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ぬり薬の蘊蓄 第4章 ぬり薬を評価するために:局所皮膚適用製剤の生物学的同等性試験ガイドライン策定の背景


後発医薬品や剤形追加医薬品などの承認申請資料には、生物学的同等性試験が必要となります。生物学的同等試験を行う目的は、先発医薬品に対する後発医薬品や剤形追加医薬品の治療学的・生物学的な同等性を保証することにあります。生物学的同等性試験をはじめとした同等性を担保するための各種試験の実施方法の原則は、生物学的同等性試験ガイドラインとしてまとめられています。
生物学的同等性試験ガイドラインには、経口固形製剤(内服薬)や局所皮膚適用製剤(外用剤)などを対象としたものがあります。内服薬の先発医薬品に対する後発医薬品、剤形追加医薬品の生物学的同等性を評価するためには一般的に、ガイドラインに従い「生物学的同等性試験」の他に「溶出試験」などが実施されています。

*:試験液中において製剤から薬物が溶け出す速度や量が同じかどうかを確認する試験

後発医薬品の使用促進政策に伴い、内服薬の後発医薬品については、溶出試験が義務化される以前の品質を再評価するために、1998年度より、1995年3月以前に承認された後発医薬品を対象に「溶出試験」を実施し、先発医薬品との同等性を評価する「品質再評価」が行われています。しかし、この「品質再評価」の対象には、外用剤や注射薬は含まれませんでした。
また、外用剤では、薬物が血中を介して作用部位に到達する量は極めて少なく、治療上の同等性を最高血中濃度(Cmax)や血中濃度-時間曲線下面積(AUC)などで比較することは困難であり、その妥当性について疑問視されていました34)
このような背景の中で、2003年に『局所皮膚適用製剤の後発医薬品のための生物学的同等性試験ガイドライン』が、2006年には『局所皮膚適用製剤の剤形追加のための生物学的同等性試験ガイドライン』が示されました。これらのガイドラインは、外用剤の評価を明確に行う上で重要な指針となります。

参考:新医薬品と後発医薬品の申請に必要な資料

後発医薬品では、同じ主薬の医薬品がすでに上市され、製剤の有効性、安全性が確立しているため、申請に必要な資料は規格及び試験方法、加速試験**、生物学的同等性試験の3つとなっています。規格及び試験方法は先発医薬品と同じであるため、実際に試験を行うのは加速試験と生物学的同等性試験です。

添付資料
起源又は発見の経緯及び外国における使用状況等に関する資料
1. 起源又は発見の経緯 ×
2. 外国における使用状況 ×
3. 特性及び他の医薬品との比較検討等 ×
製造方法並びに規格及び試験方法等に関する資料
1. 構造決定及び物理的化学的性質等 ×
2. 製造方法
3. 規格及び試験方法
安定性に関する資料
1. 長期保存試験 ×
2. 苛酷試験 ×
3. 加速試験
添付資料
薬理作用に関する資料
1. 効力を裏付ける試験 ×
2. 副次的薬理・安全性薬理 ×
3. その他の薬理 ×
吸収、分布、代謝、排泄に関する資料
1. 吸収 ×
2. 分布 ×
3. 代謝 ×
4. 排泄 ×
5. 生物学的同等性 ×
6. その他の薬理動態 ×
急性毒性、亜急性毒性、慢性毒性、催奇形性、その他の毒性に関する資料
1. 単回投与毒性 ×
2. 反復投与毒性 ×
3. 遺伝毒性 ×
4. がん原性 ×
5. 生殖発生毒性 ×
6. 局所刺激性 ×
7. その他の毒性 ×
臨床試験の成績に関する資料
臨床試験成績 ×
添付必要
× 添付不要
個々の医薬品により判断される

H17.3.31 薬食発0331015 一部改変

赤字:後発医薬品の申請に必要な資料

新  :新有効成分含有医薬品

後  :後発医薬品

*薬機法において、「既に製造販売の承認を与えられている医薬品と、有効成分、分量、用法・用量、効能・効果などが明らかに異なるもの」と定義され、以下の6種類に分類される。

  • ①新有効成分含有医薬品
  • ②新投与経路医薬品
  • ③新効能医薬品
  • ④新用量医薬品
  • ⑤新剤型医薬品
  • ⑥新医療用配合剤

**医薬品の品質の安定性を短期間で推定するための試験。標準的な試験条件は、保管温度40±2℃、湿度75±5%RH、保存期間6ヵ月(承認申請時点での最小試験期間)である。

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