新生児から小児のスキンケア
- 監修:
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- 東京女子医科大学 名誉教授 川島 眞 先生
新生児から小児の皮膚
新生児~乳幼児における皮脂量は月齢・年齢によって変化することが報告されています1)。
新生児~乳幼児と成人の皮脂量を比べると、新生児、1ヵ月児、保育園児(3ヵ月~2歳8ヵ月)は、全測定部位(額、鼻、頬、顎)で成人に比べ低い値を示しています。また新生児期では額のみ、1ヵ月児では額・鼻の部位で皮脂量は多く、3ヵ月を超えると皮脂量は急激に減少していました。
試験概要
- 対象
- 新生児50例(男児29例、女児21例)、1ヵ月児24例(男児14例、女児10例)、
保育園児23例(3ヵ月~2歳8ヵ月:男児13例、女児10例)、
成人健常人30例(20~50歳代:男性17例、女性13例) - 方法
- 額、鼻、頬、顎の4部位の皮脂量をリピッドメーターを用いて測定した。
結果

桑原 千裕 ら:日小皮会誌, 11(1), 27-32, 1992
新生児期では、額などの脂漏部位では皮脂の分泌が盛んで乳児脂漏性皮膚炎や新生児ざ瘡を生じることがあります。しかし、思春期以前の小児の皮膚の大部分は皮脂が少ない状態であり、顔面では、頬や顎では額と比較して皮脂量は少ないことが分かっています1)。また、体幹部においては、胸部などの非脂漏部位でも、新生児期、生後3ヵ月、生後12ヵ月において、皮脂の主な構成成分であるエステル化脂肪酸含有量が少ないことも報告されています2)。
新生児期から部位によっては、皮脂量の低下により皮脂膜が形成されにくく、角層から水分が蒸散しやすくなり、角層水分量は低下し、乾燥が始まっていることが推測されます。その結果、皮膚バリア機能が低下し、アレルゲンや異物が侵入しやすくなり、湿疹・皮膚炎や細菌・ウイルス感染症などを発症するリスクが高くなります。
以上のことから、乾燥症状を生じる部位は、新生児期から保湿スキンケアを開始し、少なくとも思春期を迎えるまで継続することを習慣づけることが望ましいでしょう。
- 桑原 千裕 ら:日小皮会誌, 11(1), 27-32, 1992
- Pochi PE, NEONATAL SKIN 67-80, New York and Basel, MARCEL DEKKER, 1982
対策
スキンケアのポイント
動く小児にいかに早く、むらなく塗布するためには工夫が必要です。また、保護者に適切なスキンケアを行ってもらうためにも、医師または看護師が実践してみせることが非常に重要です。
スキンケアのポイント
- 保護者の前で実践する
- 小児の生活に合わせた回数を勧める
- 季節や乾燥の程度、継続して塗布できる剤形を選択する
- 入浴後は早目に保湿剤を塗る
スキンケアの実際

1.塗布したい部位に保湿剤を点在させる
保湿剤を適正量取り、塗布したい部位の数ヵ所に保湿剤を点在させていきます。

2.保湿剤は広い範囲に塗布する
手のひらで均等にのばすように塗り広げます。