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第1回 貼付剤とは?


    監修:
    • 鈴鹿医療科学大学薬学部 病態・治療学分野 臨床薬理学研究室 教授 大井 一弥 先生

    貼付剤と皮膚

    皮膚という観点から、貼付剤や貼付剤と皮膚の関係などについて、読んで楽しく、役立つ情報を紹介します。

    皮膚の構造と経皮吸収経路

    皮膚は、角層を含む表皮、真皮、皮下組織の3層から構成されており、血管、リンパ管、神経、筋などが分布しています(図1)。貼付剤は、製剤中の薬物が角層を透過し体内に移行して効果を発揮します。
    薬物の経皮吸収には複雑な過程があり、①基剤中の主薬の角層への移行(分配)、②角層での透過と広がり(拡散)、③角層から表皮(角層以外)への分配、④真皮以下の各組織における分配および拡散(拡散中の結合や代謝を含む)に分けられます(図2)。

    薬物の角層への移行(分配)に影響を与える生体側の因子として、「角層水分量」「皮膚からの水分蒸散」「皮膚pH」「体温」などがあります(図3)。製剤側の因子としては、「基剤と皮膚の親和性」「基剤と薬物の親和性」「基剤中の薬物の拡散性」「皮膚との接着性」「薬物の分子量」などがあります。

    図1:皮膚構造と経皮吸収経路
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    図1:皮膚構造と経皮吸収経路
    図2:皮膚における薬物の分配、拡散
    記事/インライン画像
    図2:皮膚における薬物の分配、拡散
    図3:皮膚状態と経皮吸収
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    図3:皮膚状態と経皮吸収

    貼付剤とその特徴

    一般的に貼付剤とは、皮膚に貼付して薬の成分を標的器官に送達する製剤と考えられています。
    貼った部分に治療効果のある「局所作用型貼付剤」には、消炎鎮痛薬、局所麻酔治療薬などがあり、幅広く医療に用いられています。また、最近ではTDS(Transdermal Drug Delivery System)の研究が進み、「全身作用型貼付剤」も多く使用されています。
    TDSの仕組みは、皮膚を通して体内に入った薬物が全身循環血流に送達することにより効果を発揮します。喘息治療薬、狭心症治療薬、更年期治療薬、禁煙補助剤などがあります。

    なお、日本薬局方15局からは、「貼付剤」の名称は「局所作用型外用剤」に限定され、全身血流によって器官に薬物が送達され、薬効を発揮する外用剤は「経皮吸収型製剤」として分類されています。

    <局所作用型と全身作用型の違い>

    1. ① 局所作用型貼付剤
      局所作用型貼付剤は、皮膚から組織中に薬物が移行することで貼った部位周辺に効果を発揮します。患部への直接効果が期待できる、使用が簡便、全身性の副作用が起こりにくいなどのメリットがあります。
    2. ② 全身作用型貼付剤
      全身作用型貼付剤は、薬物が皮膚組織の毛細血管に移行し、全身血流を循環することで効果を発揮します。製剤の投与や中断が簡便に行える、投与の有無を確認しやすい、比較的作用時間が長いなどのメリットがあります。

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