皮脂欠乏症の主な原因:透析

監修:東京女子医科大学 名誉教授 川島 眞 先生

透析患者の保湿スキンケア

透析患者の乾燥皮膚は、その特徴から皮脂欠乏症の一つである老人性乾皮症と類似しているため、皮脂欠乏症の一病型とみなしてよいと考えられます1)。したがって皮脂欠乏症に対する治療と同様に軽症のうちから保湿剤を塗布し、早期に症状を改善させることが重要です。

1)川島 眞 ら:腎と透析, 75(2), 275-281, 2013

乾燥皮膚は放置しても改善するものではなく、透析期間が長くなるにしたがって悪化します。乾燥皮膚を軽微な皮膚症状と捉えず、痒みや炎症を引き起こす原因となることを常に意識し、発症早期から保湿剤によるスキンケアを積極的に取り入れることが大切です。

保湿スキンケアのポイント

患者の皮膚をよく観察する

患者の皮膚をよく観察し、乾燥している部位を確認します。

図:患者の皮膚をよく観察する

透析時に保湿剤塗布もあわせて行う

患者が家で保湿剤を塗布できない場合、透析時に医療スタッフが保湿剤も塗布することも検討します。保湿剤は適正量を使用します。

図:透析時に保湿剤塗布もあわせて行う

保湿剤は広い範囲に塗布する

保湿剤は広い範囲に、また体軸面に対して横方向に塗布します。

図:保湿剤は広い範囲に塗布する

シャント穿刺部位のケアを行う2)

シャント穿刺部位は毎回の消毒、テープ剤による機械的刺激等に曝され、皮膚症状が発生しやすい状態です。シャント穿刺部位付近の皮膚状態の悪化はシャント感染の一因になる可能性があるため、皮膚状態を考慮した上でのケアが必要と思われます。

足の観察およびフットケアを指導する3)

透析患者の足部および下肢は、血流障害や皮膚の脆弱化、免疫能の低下などにより、受傷や感染のリスクがあり、難治性で重篤化しやすい傾向にあります。そのため入浴後など足を清潔にした後の保湿剤の塗布を習慣化させるようにします。皮膚の鱗屑が強い部分には保湿剤を適正量塗布するとともに乾燥しやすい爪甲も忘れずケアを行うように指導します。

2)小尾 学 ら:日血浄化技会誌, 18(3), 67-70, 2011

3)西田 壽代:日透析医会誌, 28(3), 458-463, 2013

試験概要

対象

血液透析患者20例(男性8例、女性12例、平均年齢67.2 ± 9.8歳、平均血液透析期間24.6 ± 5.6ヵ月)

方法

保湿剤を1日2回、2週間使用した群10例と使用しない群10例の使用前、使用2週間後、使用中止2週間後におけるそう痒と精神不安定の程度のVAS(visual analog scale)を測定した。

解析計画

すべての値は、平均値および標準誤差で表示した。そう痒と精神不安定の程度はWilcoxon t検定で分析された。

結果

図1:2群間におけるそう痒の程度の変化(VAS)

図1:2群間におけるそう痒の程度の変化(VAS)

図2:2群間における精神不安定の程度の変化(VAS)

図2:2群間における精神不安定の程度の変化(VAS)
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