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服薬指導に役立つ皮膚外用剤の基礎知識 No.5:【コラム】混合処方における調剤時の確認ポイント


計量混合調剤加算の算定要件は「計量混合調剤は、医薬品の特性を十分理解し、薬学的に問題ないと判断される場合に限り行うこと」とされており、皮膚外用剤の混合調剤を行う際は各薬剤の基本的情報と混合した場合の物理的・化学的変化を正しく把握する必要があります。各メーカーが提供している配合変化試験結果、文献や書籍1)で報告されている配合変化について確認することが大切です。配合変化試験は一定条件下(温度、湿度等)で行われ、結果は主薬の含量や外観変化のみで、効果については検討されていません。条件が変化することで結果は変わる可能性があるため注意が必要です。また、主薬以外の基剤や添加剤の違いにより配合の結果が変わることもあるため、使用する医薬品でのデータを確認し、データに基づいて判断することが重要です。
臨床現場では皮膚外用剤の混合調製に卓上タイプの自転・公転式ミキサーが汎用されています。ミキサーによる混合調製は個人の習熟度による差がなく同じ品質が得られ、短時間で簡便かつ清潔に行うことができます。ミキサーにより混合調製された混合薬の製剤の均一性を評価すると、組み合わせによって適正な混合時間は異なり、ステロイド軟膏と白色ワセリンの混合においてはステロイド含量の変動係数をみると少なくとも60秒程度の時間が必要と報告されています(2)。また、降伏値の差が大きい薬剤同士ほど混ざりやすいことが示唆されています2)。機械混合における適切な混合条件は、今後も検討が必要です。

図 混合時間延長による変動係数(CV)の変化
記事/インライン画像
図 混合時間延長による変動係数(CV)の変化
記事/インライン画像
イラスト
出典:
  1. 軟膏・クリーム配合変化ハンドブック第2版,じほう,東京,2015
  2. 高藤由紀子ら:医療薬学,2018;44(2):68-73

シリーズのおわりに

最近の調査1)によると、患者さんが理解できるよう医療関係者が外用指導してくれていると感じる割合は、「感じる」が28.5%、「とても感じる」が8.7%であり、「少し感じる」の15.2%を加えても52.4%と約半数です。一方、外用剤は塗り方や回数など内服薬に比べて説明する項目が多くなっています。塗り方では、実際に塗って説明することも望まれます。このように外用剤に関して説明が不足している背景として、基剤や剤形の理解不足が考えられます。この「服薬指導に役立つ皮膚外用剤の基礎知識」を繰り返し読んでいただき、基剤や剤形、塗り方、ステロイド外用剤および保湿剤の理解を深めて、日常診療に役立てていただければ幸いです。

出典:
  1. 南由紀恵ら:新薬と臨牀,2021;70(6):605-624

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