養の補給も行いますし、皮脂や汗を分泌し、皮膚表面に皮脂膜という保護膜を作ります。
皮下組織の役割
皮下組織では外部刺激(衝撃)を和らげるクッションの役割や断熱・蓄熱といった保温機能も果たしています。
また、エネルギーを脂肪のかたちで蓄える役割もしています。
体内で作り出される熱と、体内から外気へ逃げる熱のバランスを保つことで、正常な体温を維持しています。