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皮脂欠乏症の治療


皮脂欠乏症の治療1)

治療

皮脂欠乏症は、医療用保湿剤等を用いた治療介入の対象となります。ただし、生理的要因や環境要因に伴う一過性で軽度の皮脂欠乏症では、医療用保湿剤による治療を要しないこともあります。軽微な鱗屑や粗造のみを認め、そう痒を伴わない場合には、環境要因の除去や患者指導、セルフメディケーションで対処します。一方で明らかな鱗屑や搔破痕を認め、悪化が予想される場合は、そう痒を伴わなくとも医療用保湿剤による治療介入を考慮します。

また、保湿剤による治療にもかかわらず増悪して湿疹化した場合には、ステロイド外用薬などの抗炎症薬を用いた治療を併用します。

患者指導

保湿剤の適切な外用指導と外用状況の確認が肝要です。特に入浴後は角層から水分が蒸発するため、直後でなくても良いですが、保湿剤を外用するべきです。石鹸・洗浄剤の主成分は界面活性剤であり、過度の使用やすすぎ残しは皮膚の乾燥を悪化させる可能性があります。また、ナイロンタオルやブラシによる清拭は角層からの水分蒸散を増加させ、皮膚の乾燥を助長するため使用せず、石鹸・洗浄剤をよく泡立てて泡を手のひらに取り優しく洗うように指導します。特に乾燥の強い部位への石鹸・洗浄剤の使用は最小限にとどめることが望ましいです。

冬期の暖房により室内の相対湿度が低下することから、適宜加湿器等による対策も必要です。羊毛素材やごわごわした素材などの衣服の刺激や、髪の毛の先端部の接触などの軽微な刺激でもかゆみを生じるため、そのような刺激のない衣類を選択するよう勧めます。また、長期間の日光曝露によって角層からの水分蒸散量が増加するという報告もあるため、過度の太陽光への曝露は避け、紫外線の強い5月から8月、特に紫外線の多い10時から14時頃の外出の際には、帽子を着用します。なるべく日陰を歩くなどの配慮をし、紫外線への曝露が長くなるときにはサンスクリーンの使用を勧めます。

一過性や軽度の皮脂欠乏症に対しては、医療用保湿剤を使用せず、一般用医薬品、医薬部外品や化粧品の保湿剤を使用させたうえで、生活指導などをすることが重要です。医薬部外品や化粧品の保湿剤には多くの種類があり、医療用保湿剤と同じ成分を有しているものやセラミドといった医療用医薬品とは異なる成分を有しているものもあり、中には抗炎症効果などの保湿効果以外の成分が含まれるものもあります。治療効果を比較したエビデンスがないことから効果面で選択することは難しいですが、剤形も豊富であり、価格の幅も大きいことから、患者が使用感で満足しつつ、安心かつ継続して使用できる製品を用いることが重要と考えられます。

  1. 日本皮膚科学会:皮脂欠乏症診療の手引き2021. pp2255-2270, 2021 ©日本皮膚科学会

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