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第1回:「これからは高齢者対策が重要」との思いから就職先も検討


    介護施設での多職種連携を基に食事介入と皮膚水分測定で職能発揮(全3回)

    北代 玲子 氏
    株式会社わかば わかば薬局大津店(神奈川県横須賀市)/管理薬剤師

    第1回:「これからは高齢者対策が重要」との思いから就職先も検討

    北代氏は、学生時代から他の薬剤師とは違う仕事がしたいとの思いから、漢方薬学科に入学したといいます。また、自身の祖母と接する機会も多く、「これから高齢者対策が重要。若いうちから関わりたいと思い、わかばに入社しました」と語ります。本格的に在宅医療に携わるのは、横浜市港南区のパンダ薬局に異動してからですが、それ以前から積極的に施設在宅に関わっていました。第1回では、携帯型皮膚水分計を用いた介護施設での医療連携の取り組みについてうかがいました。

    介護施設の入居者を対象に皮膚水分計を使って皮膚乾燥を見える化

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    株式会社わかば わかば薬局大津店(神奈川県横須賀市)管理薬剤師 北代 玲子(きたしろ れいこ)氏

    私は、在宅に関わりたいという強い思いがあり、わかばに入社しました。当初は外来をメインにした大型の相模原緑店にいて、3年間経験を積み、その間にも、いろいろな施設に出入りはしていました。その後、横浜市港南区のパンダ薬局に異動し、門前の病院から出る介護施設の処方箋を応需し、多いときは週4日、私が外に出て、訪問診療同行や施設でのお薬のセットなどに対応していました。現在勤務している大津店には、門前のクリニックがリニューアルオープンするタイミングで、管理薬剤師として赴任し、現在3年目です。大津店では外来と在宅患者にも対応しており、個人宅も何件か担当しています。

    これまで施設を訪問して色々な患者さんと接してきましたが、入居者の皮膚乾燥と栄養状態はいつも大きな関心事でした。実際、訪問すると肌が粉を吹いている入居者というのは日常茶飯事です。そのような中、たまたま日本薬局学会の機器展示で携帯型皮膚水分計を知り、導入することになりました。冬になると皆さん乾燥するので保湿剤を使う機会は多いのですが、私からみると塗り方があまい、足りないと感じていました。そこで乾燥を数値化して見せた方が、保湿剤の使い方も変わるのではないかと考えたからです。

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    訪問診療

    実際の取り組み成果を、2021年の同学会でも発表したのですが、2019年から当時担当していた3施設ほどの介護施設入居者に対して、皮膚水分計を用いて皮膚アセスメントを行いました。実施に際しては、訪問診療のドクターと連携し、診療同行時あるいは配薬等の訪問時に、同意を得た方に対し、脛と二の腕の2カ所それぞれ3回ずつ計り平均値を出しました。皮膚水分計は静電容量の大きさに応じて0~99の相対値が表示されます。この数値が25以下の場合は乾燥傾向にあると評価されます。その結果、6月と10月の測定結果を比べると二の腕で乾燥傾向の人数が倍増していました。(図1)

    図1:携帯型皮膚水分計を用いて皮膚のアセスメントを行った事例
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    携帯型皮膚水分計を用いて皮膚のアセスメントを行った事例
    第15回日本薬局学会学術総会発表資料より抜粋

    私たちは乾燥傾向がみられた入居者に対して訪問診療同行の際に保湿剤の処方を提案するとともに、保湿剤の塗り方のアドバイスを入居者と施設看護師に実施、特にケアスタッフに対してはうまく塗れるように勉強会も開きました。

    入居者に最も身近なケアスタッフへの教育・情報共有が重要

    保湿対策をする上では、ケアスタッフへの指導が一番重要です。看護師は、褥瘡管理や他の体調不良者のケアに追われていますので、ある程度安定している入居者に最も近い存在がケアスタッフなのです。ただ、ケアスタッフは医療者ではない一般的な方々ですので、私たちが求めている医療・ケアと、スタッフができるレベルとはギャップが大きいのです。

    指導のポイントは、日頃から保湿ケアをする、乾燥する前から保湿することの重要性をお伝えしています。また、ワンフィンガー・チップ・ユニットといって、両方の手のひらに対して、大きいチューブで人差し指の先端から第一関節まで絞り出した量で大体0.5gに相当しますが、その量でたっぷりと塗ることの重要性をお話ししています。しかし、一般の方々はたっぷり塗らなければいけないという認識があまりありません。具体的には塗った後にティッシュを付けるとしばらく付いている状態が理想的ですと伝えています。

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